胎児に見られる染色体異常の中でも特に多いとされているのが、ダウン症です。染色体異常とダウン症の関係、染色体異常の早期発見や対策方法などを解説するとともに、B&C Healthcare着床前診断プログラムについて詳しくご紹介します。
「染色体異常」というと特殊な事象のように思われがちですが、排卵した卵子の25%程度、精子の10%程度には何らかの染色体異常があると言われています。
ただしその割合は年齢によって異なり、加齢とともに染色体異常がある卵子の割合が増えることが分かっています。
しかしながら、問題のない卵子と精子が受精しても異常が生じるケースがあることから、染色体異常は特殊ではなく、一般的に起こっている事象であると言えます。
胎児に見られる染色体異常の中でも多いのがダウン症です。ダウン症とは21番目の染色体が3本(通常は2本)ある染色体異常です。染色体が3本に増える異常はトリソミーと呼ばれており、それが21番目の染色体に生じることから、「21トリソミー」といわれています。
母親の年齢が30歳では1,000人に1人程度、40歳では100人に1人程度と、加齢に伴ってダウン症の割合も高くなるとされています。高齢出産ではダウン症のリスクが上がるといわれていますが、実際に統計からも示されています。
ダウン症の種類によっては両親からの遺伝によって発生するケースもありますが、少数派であり、ほとんどは偶然発生する染色体異常が原因となります。したがって、染色体異常によるダウン症の発生は、誰にでも起こり得ることといえるのです。
異常の度合いが大きい場合、着床しない(妊娠に至らない)ケースがほとんどですが、異常の度合いが小さい場合、着床することがあります。しかし、成長が止まるなどして、結果的に流産してしまうケースが多くあります。
染色体異常を調べる方法として注目されているのが「着床前診断」です。
着床前診断とは、体外受精した受精卵が「胚盤胞」という状態に成長した段階で、細胞を数個程度採取し、22組の常染色体と1組の性染色体の異数性を調べます。
この検査では、体外受精でできた胚を調べ、異常のない胚だけを子宮に移植することで、異常の発生や流産を防ぐことが可能となります。
着床前診断には「着床前単一遺伝子疾患検査(PGT-M)」と「着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)」、「着床前染色体構造異常検査(PGT-SR)」という3種類の検査があります。それぞれの検査で目的には違いがあり、使い分けられています。
◆着床前単一遺伝子疾患検(PGT-M)
ご夫婦のどちらか(または双方)が特定の遺伝性疾患の保因者であり、疾患が赤ちゃんに遺伝する可能性がある場合に行う検査です。子宮に移植する前に染色体異常の有無が分かるため、出生前診断のように、妊娠を継続するべきかどうかといった選択に迫られることがありません。
◆着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)
染色体異常のない、着床しやすく流産しにくい受精卵を選んで子宮に戻すことで、体外受精の妊娠率を高めたり、流産を予防したりできるほか、男女の性別も事前に判定することができます。
◆着床前染色体構造異常検査(PGT-SR)
着床前染色体構造異常検査(PGT-SR)は、ご夫婦のどちらかに転座や逆位などの均衡型の染色体構造異常がある場合に受ける検査です。転座とは、染色体が部分的に切断され、同じ染色体の他の部分、他の染色体に付着する異常のことです。逆位は、染色体の一部が部分的に逆になり、入れ替わる異常を指します。
染色体異常を調べる方法として、クアトロテスト、羊水検査、新型出生前診断などもありますが、これらが着床前診断と違うのは「着床後」、つまり妊娠後に行う検査であるという点です。
そのため、何らかの染色体異常の可能性があると分かった場合、妊娠を継続するべきかどうかといった難しい選択に迫られることがあります。また、着床前診断は、母体の腹部に針を刺すといった羊水検査のような身体的負担もありません。
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着床前診断を受けての最初の出産例が報告されたのは1990年ということからも、歴史のある検査ということが分かります。すでに米国、オーストラリア、英国、フランス、ベルギー、アジアでは中国、韓国、タイ、マレーシアなど世界各国で実施されている技術でもあります。
着床前診断が原因で異常が生じたという報告が1例もないことからも、着床前診断そのものにデメリットはないと言えます。しかし検査できる細胞の数が限られているため、検査した細胞に異常がなくても、検査していない残りの細胞に異常がある場合もあります。そのため着床前診断で異常なしと診断し胚移植を行った場合でも染色体異常の子供が産まれたり、流産したりすることもあります。また受精卵に染色体異常がなくても着床前診断で異常ありと診断してしまう(擬陽性)可能性もあります。
さらに着床前診断によって染色体異常があることが分かると、その胚の移植を行わない選択をすることになります。こうしたことから、着床前診断については、出生前診断と同様に「命の選別になるのではないか」「障害への差別を助長するのではないか」といった議論が繰り返されています。
また、日本産科婦人科学会が臨床研究を実施することによって、少しずつ日本でも解禁の動きが始まっていますが、現段階では着床前診断の一般診療化を認めておらず、同学会が許可した項目しか検査することができません。
様々なメリットとデメリットがありますが、着床前診断や出生前診断によって染色体異常があることが分かると、出産に向けた準備、生育環境を整えるための準備、将来的な治療費の準備など、さまざまな準備の時間を持つことができます。こうした点から非常に有用な技術であることは間違いなく、ご夫婦がそれを希望することは決して間違いではありません。
日本にいながら着床前診断が受けられるB&C Healthcare着床前診断プログラムは、B&C Healthcareが提供する実績の豊富な着床前診断プログラムです。
染色体異常のない受精卵だけを子宮に戻すことで、着床率が大きく向上するだけでなく、流産の可能性も大きく減らすことができます。また、着床前診断では、数ある産み分け法の中で最も高い確率(統計上98%以上と言われています。) で男女の産み分けが可能になります。
国内で体外受精を行い、受精卵または受精卵から採取して増幅したDNAのみを米国の検査機関に輸送し、着床前診断を実施します。
受精卵そのものを輸送する方法のみではないため、2度の凍結が心配な方は、DNAだけを送る方法を選択することができます。
また、日本で提供しているプログラムですが、検査を実施するのは米国で多くの実績のある機関ですので、安心して受けることができます。
妊娠について不安を抱えている方は、着床前診断を検討してみてはいかがでしょうか?