株式会社B&C Healthcare 受精卵の染色体・遺伝子検査事業

管理医療機器販売企業
(東京都港区みなと保健所届出)
B&C Healthcare

医師監修コラム

HOME  >  医師監修コラム  >  【医師監修】不妊治療は医療費控除の対象!適用範囲や還付金について解説

【医師監修】不妊治療は医療費控除の対象!適用範囲や還付金について解説

2021.12.31

「不妊治療は自由診療だから、医療費控除は受けられない…」と思っていませんか?実は不妊治療も医療費控除の対象で、申請すれば還付金を受け取られます。では実際にどのくらい還付金が戻ってくるのでしょうか?この記事では医療費控除対象になるものとならないもの、還付金の算出方法などをご紹介します。

※2021年12月時点の情報です。最新の状況は個別にご確認ください

医療費控除ってどんな制度?何が対象になる?

医療費控除についてなんとなく知っていても、健康な方だとなかなか申請する機会がありません。

医療費控除をはじめて申請する方のために、医療費控除の基本的な考え方、医療費控除の対象になるもの・ならないものについて解説します。

医療費控除とは?

医療費控除は、その年の医療費が高額だった場合に所得税や住民税を減らすことができるお得な制度です。医療費控除額は以下の計算式で求めます。

【医療費控除額の計算式】

医療費控除額=医療費-保険などによる補填-10万円

医療費控除は実際の医療費から10万円を差し引きます。ただし、その年の総所得金額が200万円に満たない場合は「総所得金額×5%」が足切り額です。医療費控除は控除を受ける本人だけではなく、生計をともにする家族(同居・別居は問わない)の医療費も合算できます。

助成金や給付金をもらった場合の医療費控除は?

医療保険の入院給付金・健康保険の高額療養費・不妊治療の助成金などで医療費が補填された場合はどうすればいいのでしょうか。

これらの補填金額は、その目的となった医療費から差し引かなければなりません。不妊助成金なら不妊治療費から、入院給付金なら入院の原因となった病気の治療費から差し引くといった具合です。このとき補填金額が目的の医療費を上回っても、差額をほかの医療費から差し引く必要はありません。

医療費控除=[(不妊治療費-不妊助成金)+(入院費-入院給付金)]-10万円

計算式だと上のように表すことができます。ここで注意したいのが次のような誤りです。

医療費控除=(医療費の合算)-(補填の合算)-10万円 

上の計算式だと、補填金額が目的の医療費を上回るときにほかの医療費から差額を差し引くことになります。結果的に損をしてしまうので、医療費控除を算出するときは注意しましょう。

医療費控除に上限はある?

医療費控除額には上限があり、その額は200万円です。ただし、ご夫婦ともに所得税を支払っている場合は分けて申請することもできます。上手に活用すれば、ご夫婦で最大400万円の医療費控除を受けられる計算です。

不妊治療で医療費控除の対象になるもの・ならないもの一覧

医療費控除で認められるのは「治療目的のもの」です。たとえば風邪を引いたときの医薬品代は医療費控除対象ですが、健康増進を目的とするサプリメント代は対象になりません。
では、不妊治療ではどんなものが医療費控除の対象になるのでしょうか。対象になるもの・ならないものを一覧にまとめました。

 

【対象になるもの】

・不妊治療の検査費用

・人工授精の費用

・体外受精の費用

・顕微授精の費用

・治療に必要な診療代

・治療に必要な医薬品代(医師が処方する漢方薬を含む)

・採卵にかかる消耗品

・卵子の凍結・解凍費用

・紹介状の文書料

・通院で必要な公共交通機関の利用料金

・治療を目的とするマッサージ指圧や鍼灸の費用

【対象にならないもの】

・予防接種の費用

・妊活セミナーの受講料

・マタニティヨガの費用

・妊活サプリメントの代金

・妊娠検査薬・排卵検査薬の費用

・入院した場合の差額ベッド代

・マイカー通院のガソリン代や駐車料金

・緊急時以外のタクシー代

一覧を見ると、病院で払う治療費のほかにもさまざまな項目が控除対象になっています。不妊治療で遠方の病院へ通うことも多いので、公共交通機関の利用料金が控除対象になるのは大きなメリットです。また、治療を目的とするマッサージや鍼灸も対象となります。

ただし病院で受けたものでも、予防接種費用や妊活サプリメント代は適用外になります。これらは治療というよりも、健康維持の意味合いが強いからです。

不妊治療の医療費控除で還付金はいくらもらえる?

医療費控除額が30万円でも、30万円がそのまま戻ってくるわけではありません。医療費控除は「課税金額を減らす」ものなので、実際の還付金は以下のようなイメージになります。

還付金=医療控除額×所得税率

たとえば医療費控除額が15万円で所得税率が20%の場合、

還付金=医療費控除額15万円×所得税率20%

   =3万円

 

よって、還付金は3万円になります。

※復興特別所得税および寄付金控除・住宅ローン減税などは考慮していません。

一般的に、収入(課税所得金額)が多い人ほど所得税率が高くなります。つまり、同じ医療控除額でも収入が多い人ほど還付金が多くなるのです。

ちなみに、医療費控除を申請すると住民税も安くなります。所得にかかる住民税率は10%、つまり医療費控除額×10%が翌年以降の住民税請求額から差し引かれます。

不妊治療の医療費控除を申請する方法

それでは実際に医療費控除を申請してみましょう。医療費控除は年末調整で申請できないため、還付申告が必要です。還付申告はパソコンやスマートフォンで手軽に作成できるので、ぜひチャレンジしてみましょう。

不妊治療の医療費控除を申請する期間・期限

医療費控除の対象となるのは、その年の1月1日~12月31日までに支払った医療費です。確定申告の期限は翌年の2月16日~3月15日ですが、還付金の申請だけであれば翌年1月1日から申告できます。

また、医療費控除は過去5年間に遡って申告することが可能です。「不妊治療から2~3年経ってしまった」という方でも還付申告は可能なので、病院の領収書が手元にあるか確認してみましょう。

不妊治療の医療費控除を申請するときに必要なもの

医療費控除を申請する際に必要なのは、以下のものです。

・確定申告書AまたはB

・医療費控除の明細書

・源泉徴収票

・医療費の証明となるレシートや領収書、保険者から発行される医療費通知(医療費のお知らせ)

・マイナンバーの確認書類

・本人であることの確認書類(運転免許証・パスポートなど)

・還付金振込口座情報(本人名義)

 

確定申告書および医療費控除の明細書は、国税庁の確定申告サイトからプリントアウトできます。確定申告書にはAとBがあり、Aは簡易版、Bは詳細版です。一般的なサラリーマンやパートの方であればAを、個人事業主や不動産所得がある方はBを選択するとよいでしょう。

 

医療費の証明となる領収書や源泉徴収票は、確定申告書や医療費控除の明細書を作成するときに使います。申請時に添付する必要はありませんが、5年間の保管義務があるので捨てずに取っておきましょう。

 

ちなみに、保険者から受け取った医療費通知(医療費のお知らせ)を添付すれば書類作成を簡略化できます。医療費通知と重複する領収書は保管義務がなくなるので、お手元にあればぜひ活用しましょう。

不妊治療の医療費控除で知っておきたいポイント

ここからは、不妊治療の医療費控除にまつわる疑問を取り上げていきます。

NIPTなどの出生前診断は医療費控除対象になる?

出生前診断は、原則として医療費控除の対象になりません。医療費控除の対象となるのは「治療目的のもの」であって、出生前に胎児の病気が分かったとしても、それが治療につながるわけではないからです。

着床前診断は医療費控除対象になる?

着床前診断が医療費控除の対象となるかどうかはケースバイケースといえます。ひとくちに着床前診断といっても、男女産み分けを目的とするものと流産回避を目的とするものでは性質が大きく異なるからです。

不妊治療の一環としておこなわれる着床前診断は医療費控除の対象となる場合があるので、所轄の税務署に問い合わせてみるとよいでしょう。

共働き夫婦で申請するなら夫と妻のどちらがお得?

夫・妻の両方が所得税を納めている場合は、どちらの名前で申請するのがお得なのでしょうか?

一般的には所得税率の割合が高い(収入額が大きい)方の名前で申請するのがベターです。なぜなら、所得税率の割合が高いほど還付金の額がアップするからです。

ただし、収入額の低い方が申告すべきケースもあります。たとえば総所得金額200万円以上だと足切り額は10万円です。この場合、医療費が10万円以下だと控除対象になりません。ですが配偶者の総所得金額が200万円未満ならば足切り額が下がるため、控除対象となる可能性が出てきます。

また、注意したいのが医療費控除と寄付金控除の併用です。医療費控除を受けると寄付金控除限度額が下がることがあるためです。それぞれの収入額にもよりますが、すでに夫名義で寄付をしているときは妻の名前で医療費控除申告したほうが得するケースもあります。このように「医療費控除=所得が多い方で申請すべき」とは言い切れないので、少しでも多くもらいたいときは控除シミュレーションサイトなどで試算してみましょう。

まとめ

不妊治療をした年は、医療費控除で還付金を受け取れる可能性が高くなります。ですが、申告しないとお金は戻ってきません。しっかり手続きをして経済的負担を減らしましょう。

監修

一倉絵莉子 先生
六本木ヒルズクリニック

産婦人科医 / 六本木ヒルズクリニック 日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員 日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。

CATEGORY

ARCHIVE

SCROLL