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【医師監修】反復流産とは?不育症や習慣流産とどう違う?原因と対策について解説

2022.08.17
【医師監修】反復流産とは?不育症や習慣流産とどう違う?原因と対策について解説

流産は1回だけでもつらい経験ですが、度重なるとその悲しみはなおさらです。

繰り返す流産を「反復流産」と呼ぶことがあります。反復流産はなぜ起こるのでしょうか?そして、有効な治療方法はあるのでしょうか?

今回は、反復流産の原因とそれぞれの治療法について解説していきます。

 

反復流産とは?不育症とどう違う?

反復流産がなぜ起こるのかを解説する前に、そもそも「反復流産」は何なのかをご説明しましょう。

 

反復流産の定義は?どのくらいの頻度で起こる?

反復流産は「自然流産を2回以上繰り返すこと」と定義されています。

 

いわゆる化学流産(妊娠検査薬で陽性が出たのにエコーで確認できなかった超初期の流産)、もしくは中絶を繰り返したときは反復流産とは呼びません。クリニックで妊娠が確認できていたのに流産してしまう経験を2回続けて繰り返したときに反復流産と診断されます。

 

1回の流産がおよそ15%の頻度で起こるのに対し、反復流産の頻度はおよそ5%です。きわめてまれな確率ではなく、誰もが経験する可能性があります。

 

また、1人目が正常分娩でも2人目以降で反復流産になることがあります。

 

反復流産と習慣流産の違い

反復流産と習慣流産の違い

 

反復流産とよく似たものに「習慣流産」があります。

 

習慣流産とは「自然流産を3回以上繰り返すこと」です。反復流産との違いは回数で、起こる頻度は約1%とされています。

 

1回の流産の場合、ほとんどは偶発的なものです。しかし反復流産や習慣流産のように繰り返し起こるときは、流産しやすい何らかの原因が潜んでいるおそれがあります。

 

反復流産は不育症のひとつ

反復流産や習慣流産は、不育症という大きな枠の中に入ります。不育症は「妊娠はするけれども流産や死産を繰り返す」という状態を総称したものです。

 

(不育症)

・2回以上の流産

・2回以上の死産

・生後1週間以内の早期新生児死亡

妊娠22週未満で赤ちゃんが亡くなってしまうことを流産、22週以降を死産といいます。また、生後1週間以内の新生児の死亡も不育症に含まれます。

 

不育症と診断されたら早めに検査を受けましょう。年齢を重ねれば重ねるほど、誰でも妊娠しにくく流産しやすい体質になっていきます。限られた時間を有効に使うために、原因を見極めておくことが大切です。

 

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流産を繰り返す原因(リスク因子)は?

流産を繰り返すとき、原因として次のようなことが背景になっていると考えられます。

 

・染色体異常

・抗リン脂質抗体症候群

・子宮の形態異常

・内分泌の異常

 

それぞれ詳しく解説しましょう。

 

染色体異常

染色体には親から受け継いだ数多くの遺伝情報が詰め込まれています。胎児の染色体の数や構造に異常があると、そのほとんどは生まれてくることができません。

 

夫婦の染色体に構造上の異常があり、それが卵子や精子の染色体に影響を及ぼすことがあります。ですが、大多数は夫婦ともに異常のない偶発的なものです。

 

染色体異常は不育症のおよそ40%を占め、もっとも大きなリスク因子となっています。

 

抗リン脂質抗体症候群

抗リン脂質抗体症候群は、自己免疫疾患のひとつです。

 

「抗リン脂質抗体」という自己抗体が原因となり、胎盤中に血栓ができてしまいます。この血栓によって流産のリスクが高まってしまうのです。

 

抗リン脂質抗体症候群は30~40歳の女性に多い病気ですが、思春期から発症することもあります。不育症全体のおよそ9%は抗リン脂質抗体症候群によるものです。

 

子宮の形態異常

子宮の形態異常によって、流産リスクが高まることがあります。

 

子宮の形態異常の中でもっとも多いのが「中隔子宮」です。子宮の間に左右を隔てる壁があり、この壁が胎児や胎盤を圧迫してしまいます。

 

子宮の形態異常は、不育症全体の5%ほどです。染色体異常と比べるとそれほど高い頻度ではありません。

 

内分泌の異常

甲状腺機能障害や糖尿病といった内分泌異常は、流産のリスク因子になることが知られています。

 

適切な治療を受けて安定した状態であればそれほどリスクはありません。ですが、コントロールがよくないと甲状腺自己抗体や高血糖が悪影響を及ぼすことがあります。

 

内分泌異常の割合は、不育症全体の約6%です。

 

反復流産の治療はできる?

反復流産の治療はできる?

 

反復流産の原因をお話ししましたが、これらの治療はできるのでしょうか?治療できるものとできないものについて説明します。

 

治療できるもの

次に示したものについては治療が可能です。

 

・抗リン脂質抗体症候群

・内分泌の異常

・子宮の形態異常

 

抗リン脂質抗体症候群や内分泌は血液検査、子宮形態異常は子宮卵管造影もしくは経膣エコー検査をおこないます。

 

抗リン脂質抗体症候群なら血栓や炎症をおさえるヘパリンの投与、内分泌異常なら薬物療法とライフスタイル改善の併用が効果的です。

 

子宮の形態異常は手術で治療できますが、場合によってはそのまま経過を見守ります。手術をしなくても次の妊娠で約60%が、その後の観察で約80%が出産に至ったという報告があります。

 

治療できないもの

治療できないのは「染色体異常」です。

 

染色体異常の有無については、流産絨毛染色体検査や夫婦の染色体検査などで調べることができます。

 

しかし、染色体異常そのものを治療する方法はありません。人工的に足りない染色体を増やしたり、多すぎる染色体を減らしたりすることはできないからです。

 

では、染色体異常が原因と分かったときは諦めるしかないのでしょうか。

 

染色体異常だと流産は避けられない?

染色体異常でも、流産を回避する方法がひとつだけあります。それは「着床前診断」です。ニュースで耳にすることも多い着床前診断ですが、いったいどういった検査なのでしょうか。

 

着床前診断とは?

着床前診断とは、体外受精で得られた受精卵の一部を採取して染色体を調べる検査です。

 

染色体異常そのものを治すことはできません。ですが、異常のない受精卵を調べることならできます。着床前診断で調べた受精卵のうち、もっとも染色体が正常なものを子宮に戻すことで流産率を下げるというわけです。

 

日本産科婦人科学会でも不妊治療を目的とした着床前診断を正式にスタートさせました(2022年4月以降)。着床前診断は、治療不可能とされた染色体異常において注目のキーワードとなっています。

 

着床前診断の条件

着床前診断(不妊治療目的)で対象になるのは次のケースです。

 

・2回以上流産している

・2回以上の体外受精で出産できなかった

・夫婦のどちらかに染色体異常がある

 

夫婦どちらかの染色体異常がなければ、2回以上の流産(または体外受精不成功)を経験していることが条件です。

 

ですが「2回流産していないけれど着床前診断を受けたい」という方は多いでしょう。流産したときの心身の負荷、限られたタイムリミットを考えれば当然です。

 

時間を削り、つらい経験を繰り返さなければ、着床前診断は受けられないのでしょうか。

 

流産の回数を問わない着床前診断がある

実は、着床前診断は2回流産しなくても受けることができます。

 

その方法は「渡航」です。日本国内のクリニックでは条件を満たす必要がありますが、規制の少ないアメリカで受ければ流産回数は問われません。

 

とはいえ、検査のために渡航するのは大変な労力です。

 

うれしいことに、最近では渡航の必要がない着床前診断が登場しています。株式会社B&C Healthcareの着床前診断プログラムでは、旅するのは凍結された受精卵だけです。ご夫婦は日本で仕事やプライべートをこなしながら、結果を待つことができます。

 

日本で着床診断ができず悩む方にとっては、新しい選択肢のひとつとなるでしょう。

 

まとめ

反復流産の原因はさまざまですが、もっとも大きな割合を占めるのは染色体異常です。染色体異常には治療法がありませんが、着床前診断によって流産リスクを低下させることができます。

 

繰り返す流産に悩んでいる方、年齢的に流産リスクが心配な方は一度着床前診断について調べてみてはいかがでしょうか。

 

 

監修

中林 稔 先生
三楽病院 産婦人科部長

日本医科大学卒業。東京大学医学部附属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。毎日出産や手術に立ち会う傍ら、各地で講演を行い医学的知識や技術の普及に力を入れている。また、少子化及び産婦人科医師不足問題にも積極的に取り組み、教育においても若手医師の育成をはじめ助産師学院の設立等、幅広く活動を行っている。

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