母体の年齢が上がるほど、染色体異常の確率も高くなると言われています。高齢出産を控える妊婦さんが増えた現代、胎児の染色体異常を予防したいと願うお母さんも多いでしょう。それでは、染色体異常は予防できるのでしょうか。もしもできるとすれば、どのような方法があるのでしょうか?この記事では、染色体異常は予防できるのかを解説するとともに、より確率の高い予防法である「着床前診断」をご紹介します。
胎児に見られる染色体異常には「21トリソミー(ダウン症候群)」「18トリソミー(エドワーズ症候群)」「13トリソミー(パトー症候群)」などがあります。それぞれ21番目、18番目、13番目の染色体が、正常の2本1対よりも1本多く、3本になることで生じます。
◆赤ちゃんに発生しやすい染色体異常
染色体異常のうち、特に発生頻度が高いものはダウン症候群です。約半数が心臓の病気を、約10%が消化管の病気を有するとされています。知的発達については個人差がありますが、地域の特別支援学級、特別支援学校に通い、就業する方もいます。
エドワーズ症候群、パトー症候群に関しては、1歳まで生きることができない赤ちゃんの割合が約9割とされています。寿命は短いですが、個人差もあり、エドワーズ症候群を発症した子供の中には10歳を超えても元気に過ごしている方もいます。
◆染色体異常の予防はできるのか
染色体異常は突発的、または偶発的に生じるとされており、原因についてはさまざまな可能性が指摘されていますが、はっきりとしたことは分かっていません。原因が特定できないため、染色体異常を完全に予防するのは難しいというのが現状です。
できるだけ若いうちに妊娠や出産を計画することで、染色体異常のリスクの軽減につながります。年齢だけが染色体異常の発生要因ではありませんが、何歳から高齢出産とされるのか、なぜ高齢出産だと染色体異常のリスクが上がるのか、基本的なことを知っておくことも大切です。
◆高齢出産とは何歳から?
日本においては、35歳以上で初めて出産する場合を高齢出産といいます。2人目以降の子供を出産するときの年齢に関しては特に定義がなく、初産に限定されています。
◆高齢出産で染色体異常のリスクが高まる理由
受精卵に何らかの染色体異常が発生する確率は、女性の年齢が34歳以下の場合に59%となります。若い方の受精卵でも染色体異常は発生するものですが、高齢出産の方では、その確率がさらに高まります。
受精卵の染色体異常の割合は、35歳〜39歳では63%、40〜47歳では74%となります。年齢とともに卵子の元となる細胞が老化し、卵子を作る際の細胞分裂がうまくできず、染色体異常をもつ卵子が形成されます。その卵子と精子が受精することで染色体異常を持つ受精卵ができるとされています。
◆高齢出産の人が染色体異常を予防する方法
母体の年齢が上がるほど、染色体異常の確率も高くなると言われていることから「早めの妊娠を目指すことが予防につながる」といった考え方もあるようです。しかし、私たちは一人ひとり状況が異なり、また長い不妊治療の末にようやく妊娠に成功したという妊婦さんも少なくありませんので、誰もが当てはまる予防法とは言えません。
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「葉酸が染色体異常の予防に効果的」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
葉酸は、水溶性のビタミンB群のひとつで、多くの研究によって「妊娠初期の葉酸不足で胎児における神経管閉鎖障害の発症率が高まる」ということが分かってきました。神経管閉鎖障害とは、先天異常の一種です。
厚生労働省も、神経管閉鎖障害の予防のために葉酸の摂取を推奨しており、妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月くらいにかけて、通常の食事のほか1日400μg(マイクログラム=0.4mg)を摂取すると良いとしています。
しかし、水溶性のため、調理方法や摂取方法に工夫が必要なことや、サプリメントを取り入れるなどして葉酸を過剰摂取した場合、ビタミンB12欠乏症を診断しにくくするといったリスクも指摘されているなど、注意が必要な部分も少なくありません。
また、葉酸の摂取が21トリソミーといった染色体異常を予防する効果については、まだまだはっきりしたことは分かっていないようです。
こうしたことからも、現状では染色体異常を予防する決定的な方法はないと言われています。
染色体異常の予防が難しい現状において、より高い確率で予防することが期待されているのが、株式会社B&C Healthcare(B&C Healthcare)が提供している「着床前診断」です。
着床前診断では、体外受精した受精卵が「胚盤胞」という状態に成長した段階で、細胞を数個程度採取し、22組の常染色体と1組の性染色体の異数性を調べます。その中で異常がない胚だけを子宮に移植することで、染色体異常の発生、流産などの予防が可能になります。
B&C Healthcareが提供している着床前診断には、次の3つの種類があります。
◆着床前単一遺伝子疾患検査(PGT-M)
ご夫婦のどちらか(または双方)が特定の遺伝性疾患の保因者であり、病気が赤ちゃんに遺伝する可能性がある場合に行われる検査です。妊娠が成立する前の受精卵の段階で遺伝子変異の有無を調べることができるため、予防につながるだけでなく、妊娠を継続するかどうかといった選択でご夫婦が悩まれることがありません。
◆着床前染色体構造異常検査(PGT-SR)
ご夫婦のどちらかに転座や逆位など均衡型の染色体構造異常がある場合に受ける検査です。ご夫婦のどちらかに均衡型構造異常があると繰り返し流産してしまう可能性が高いため、着床前診断が有効となります。
◆着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)
着床しやすく流産しにくい、染色体異常のない受精卵のみを選んで子宮に戻すことができる技術です。現在日本で行われている着床前診断の多くは、この着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)です。胎児の染色体異常を予防し、体外受精の妊娠率を高める、流産を予防する、男女の性別を事前に判定するといったことが可能です。ただし、現在日本で行われている着床前診断では、日本産科婦人科学会の方針によって男女の性別判定を行うことはできません。
B&C Healthcareの着床前診断の流れは次のようになります。
1国内の医療機関にて体外受精(または顕微授精)を行い、受精卵を培養する
2胚盤胞まで培養が進んだ受精卵を凍結または、受精卵から細胞の一部を採取し凍結する
3凍結した受精卵または採取した細胞のDNAを増幅した上で米国の検査機関に輸送する
4着床前診断を実施し、検査結果が通知される
5受精卵を輸送した場合、国内の医療機関に返送されるため医療機関にて胚移植を行う
従来、受精卵そのものを輸送する方法しかありませんでしたが、B&C Healthcareの着床前診断ではDNAのみを輸送することも可能なため、2度の凍結が不安なご夫婦はDNAのみを輸送する方法を選べるのが大きな特徴です。
もちろん、日本国内にいながら検査を受けることができますので、ご夫婦が海外に渡航される必要もありません。
B&C Healthcareの着床前診断は、着床する前の段階で染色体異常の有無を調べることができるため、予防につながります。妊娠や出産に関してご不安を抱えている方は、ぜひB&C Healthcareの着床前診断を検討してみてはいかがでしょうか?