
「出生前診断って、実際どれくらいの妊婦さんが受けているの?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。お腹の赤ちゃんの健康状態は誰しも気になるものです。とはいえ、出生前診断は任意の検査であり、受けるかどうかは妊婦さん自身とパートナーの判断にゆだねられています。
この記事では、厚生労働省の調査データをもとに出生前診断を受ける割合を年齢別に紹介します。さらに、受検率が増加している背景や海外との比較、検査の種類・費用、受けるかどうかの判断ポイントまでまとめました。出生前診断を検討中の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

まずは、日本で出生前診断を受けている妊婦さんの割合を、全体と年齢別に見ていきましょう。ここでは、出生前診断を受ける割合を年齢別データで紹介します。
NIPTを含む出生前診断の受検数は出生数約97.7万件に対して約7.2%でした。高齢妊婦(35歳以上)に限定すると、約27.8万人中の25.1%が何らかの出生前診断を受けています。出生数自体は減少傾向にもかかわらず、受検数は増え続けている状況です。
厚生労働省の専門委員会が2020年に実施した調査では、何らかの出生前診断を受けた割合は次のとおりです。35歳未満が17.1%、35〜39歳が34.7%、40歳以上では59.1%となっています。年齢が高くなるほど染色体異常のリスクが上がるため、受検率も比例して高くなる傾向が見られます。
同じく厚生労働省の2020年調査では、「今後妊娠するなら出生前診断を受けたいか」の問いに対し、女性の51.8%が受けたいと回答しました。男性も51.5%が同様の回答をしています。一方で「受けたくない」と答えたのは女性7.2%、男性6.2%にとどまりました。半数以上が検査に前向きであることがわかります。

なぜ出生前診断を受ける妊婦さんが増えているのでしょうか。ここでは、出生前診断を受ける割合が増加している主な要因を3つ紹介します。
厚生労働省のデータによると、第1子出産時の平均年齢は2000年の28.0歳から2015年以降は30.7歳へと上昇しました。35歳以上の出産は全体の約3割を占めています。母体年齢が上がるほど染色体異常のリスクは高まるため、検査へのニーズも自然と増えているのです。
2013年に日本で導入されたNIPTは、採血だけで検査でき、精度も99%と高い点が特徴です。従来の羊水検査のような流産リスクがないため、心理的ハードルが下がりました。導入以降、NIPTの受検者数は年々増加しています。認証施設と非認証施設を合わせると、2022〜2023年の推計で年間約12.5万人が受検したとされています。
インターネットやSNSの普及により、出生前診断に関する情報を得やすくなったことも大きな要因です。以前は医師から積極的に説明される機会が少なかったものの、情報に触れることで「自分も受けてみたい」と考える妊婦さんが増えています。

日本の受検率は海外と比較するとどの程度なのでしょうか。ここでは、出生前診断を受ける割合を主要国のデータと照らし合わせて解説します。
海外の非確定的検査の受検率を見ると、アメリカが約60〜70%、イギリスが約84%、デンマークは90%以上と報告されています。これらの国では、すべての妊婦に出生前診断の選択肢が提示される体制が整っている点が共通しています。確定的検査についてはアメリカ5〜10%、イギリス(イングランド&ウェールズ)約2.9%、デンマーク5.4%と低めで、まずは非確定的検査を受ける流れが一般的です。
日本の非確定的検査の受検率は2008年時点で約1.7%と、欧米と比べてかなり低い水準でした。近年はNIPTの普及により上昇し、2022〜2023年の推計では全妊婦の約17%が何らかの出生前検査を受けているとされています。それでも欧米との差は大きく、背景にはすべての妊婦への積極的な情報提供が行われていないこと、検査が保険適用外で費用が全額自己負担になること、倫理的な議論から医療者側が勧めにくい風潮があることなどが挙げられます。

出生前診断には複数の検査方法があり、費用も異なります。ここでは、出生前診断を受ける際に知っておきたい検査の種類と費用の目安を紹介します。
非確定的検査は染色体異常の「可能性」を調べるスクリーニング検査です。NIPTは妊娠10週以降に採血で実施でき、費用は8〜20万円程度。陰性的中率は99%と高く、最も選ばれている検査です。母体血清マーカー検査(クアトロテスト)は2〜3万円と手頃ですが、精度は約80%にとどまります。コンバインド検査は約3万円で、精度は約83%です。
確定的検査は染色体異常の有無をほぼ100%の精度で診断できる検査です。羊水検査は妊娠15〜16週以降に実施し、費用は10〜20万円程度。従来は流産リスクが約0.3%とされてきましたが、2019年の国際的なメタアナリシスでは0.12%と報告されており、検査を受けない場合との有意差は認められていません。絨毛検査は妊娠11週から受けられ、費用は同程度です。こちらも従来は流産リスク約1%とされていましたが、最新の研究では有意なリスク増加は確認されていません。いずれも保険適用外で全額自己負担となります。

データや検査内容を知った上で、最終的にどう判断すればいいのでしょうか。ここでは、出生前診断を受ける割合やデータを踏まえた判断ポイントを整理します。
メリットは、陰性なら安心材料になること、異常が見つかった場合は出産前に心の準備や医療体制の整備ができることです。一方でデメリットとしては、結果次第で精神的負担が大きくなる可能性がある点、検査費用が高額な点が挙げられます。検査ですべての異常がわかるわけではない点も理解しておく必要があるでしょう。
検査前に夫婦で話し合っておきたいポイントは3つあります。1つ目は「なぜ検査を受けたいのか」という目的の明確化。2つ目は「陽性だった場合にどうするか」の方針。3つ目は「結果にかかわらず、お互いをどう支えるか」です。不安な場合は遺伝カウンセリングを活用し、専門家の力を借りることも選択肢の一つです。
出生前診断を受ける割合は、日本全体では約7%ですが、40歳以上に限ると約6割に達します。高齢出産の増加やNIPTの普及により、今後も受検率は上がっていくと予想されます。海外ではすべての妊婦に選択肢が提示される国も多い一方、日本ではまだ情報提供や費用面に課題が残っています。
大切なのは、周囲の割合に流されるのではなく、夫婦で納得した上で判断することです。迷ったときは産婦人科医や遺伝カウンセラーに相談し、自分たちに合った選択をしてください。
また、生まれてくる子供に染色体異常があるかどうか不安な場合は、妊娠する前に染色体異常の有無を調べることができる「着床前診断」という検査があります。検査結果で正常な染色体の受精卵を移植すれば、胎児の染色体異常を防げる可能性が高まります。不安や迷いがあるときは、B&C Healthcareのような専門機関に相談することをおすすめします。
