
「新型出生前診断(NIPT)で陰性と言われたのに、実はダウン症だったというケースはあるのだろうか」と不安を感じている方は多いのではないでしょうか。せっかく陰性の結果が出ても、ネットで偽陰性の体験談を目にすると、落ち着かない気持ちになってしまうものです。結論からいえば、NIPTで陰性なら赤ちゃんがダウン症である可能性は極めて低いものの、ごくまれに偽陰性が起こることもあります。
この記事では、新型出生前診断が陰性でもダウン症だったケースが起こる理由や確率、検査の限界について、認定施設のデータをもとに解説します。妊娠前からより安心して赤ちゃんを迎えるための選択肢もまとめました。妊活中・妊娠中の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

陰性の結果が出ても、本当に大丈夫なのか気になる方は少なくありません。まずは、多くの方が抱く不安に、データをもとに結論からお答えします。
NIPTで陰性でも、ごくまれにダウン症だったというケースはあります。これは「偽陰性」と呼ばれ、本当は染色体異常があるのに検査で陰性と出てしまう現象です。認定施設で2013年4月から2019年3月に行われた75,525件のうち、陰性は58,893例でした。そのなかで偽陰性は0.01%で、21トリソミー(ダウン症)が3件、18トリソミーが3件と報告されています。頻度としてはおよそ1万人に1人という、非常にまれなものです。
偽陰性はまれで、NIPTの陰性結果は信頼度の高いものです。ダウン症など3つのトリソミーについて、陰性的中率は99.9%と報告されています。陰性的中率とは、陰性と判定された人のうち、実際に染色体異常がない人の割合のことです。つまり、陰性であれば赤ちゃんがダウン症である可能性は極めて低いといえます。まれな偽陰性を心配しすぎて、過度に不安になる必要はありません。

なぜ、まれに偽陰性が起こるのでしょうか。ここでは、NIPTで陰性でもダウン症になる主な理由を3つ紹介します。
偽陰性の原因の一つは、検査する血液に含まれる胎児のDNAが少ないことです。NIPTは、母体の血液にわずかに流れている胎児由来のDNA断片を分析します。この胎児分画の割合が低いと、たとえ染色体異常があっても検出できず、陰性と表示されることがあります。妊娠週数が早すぎる場合や、体格などの影響で胎児分画が少なくなることが知られています。
胎盤と胎児で染色体が異なる「胎盤限局性モザイク」も偽陰性の原因になります。NIPTが分析するDNAは、赤ちゃん本体ではなく胎盤(絨毛)に由来するものです。そのため、胎盤の染色体が正常でも、赤ちゃん自身に異常があると陰性と出てしまうことがあります。非常に珍しいケースであり、現在も研究が続けられている段階です。
モザイク型のダウン症は、通常のダウン症より検出されにくい傾向があります。モザイク型とは、体の細胞の一部だけに染色体異常がある状態です。異常のある細胞の割合が低いと、検査に反映される信号も弱くなり、陰性と判定されることがあります。こうしたケースは全体のごく一部にとどまります。
偽陰性を正しく理解するには、NIPTがどんな検査なのかを知ることが欠かせません。ここでは、NIPTの位置づけと限界を整理します。
NIPTは、すべての病気を調べる検査ではありません。基本的に調べられるのは、21トリソミー(ダウン症)・18トリソミー・13トリソミーの3つです。生まれつきの病気は100種類以上あるとされ、ダウン症はそのうちの一つにすぎません。NIPTが陰性でも、対象外の病気の可能性まで否定できるわけではない点は理解しておきたいところです。
NIPTは可能性を調べるスクリーニング検査であり、診断を確定するものではありません。結果を確定させるには、羊水検査や絨毛検査といった確定的検査が必要です。これらはほぼ100%の精度で診断できますが、わずかに流産のリスクを伴います。確定的検査を受けるかどうかは、夫婦でよく話し合って決めることが大切です。
まれとはいえ偽陰性がある以上、結果との向き合い方も知っておきたいものです。ここでは、NIPTの結果を受け取ったあとの考え方を紹介します。
大切なのは、陰性でも100%ではないと知っておくことです。NIPTの陰性は限りなく安心に近い結果ですが、まれに偽陰性があること、対象が3つのトリソミーに限られることは事実です。過度に恐れる必要はないものの、絶対的な保証ではないと理解しておくことで、結果を落ち着いて受け止められます。
不安が残るときは、専門家の力を借りるのが安心につながります。認定施設では、検査の前後に遺伝カウンセリングを受けられます。結果の意味や、確定的検査を受けるべきかどうかを、専門家と一緒に整理できます。一人で抱え込まず、パートナーや専門家と話し合いながら判断していきましょう。

ここまでの内容を踏まえ、もっと早い段階で染色体に向き合いたいという方に、一つの選択肢を紹介します。妊娠する前にできる「着床前診断」です。
着床前診断とは、子宮に戻す前の受精卵の染色体を調べる検査です。体外受精・顕微授精で得た受精卵から細胞の一部を採取し、染色体の数に過不足がないかを確認します。妊娠してから調べるNIPTと違い、移植する前の段階で染色体の状態を把握できる点が特徴です。染色体の数の異常は流産の大きな原因でもあるため、流産を繰り返している方の選択肢にもなります。
染色体の数が正常な受精卵を選んで移植することで、染色体異常による流産や、生まれてくる子の染色体異常を防げる可能性が高まります。妊娠が成立する前の段階で対策できるため、より早く安心につなげたい方に向いています。ただし、着床前診断も精度は100%ではなく、受精卵の一部の細胞を調べる検査であるため、すべての病気がわかるわけではありません。妊娠後の出生前検査と組み合わせて考えることが大切です。
NIPTで陰性でも、ごくまれにダウン症だったという偽陰性が起こることがあります。原因は胎児由来のDNAの不足や、胎盤と胎児の染色体の違いなどです。とはいえ陰性的中率は99.9%と非常に高く、陰性であれば赤ちゃんがダウン症である可能性は極めて低いといえます。大切なのは、NIPTがスクリーニング検査であり100%ではないと理解したうえで、必要に応じて確定的検査や遺伝カウンセリングを活用することです。
また、妊娠前の段階から染色体に向き合いたい場合は、受精卵の染色体を調べられる「着床前診断」という選択肢があります。染色体の数が正常な受精卵を移植すれば、染色体異常による流産や胎児の染色体異常を防げる可能性が高まります。不安や迷いがあるときは、B&C Healthcareのような専門機関に相談してみてください。
