株式会社B&C Healthcare 受精卵の染色体・遺伝子検査事業

管理医療機器販売企業
(東京都港区みなと保健所届出)
B&C Healthcare

医師監修コラム

HOME  >  医師監修コラム  >  【医師監修】「流産後は妊娠しやすい」って本当?噂の真相と根拠について

【医師監修】「流産後は妊娠しやすい」って本当?噂の真相と根拠について

2023.01.18

「流産したあとは妊娠しやすくなる」という噂を聞いたことはありますか? インターネットやSNSでも体験談を添えて囁かれ、噂を信じている人は少なくないようです。

 

ですが、この噂に明らかな医学的根拠はあるのでしょうか。今回は気になる噂の真相についてお話するとともに、流産後の過ごし方や妊活再開の時期について解説します。

 

流産後は妊娠しやすくなるって本当?

結論からいうと「流産後に妊娠しやすくなる」という医学的な根拠はありません。

 

流産すると子宮の内容物が排出されてきれいになり、次の妊娠がしやすくなるという人もいますが、実際にこれを裏づけるデータはないのです。

 

ではなぜこのような噂が出てきたのでしょうか?

 

なぜ「流産後は妊娠しやすくなる」という噂があるのか

出産は性交から受精、着床、妊娠継続と諸々の条件をクリアしてはじめて叶うものです。流産したということは、少なくとも着床にいたるまでの力はあったという証明になります。

 

したがって「流産すると妊娠しやすい」という噂は「流産する=妊娠できる」という話がねじれて伝わったものと推測されます。

 

「流産すると子宮の内容物がきれいに排出されて着床しやすくなる」という説を唱える人もいますが、ただ流産をしただけでリセットされるかどうかは医学的根拠に乏しいものです。

 

確かに流産後の処置でポリープや癒着が見つかり、治療をして妊娠率が上がるケースもなくはないでしょう。ですがこれはあくまで治療した結果であり、流産そのものが妊娠率を上げているわけではないのです。

 

そもそも流産とは?

流産は「妊娠22週までに妊娠が終わること」と定義され、早期流産(~妊娠12週未満)と後期流産(妊娠12~22週まで)に分けることができます。

 

すべての妊娠で流産が起こる可能性は約15%ですが、そのうち約13%は早期流産です。妊娠12週までの流産が大部分を占めています。

 

早期流産はほとんどが受精卵の染色体異常によって起きるといわれ、年齢を問わずすべてのカップルにリスクがあります。

 

流産によるダメージ

流産をしたあとは、次のような症状を示すことがあります。

 

・月経不順

・下腹部痛

・おりものの減少

・経血の減少

・めまいやふらつき

・貧血

 

これらは流産によるダメージがまだ身体に残っているサインです。身体の不調以外にも、心に深い傷を負う人が少なくありません。

 

流産したら休みは必要

流産したら休みは必要

 

流産は心にも身体にも大きな負担がかかります。順調に回復すれば妊活を再開できますが、それまでゆっくり休んで心身を労わることも大切です。

 

「流産直後は妊娠しやすいらしいから」と回復しきっていない状態で無理をすると、子宮内部の傷が癒着して妊娠しづらくなるリスクもあります。月経のリズムがととのい、医師のOKサインが出るまではいったん妊活をお休みしましょう。

 

流産後の過ごし方

流産した直後は1週間ほど出血があります。感染しやすい時期なので、処方された抗生剤はきっちり飲み切るようにしましょう。数日間はシャワー浴です。子宮をもとの状態に戻すため、子宮収縮剤も処方されます。

 

排出してから1ヶ月ほど経つと次の月経がはじまります。それまで激しいスポーツや労働は避け、気分がすぐれないときは無理せず休憩をとりましょう。

 

また、妊活にはスムーズなホルモン分泌が必要です。ホルモンバランスをととのえるには規則正しい生活が欠かせません。

 

・十分な睡眠をとる

・身体を温める

・食事は3食バランスよく

・落ち着いたら軽い運動を

 

これらのポイントに気をつけて、妊娠しやすい身体をゆっくりと作っていきましょう。

 

妊活を再開する時期は?

妊活をいつ再開できるかは個人差があります。ひとつの目安になるのが流産時の週数です。

 

化学流産(妊娠6週未満)なら、身体の負担はほとんどないと考えていいでしょう。次の月経が来たらすぐに妊活を再開して差し支えありません。ただし、いたずらにショックを重ねることのないよう妊娠検査薬のフライング使用は避けましょう。

 

妊娠6〜22週までの流産では傷やダメージに個人差があります。1〜3回ほど月経を見送れば子宮が回復するので、医師と相談して再開するタイミングを決めましょう。

 

半年ほど待った方がいいケースも

通常の流産であれば、長い間妊活を控える必要はありません。ですが、胞状奇胎(胎盤組織が過剰に増殖する異常妊娠)は例外です。

 

胞状奇胎では異常に増殖した組織ががん化するおそれがあり、子宮内容物を完全に除去したのちに絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の低下を認めるまでは避妊をしなければなりません。

 

避妊期間の目安は6ヶ月です。きちんと治療すればその後は妊活を再開でき、流産や先天性異常のリスクが高まることもありません。

 

流産後を繰り返すことはある?

流産後を繰り返すことはある?

 

流産したからといって妊娠しづらくなるわけではありませんが、中には2回3回と流産を繰り返す方もいます。これは一体なぜなのでしょうか。

 

流産を繰り返す原因と対策についてお話しましょう。

 

流産を繰り返す原因

2回以上流産や死産を繰り返すときは、不育症の可能性があります。すべての妊娠で流産は約15%なのに対し、不育症が起こる可能性は約5%です。

 

不育症の原因として考えられるのは以下のようなケースです。

 

(免疫系の異常)

抗リン脂質抗体という物質が母体の血液中に出現すると、血が固まりやすくなって流産の原因になります。

 

(内分泌の異常)

甲状腺機能に異常があると、妊娠の維持に影響するといわれています。糖尿病も流産のリスクになるため、医学的な管理が必要です。

 

(子宮の異常)

中隔子宮や双角子宮などがあると、胎児や胎盤が圧迫されて流産しやすくなることがあります。

 

(染色体異常)

流産の原因でもっとも多いのが受精卵の染色体異常です。染色体の一部が欠けたり重複したりしているために、お腹の中でうまく成長することができず流産してしまいます。

 

上記にあてはまらなくても偶発的に流産を繰り返すことはありますが、心配であればクリニックで検査を受けておくとよいでしょう。

 

こちらもおすすめ

【医師監修】不妊症になりやすいのはどんな人?リスクが高いときにとるべき行動

 

流産を回避する方法は?

流産を繰り返す原因が見つかった場合、治療することはできるのでしょうか。

 

免疫系異常および内分泌異常は、適切な治療とコントロールで流産リスクを下げることができます。子宮異常は経過観察で様子を見ることも多いですが、治療が必要なときは手術で対応します。

 

ですが、もっとも多いとされる染色体異常は治療する方法がありません。両親が年齢を重ねるほど染色体異常の割合は増えるため、どれだけ早く妊活を開始できるかがカギとなります。

 

着床前診断という方法

妊活は早めにスタートすることが大切ですが、すでに年齢を重ねている場合はどうやって流産を回避すればいいのでしょうか。

 

そこで近年注目されているのが「着床前診断」という方法です。体外受精で得た受精卵の一部を採取し、お腹の中で成長する力があるかどうかをチェックします。

 

染色体異常のない受精卵を子宮に戻すことで、流産率の低下が期待できます。流産による心理的・身体的負担をおさえ、残された時間を有効に活用することにもつながるのです。

 

まとめ

「流産後は妊娠しやすくなる」という噂に医学的根拠はありません。むしろ子宮が回復しないうちに無理をすると癒着を起こすリスクがあります。流産したあとは十分に身体を休め、次の妊娠に備えましょう。

 

「流産を繰り返すのでは?」と不安なときは、子宮や免疫系をチェックしたり、着床前診断を検討したりすることが安心材料になります。着床前診断は条件をクリアしないと受けられないと思われがちですが、現在は日本国内で治療を受け検査のために受精卵だけを海外輸送する方法や、受精卵からDNA情報のみを取り出しそのDNAを海外に送る着床前診断プログラムが存在します。着床前診断については、株式会社B&C Healthcareが詳しい資料を無料提供しています。興味のある方は一度取り寄せてみてはいかがでしょうか。

 

 

監修

中林 稔 先生
三楽病院 産婦人科部長

日本医科大学卒業。東京大学医学部附属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。毎日出産や手術に立ち会う傍ら、各地で講演を行い医学的知識や技術の普及に力を入れている。また、少子化及び産婦人科医師不足問題にも積極的に取り組み、教育においても若手医師の育成をはじめ助産師学院の設立等、幅広く活動を行っている。

CATEGORY

ARCHIVE

SCROLL
資料請求
事前カウンセリング