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【医師監修】不妊の原因は着床不全?原因と治療のための検査を紹介

2021.11.30

体外受精にて、受精卵には問題ないのに流産や不妊を繰り返す場合。

原因の一つに「着床不全」が考えられます。文字通り、何らかの要因で着床ができない状態を指した言葉です。不妊の原因は多種多様なため、原因を知り改善したい場合は適切な検査が必要になります。

では、どのような検査や治療が存在するのでしょうか?
そこで本記事では、着床不全の一般的な原因や治療のための検査を紹介します。不妊で悩んでいる方は、ぜひ知っておきたい内容です。

不妊を繰り返す原因?「着床不全」とは

まずは、着床不全の概要を見ていきましょう。

「着床不全」とはどんな状態?

着床不全とは、体外受精にて受精卵(胚)に問題がないのに妊娠に結びつかない状態を表した言葉です。具体的には「正常な受精卵を4個以上、かつ3回以上子宮内に注入しても着床しないケース」を指します。(正しくは「反復着床不成功(RIF)」と表す)
体外受精とは、正常な精子と卵子を採取して直接受精させる治療です。妊娠率は1回につき約20~30%。けして高確率ではありませんが、4回以上の実施だと約80%が妊娠に至るといったデータがあります。

そのため、前述した「3~4回以上実施しても妊娠に至るかどうか?」が基準となっているのです。

着床の有無に影響する3つの要因

では、複数回の体外受精でも妊娠に結びつかない理由は何なのでしょうか?
要因として、以下の3つが挙げられます。

①子宮の環境

子宮内に異常が起きているケースです。着床を妨げる環境の例として、子宮内の細菌感染によって起こる慢性子宮内膜炎や、子宮内に腫瘍ができる子宮内膜ポリープ、子宮筋腫などがあります。また、着床に適した子宮内の時期(着床の窓)が移植のタイミングと逸れているケースなども不妊の原因として挙げられます。

②胚の状態

受精卵(胚)に異常があるケースです。例えば、受精卵のグレード検査では分からない染色体異常です。胚に含まれる染色体の数や構造に異常があると、不妊や流産の原因に繋がります。

③子宮の免疫

子宮が受精卵に対して受け入れ反応(免疫寛容)がなく、拒否するケースです。本来、体内にとって自分の遺伝子以外の要素を持つ物質は「異物」となり、拒否反応が起こります。

しかし妊娠すると、受精卵の受け入れを拒否しない免疫反応が起こり、妊娠の継続が可能になるのです。この受け入れ反応が起きずに、拒否する免疫反応が起きていると不妊の原因に繋がります。

着床不全の治療となる検査と費用

先述した3つの要因を探るには、どんな検査が必要なのでしょうか?妊娠を妨げている要因が分からなければ、改善のための適切な治療ができません。

以下では、必要な治療法を探るための検査と費用を一部、要因別に紹介します。
※費用は医療機関や保険適用の有無でも変わりますが、今回は参考として保険適用外の金額を記載しています。

【子宮の問題】治療のための各検査

子宮内に着床を妨げている原因の有無を知るには、以下の検査があります。

子宮鏡検査
子宮内や卵管の状態を内視鏡にてチェックし、異常の有無を確認する検査です。慢性子宮内膜炎や内膜ポリープ、粘膜下筋腫の有無などが分かります。費用は約5,000円~10,000円。

TORIO(トリオ)検査
ERA検査、EMMA検査、ALICE検査の3つをまとめた検査を指します。子宮内が妊娠に適した環境かどうかをチェックします。以下、3つの検査についてまとめました。

・ERA検査:子宮内膜の一部を採取し「着床の窓」(着床に最適な時期)を判定する検査です。費用は約100,000円~150,000円。
・EMMA検査:子宮内の細菌類の状態を測り、バランスを見る検査です。乳酸菌の割合が多いと妊娠に有利な環境だと判定します。費用は約100,000円~150,000円。
・ALICE検査:慢性子宮内膜炎の原因である、細菌の有無を判定する検査です。費用は約50,000円~70,000円。(EMMA検査とセットでおこなわれることが多いため、セット料金の医療機関も多い)

また、検査する中で子宮内膜が薄く妊娠に不利と判明した場合、以下の治療法が存在します。

PRP療法(多血小板血漿)
子宮内膜が薄い場合、血小板(妊婦の血液から採取)を子宮内に注入し、内膜を厚くする治療法です。着床しやすい子宮環境に整えます。費用は約150,000円~200,000円です。

【胚の問題】治療のための各検査

受精卵(胚)の異常の有無を調べるには、以下の検査があります。

PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)
受精卵の細胞を一部採取し、胚の染色体の数や遺伝子の状態を調べる検査です。子宮内に問題がない場合、有効な検査と言えます。
ですが、日本産科婦人科学会が定めた医療機関でないと検査の実施しておらず、かつ条件に当てはまるご夫婦でないと受診できません。よって、誰でも実施できる検査ではないのです。

費用は胚1個あたり約100,000円~。(遺伝子カウンセリングなどオプション費用がつくことが多い)

【子宮の免疫の問題】治療のための各検査

受精卵の受け入れ反応(免疫寛容)の状態を判定するには、以下の検査があります。

Th1/Th2比の検査
受精卵を異物と判定し、拒否反応を表す「Th1」と、妊娠を継続させる「Th2」の各細胞の比率を見る検査です。血液の採取にて比率を測定します。「Th1」の割合が高いと妊娠に不利な環境下になるため、内服薬などでバランスを整えて免疫バランスを改善します。費用は約10,000円~15,000円です。

 

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着床不全の治療の流れ

治療を考えるなら、治療開始までの流れや高額な費用などが気になるもの。
以下では、治療のタイミングや高額な費用に対する対処法を解説します。

着床不全はいつ、どこで治療を開始?

結論として、治療のタイミングは早いに越したことはありません。1つの指標として、着床不全の定義である「体外受精を3~4回おこなっても妊娠に繋がらなかったとき」に検討されるとよいでしょう。

検査は、産婦人科や不妊治療専門のクリニックにて受診可能です。ただし、取り扱っている検査や費用、メニューはさまざま。治療のタイミングも、各機関の方針によって変わります。

詳しくは、各機関に問い合わせて確認しましょう。

不妊治療は高額!助成金の検討も

不妊治療の費用は、原則として保険適用外がほとんど。よって、先述した検査を1つずつ試すとしても、合算するとかなり高額です。

そこで、お住いの自治体での助成金の活用も検討するとよいでしょう。検査内容や状況などで、該当する条件に当てはまれば助成金が出ます。詳細は国や各自治体によりますので、ホームページで調べたり、電話にて問合せたりするとよいです。

「高額だから治療は難しい……」と子どもを持つことを諦める前に、ぜひ公共の支援の活用を検討してみましょう。

まとめ

本記事では、着床不全の原因や治療のための検査を解説しました。
治療を繰り返しても妊娠しない場合、今回解説した着床不全の可能性があります。頭に入れておくと、早めに適切な対処ができるでしょう。

また、なかなか授からないと不安や焦りなどを感じるもの。精神的なストレスは妊活にも悪影響があります。一人で抱え込まず、パートナーと今後の治療について検討してみましょう。

株式会社B&C Healthcareでは、今回紹介した胚の検査(PGT-A)など、妊娠率を高める着床前診断を提供しております。サポート体制も手厚く、疑問や不安な点は専門家による相談が可能です。

気になる方は、資料請求よりお問い合わせください。

 

 

監修

一倉絵莉子 先生
六本木ヒルズクリニック

産婦人科医 / 六本木ヒルズクリニック 日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員 日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。

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