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【医師監修】受精卵が染色体異常の確率は?年齢との関係と対策を解説

2021.09.30

晩婚化が進み、30歳を過ぎて妊活する方が増えている現代。一般的には、年齢が上がると精子や卵子の質が低下すると言われています。受精卵が染色体異常の確率も高まり、不妊や流産の原因になることも。

そんなとき、「妊娠率は下がるの?」「どんな対策をすればよいの?」と疑問や不安を抱く方もいらっしゃるでしょう。

そこで本記事では、「染色体異常」をテーマに概要や年齢別の発生率、対策などを解説します。不妊傾向の方や高齢出産の方は今回の内容を知っておくと不安の解消になり、また今後の選択肢も得られるでしょう。

受精卵の染色体異常とは

そもそも、染色体異常とは何なのでしょうか?

受精卵の「染色体異常」はどのような状態?

通常、人間の各細胞の格部分には46本の染色体(DNA情報)が含まれています。精子から23本、卵子から23本の染色体を受け継ぎ、合計46本の染色体を含む細胞が作られるのです。「染色体異常」とは文字通り、「46本(通常)でない染色体」を指します。染色体の数が多かったり、少なかったりする状態や数的異常)構造の異常もあります。

受精卵の段階で染色体異常だと、多くは妊娠が継続されずに自然流産に繋がることがほとんど。ですがそのまま着床し、赤ちゃんが育つとするとダウン症(21トリソミー)などの先天的な障がいがある赤ちゃんが産まれる場合があります。

染色体異常が起こる原因

なぜ異常が起こってしまうのでしょうか?結論として、はっきりとした原因はなく「偶然、受精卵の染色体の分裂が上手くいかなかった」のです。ですが、卵子側の染色体の分裂に異常が起こるケースが多いと言われています。

卵子側の分裂に異常が起きる原因として、「卵子の質の低下」があげられています。卵子の質は、年齢が上がるにつれ低下します。つまり、妊婦の年齢が高いほど染色体異常のリスクが高まるのです。

妊婦が若ければ異常は発生しない?

では妊婦が若ければ、染色体異常の心配はないのでしょうか?先述した通り、妊婦の加齢で発生率は高まります。ですが、若かったとしても発生する可能性はあるのです。現に、一般的な流産率は約15%で、妊娠した方の7人に1人に該当。そのほとんどが染色体異常と言われています。

年齢が若ければリスクは下がりますが、誰でも起こりうること。完全に避ける方法は難しいのです。

染色体異常と年齢との関係や判定方法

ここまで読み、「具体的に何歳でどのくらいの発生率なの?」「事前に調べる検査はあるの?」と気になる方もいらっしゃるでしょう。

年齢と確率の関係や判定方法について解説します。

年齢別の染色体異常の発生確率

結論として、年齢が上がるにつれ発生率が高まります。実際に妊婦の年齢と受精卵の染色体異常率を調べた論文があります。

確率を以下にまとめました。

【妊婦の年齢と染色体異常の割合】

・26歳~30歳:約2割
・31歳~34歳:約3割
・35歳~40歳:約3割~6割
・41歳~45歳:約6割~9割

20歳から34歳までは、約2割~3割程度の発生率でそれほど高くありません。ですが、35歳以降から1歳ずつ、急激に発生率が上がります。データによると40歳では6割以上の確率で受精卵に異常が見られると考えられるのです。

よって、妊婦の年齢が高くなるにつれ染色体異常率も上がるため、不妊や流産率も高くなることが分かります。

異常を調べられる検査「PGT-A」

異常の有無を調べる方法はあるのでしょうか?結論として、調べる方法は存在します。

受精卵の段階で異常の有無を調べる検査は「着床前診断」です。体外受精や顕微授精をおこなう過程で形成された受精卵の一部を採取し、遺伝子や染色体の状態を検査します。

その中で受精卵の染色体の数を調べる検査には、「PGT-A」(着床前胚染色体異数性検査)があります。PGT-Aは、日本産科婦人科学会により認定された一部の病院や機関で検査可能です。費用は医療機関のメニューによって違いますが、約10万円前後。

検査をおこなうことで、数的に異常のない受精卵のみを選定することができます。つまり、妊娠率を高められるのです。

詳しく知りたい方は、各機関に問い合わせるとよいでしょう。

PGT-A検査は誰でも実施できる?

不妊で悩んでいる方なら、「検査が事前に受けられるのなら、受けたい!」と思うことでしょう。ですが日本でこの検査を受けるには、日本産科婦人科学会が定める条件に該当しなければならないのです。日本産科婦人科学会の「臨床検査」の対象者として認められないと検査できません。理由としては、倫理的な側面で「命の選別」とも捉えられるから。

ここで定めている条件とは、以下の3つです。

・2回以上、体外受精などの治療で妊娠が成立していない方(反復ART不成功)
・2回以上、胎嚢が確認された後に流産をしている方(反復流産)
・妊婦かパートナーのどちらかに染色体構造異常(転座、逆位)がある場合

誰でも受けられるのではなく、限られた方のみしか実施できない検査なのです。

 

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受精卵の染色体異常を防ぐ対策や考え方

不妊傾向な方や高齢出産に該当する方は、不安を抱えるもの。なるべく異常を防ぐための方法や、不安に対する対処法を紹介します。

染色体異常を防ぐための対策は?

結論としては、「なるべく年齢が若いうちに妊活をおこなうこと」になります。先述したように、年齢が上がるにつれて、染色体異常の発生率も上がるからです。よって、1歳でも若いうちに妊活をおこなうことが一番の対策になります。

とはいえ、過去に戻ることはできません。すでに35歳以上の方もいらっしゃることでしょう。ですので、「卵子や精子の質を下げずに高めること」に取り組むとよいです。

具体的には、

・ストレスの少ないリラックスした生活を心がける
・栄養バランスのとれた食事を摂る
・十分な睡眠や適度な運動をおこない、生活習慣を整える
・飲酒や喫煙を控える

などです。ポイントは、パートナーと一緒に取り組むことです。一緒におこなうことで、質の良い精子と卵子を作ることになり、妊娠率を高めることに繋がります。

お金をかけず、まずは前向きにできることからやってみましょう。

不安がある場合は相談できる環境づくりを

年齢が高くて流産を繰り返していたり、治療をおこなってもなかなか妊娠できなかったりする場合、不安やストレスは募る一方。そんなときは、相談できる環境をづくりを心がけるとよいでしょう。

妊娠は、一人ではできません。パートナーに不安を共有して、今後の選択肢を話し合うことは大切です。また具体的な悩みがあるならば、不妊に関する専門家や遺伝カウンセラーに相談するのもよいでしょう。現代はさまざまな選択肢があります。相談することで、客観的な意見や自分では見つけられなかった選択肢が得られることもあるかもしれません。

ちなみに弊社(株式会社B&C Healthcare)では、着床前診断をおこなっています。米国検査機関と連携しているため、先述したような日本の制限はなく、PGT-A検査や産み分けも可能です。専門の遺伝カウンセラーとの連携もあるため、検査結果に関する不安や悩みを相談できます。

自分や将来の家族のために、パートナーと将来について話し合ったり、こうした専門の機関などの利用を検討したりすることもよいでしょう。

まとめ

本記事では医師監修のもと、染色体異常の概要や年齢別の発生率、対策などを解説しました。
妊婦の年齢が上がるにつれ、異常の発生率は高まります。

そのため、なるべく年齢が若いうちに妊活をするのが一番の対策。ですが、妊活をおこなうタイミングは人それぞれ。ますは食事や生活習慣の改善など、できることから取り組んでみましょう。

もし不安がある場合は、一人でストレスを抱えないように相談できる環境づくりが大切です。パートナーとよく話し合ったり、さまざまな選択肢を視野に入れたりするとよいでしょう。

 

監修

山内香里先生
栄エンゼルクリニック

三重大学医学部医学科卒業。市立四日市病院にて初期研修後、同院にて産婦人科勤務。 現在栄エンゼルクリニックにて産婦人科診療を行う。産婦人科専門医、日本女性医学会会員。

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