妊娠3週頃(着床した時期)になると、ホルモンの変化によって眠気やだるさ、腰痛といった諸症状が現れます。
しかしこれらの「妊娠超初期症状」は生理前の変化とよく似ているので、どうやって見分けたらいいのか分からない方も多いことでしょう。
そこで今回は「妊娠超初期症状と生理を見分ける方法」について詳しく解説します。
妊娠を確認する方法やタイミング、想像妊娠との違いにも触れていくので「これって妊娠?それとも思い込み?」と迷っているときはぜひ参考にしてください。
妊娠超初期と生理前はよく似ていると言われますが、具体的にどんなところが似ているのでしょうか?
それぞれが起こるタイミングや症状を比べてみましょう。
妊娠超初期と呼ばれるのは、妊娠0~3週の時期です。
といっても、着床して妊娠が成立するのは妊娠3週目ごろから。それまでの妊娠0~2週までは妊娠していない状態です。
「着床したときが妊娠0週じゃないの?」と意外な感じがしますが、妊娠の暦では最後の生理開始日を「0週0日」としてカウントするのでこのようなことが起こります。
妊娠超初期の症状が現れる時期は、早い人で妊娠3週目からといわれています。
28日周期だと、ちょうどこの時期は生理前と同じタイミングです。妊娠超初期の症状と生理前はタイミングがかぶっているため、どちらの症状なのか分かりづらいということになります。
妊娠超初期(妊娠3週) | 生理前 |
・腹痛や腰痛 ・おりものの増加 ・眠気やだるさ ・イライラ、情緒不安定 ・食欲の増加または低下 ・むくみ ・吐き気 ・めまい、ふらつき ・便秘 ・着床出血 ・体温の上昇(微熱) |
・腹痛や腰痛 ・おりものの増加 ・眠気やだるさ ・イライラ、情緒不安定 ・食欲の増加または低下 ・むくみ ・吐き気 ・めまい、ふらつき ・便秘 ・出血(生理開始時) ・体温の低下(生理開始時) |
妊娠超初期症状と生理前までの症状を比べてみましょう。
驚くことに、両者はほぼ同じ症状を示すことが分かりますね。とくに妊娠と生理で勘違いしやすいのが腹痛や腰痛です。
妊娠すると胎盤が成長したり、リラキシンというホルモンが分泌されたりすることによってお腹や腰に痛みを生じます。これらの痛みは「着床痛」と呼ばれます。
これらの痛みは生理がはじまるころの痛みとよく似ているため、両者の違いを見分けるのは難しいのです。
ほかの妊娠超初期症状も生理前と同じようなものが多いため「生理か妊娠か分からない!」と混乱することになります。
妊娠超初期と生理前の様子はよく似ていますが、この中で違いが出やすいのが「出血」と「体温」です。
それぞれの見分け方について詳しく説明しましょう。
妊娠超初期と生理では、出血の様子が違います。
妊娠すると生理開始予定日になっても出血せず、もし出血したとしても少量です。この出血は「着床出血」と呼ばれるもので、着床の刺激で起こる自然な反応。妊娠した人の約1/4にこの着床出血がみられます。
着床出血は、おりものにほんの少し血が混じる程度でごく少量。色はピンク~茶色で、それほど濃くはありません。
対する生理は赤~暗赤色の濃い色をしており、出血量もおよそ50~120ccと多いのが特徴です。
「そろそろ生理なのに出血しない」「いつもの生理より量が少なすぎる」というときは妊娠している可能性があります。ただ単に生理が遅れているだけかもしれませんが、もしもの場合に備えて無理せず過ごすようにしましょう。
いつもの生理と変わらないなら、妊娠してない可能性が高いです。ただし異常妊娠によって多量に出血することもあるため、様子がおかしいときはためらわず病院を受診しましょう。
次に、体温についてです。体温は生理周期によって低温期と高温期に分けることができます。
・低温期:生理開始からおよそ2週間
・高温期:排卵日からおよそ2週間
(※ 28日周期の場合)
気になる症状が生理によるものであれば、生理に入った段階で低温期に入ります。急に体温が0.3~0.5℃ほど下がったら生理である可能性が高いでしょう。
逆に、高温期を維持しつづけるときは妊娠している可能性があります。37℃ちょっとの微熱を呈することも多く、だるさや不調をともないます。
ただし、高温期が続いていても即妊娠とは限りません。「妊娠したい」と強く思い込む想像妊娠ではホルモンの乱れが生じ、高温期が長引くことがあるからです。
想像妊娠とは、妊娠への強いこだわりによって起こる現象のことです。妊娠しているときと同じようにつわりのような吐き気、だるさ、熱っぽさ、生理の遅れといった症状を示します。
想像妊娠になりやすいのは以下のような人です。
・妊娠を強く望んでいる
・妊娠に対して強い恐怖心がある
・避妊に失敗したかもしれないという強い不安がある
意外なことに、想像妊娠するのは「絶対妊娠したい!」と願っている人だけではありません。流産の経験や避妊の失敗によって「妊娠したくない、妊娠が怖い」と強い負の感情を抱いている人も想像妊娠を起こすことがあります。
ホルモンは脳の影響を受けやすく、強いストレスにさらされると大きく乱れてしまいます。このホルモンの乱れが生理不順を招き、生理が遅れることでさらに「妊娠した!」と思い込む悪循環にはまってしまうのです。
想像妊娠を見分ける大きなポイントは体温です。
基礎体温表をつけている場合は、そのまま記録をしていきましょう。
妊娠していればプロゲステロンの働きによって高温期が17日間維持されますが、妊娠していなければやがて低温期に入って体温が下がります。熱っぽい感じがしても数日で下がるようであれば、想像妊娠の可能性が高いといえます。
「基礎体温表をつけていない」「もともと低温期と高温期がはっきりしない」という方は、妊娠検査薬を使ってみましょう。
妊娠検査薬なら99%の精度で妊娠の有無を見分けることができます。妊娠検査薬は着床によって分泌されるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)によって陽性反応を示します。想像妊娠ではhCGが分泌されないため、陽性になることはまずありません。
「妊娠していない」ということが分かれば、想像妊娠の症状はしだいに落ち着いていきます。
「妊娠かも?」と喜んでいた症状が生理や想像妊娠によるものと分かって、深く落胆する方も多いでしょう。
1日も早い妊娠を望むときに何かできることはあるのでしょうか?
生殖機能に問題がなく「妊娠したい」と考えている健康な男女が正しくタイミングをとっていれば、約80%が半年後に妊娠します。
なかなか妊娠できないときは身体的になんらかのトラブルがあるか、正しくタイミングがとれていないのかもしれません。
不妊検査というとためらいを感じる方も多いかもしれませんが、クリニックできちんと検査することで治療へのステップをすすめられます。
また、タイミングのとり方について医師から指導してもらえるので、2人だけで頑張るよりも効率的に妊活を進められるメリットがあります。
妊活して1年たっているけど妊娠しない、もしくは女性が35歳以上で早く妊娠したいと考えているときは、できるだけ早めに不妊専門のクリニックを受診しましょう。
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不妊検査でもとくに問題がなく、医師の指導を受けているのになかなか妊娠しない、または体外受精をしてもなかなか着床しないことがあります。
こういったケースで考えられる可能性が「受精卵の染色体異常」です。
染色体異常のある受精卵はほとんどが着床できず、着床したとしても初期のうちに流産してしまいます。染色体異常のある受精卵は珍しいものではありませんが、あまりに割合が高いと妊娠までに時間がかかってしまうことが考えられます。
着床前診断は、受精卵の染色体異常を見分ける検査です。染色体異常の少ない胚を子宮に戻してあげれば、それだけ妊娠は成立しやすくなります。
着床前診断を受けたからといって確実に妊娠するわけではありません。しかし、体外受精でもなかなか妊娠できない、少しでも妊活期間を短縮したいというカップルにとってはメリットの大きい検査といえるでしょう。
今回は「妊娠超初期と生理前の症状の違い」について解説しました。どちらも症状がよく似ていて間違いやすいのですが、基礎体温や出血の様子から違いを見分けることができます。
また、想像妊娠も間違いやすい症状を示します。「赤ちゃんが欲しい!」という強いストレスが引き金になっていることもあるため、あまり思いつめずにゆったりと妊活に取り組むことが大切です。
なかなか妊娠しないときはクリニックで不妊検査を受けてみましょう。検査で問題ないのに妊娠しない、体外受精でも着床しないというときは着床前診断を検討するのもひとつの方法です。「ご夫婦にとって何をゴールにするのか」をじっくりと話し合いながら、よりよい未来を選択していきましょう。