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【医師監修】着床の窓が分かるERA検査とは?概要や治療方法を解説

2021.07.27

不妊治療をおこなっても、思うように授からない場合、不安や焦りでいっぱいになるものです。そんなとき、次のステップとして「着床の窓」や「ERA検査」という言葉を聞いたり、知ったりする方もいらっしゃることでしょう。とはいえ、具体的な検査の仕組みや流れが分からなければ、受診するのは不安なもの。

そこで本記事では「ERA検査」について、検査内容やメリット、治療としての活用方法を解説します。

 

妊娠を左右する「着床の窓」について

「病院で何度か治療をおこなっている」「受精卵には問題がない」などの場合でもなかなか授からない場合、原因の一つに「着床の窓がズレていること」があります。「着床の窓」とは、着床ができる時期を指します。

「着床の窓」とは

「着床の窓」とは、「着床が可能な時期」を意味します。(英語では「implantation window」と呼ばれています)妊娠とは、受精卵(胚)が子宮内膜と結びつき着床すること。ですが、子宮の内膜が受精卵を受け入れられる期間は定められており、数時間しかありません。

この特定の期間を「窓が開かれている」と表します。もし窓が開いている時期とズレていると、例え受精卵が子宮内膜にたどり着いたとしても、妊娠しなかったり、初期の段階で流産してしまったりするのです。

このように、何度も治療をしても妊娠しない場合、原因の一つとして「着床の窓がズレている可能性がある」と考えられます。

妊娠の成功には、窓が開いているときに受精卵が子宮内膜に到着する必要があるのです。

着床に最適な期間は個人差がある

窓が開かれている期間は、個人によって違います。基本的には排卵日を起点とし、5日後~9日後の間のどこかで開きます。また窓が開く期間自体は、大きな体の変化がない限りは毎回同じです。

つまり一度でも自分の着床の窓が分かってしまえば、受精卵を子宮内に送り込むベストな時期が分かる、ということですね。

「着床の窓」はどうやったら分かるのか

ここまでお読みいただき、「では、窓が開いている期間はどうやったら分かるの?」と疑問に感じることでしょう。

結論として、「ERA検査」(エラ検査)にて判定することができます。子宮内膜の一部を採取して検査することで、窓が開く時期を特定できるのです。

 

「ERA検査」とは?検査の流れや料金

ERA検査とはどんな検査なのでしょうか?不妊治療中の方は、特に気になる検査ですよね。

以下では、具体的な内容や流れ、受診の方法などを解説します。

着床の窓が分かる「ERA検査」とは

ERA検査(別名「子宮内膜着床能検査」)とは、着床できるタイミングを調べる検査です。

子宮内膜の一部を採取し、内膜の遺伝子発現を調査することで、受精卵の移植にベストタイミングである、窓が開く時期が特定できます。

内膜を採取する時期は、通常の治療にて受精卵を移植するタイミングで実施。また個人差はありますが、採取時は微量の出血や、痛みを一瞬感じる方もいます。

「ERA検査」の一般的な流れと料金

ERA検査は、子宮内膜を着床しやすい環境に整えてからおこないます。子宮環境を整える方法として、

・ホルモン補充周期(黄体ホルモンを注入して整える)
・自然周期

があります。(体外受精をおこなう医療機関にて決めます)

具体的な流れをまとめました。

①自分に適した周期で、子宮内膜を着床しやすい環境に整える
②子宮へ専用の細い器具を差し込み、子宮内膜を採取する
・ホルモン補充周期:黄体ホルモン注入開始日から5日後に実施
・自然周期:排卵日から5日後に実施
③海外にてERA検査をおこなう
④2~3週間後、結果が判明する

なお、検査する周期では受精卵の移植はおこないません。

気になる料金は、金額は検査する医療機関によって異なりますが、約12万円~15万円前後です。保険適用外になります。詳細は医療機関にて問い合わせましょう。

検査は限られた病院のみ可能

「検査はどこで受けられるの?」「自分の近所の病院でできるの?」と気になった方もいらっしゃるでしょう。

結論、ERA検査を取り扱っている一部の医療機関でないと受けられません。

自分の通院している医療機関でも受けられるかどうか、気になる方は確認してみましょう。

 

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「ERA検査」を活かした不妊治療の仕組み

ここまで読んで、悩んでいる方には「検査は良さそうだけど、どうやって治療に活かせるの?」と思う方もいらっしゃることでしょう。自分にとって改善できそうなイメージできると、今後の選択肢の一つになります。

結果をふまえて、治療に活かす具体的なプロセスを見ていきましょう。

検査結果で割り出される「3つの時期」

ERA検査は着床にベストなタイミングが割り出されますが、大きく分けると3つの時期があります。ベストな時期=「受容期」と表して、

・受容期前:窓が開く、1日前か2日前を指す(窓は開く前)
・受容期:窓が開いているジャストタイミング
・受容期後:窓が開いた日から1日後か2日後を指す(窓は既に閉まった後)

の3つが分かります。

とはいえ、「1日単位だとざっくりしていて、窓が開いている時期から微妙にズレる可能性ものでは?」「意味があるの?」と心配に思う方もいらっしゃるでしょう。

ですがこの3つの時期の中から、さらに「12時間ごとに自分の時期が分かる」ため、より正確なタイミングを割り出せます。実際、検査会社によると、検査を実施して移植時期を改善したことにより、25%程妊娠の確率が上がったというデータもあります。
3つの時期が分かるので、今後の治療の改善策が見えてくるのです。

「ERA検査」で体外受精の精度を上げる

先述した3つの時期が分かることから、受精卵を窓が開いている時期に子宮内に注入することができるようになります。よって、より体外受精の成功確率を高められるのです。

検査日は「本来の移植日」ですが、結果を見ることで、その日から「窓からどのくらい逸れていたのか?」分析することができます。もし逸れていた場合は、次回の移植日を改善して受精の確率を高めることができるのです。

例えば、検査結果が「受容器前」で、かつ窓が開く「1日前」だった場合は、「次回の移植日を24時間早めること」で着床の確率を高めることができます。

このように、検査結果から受精卵を子宮に送り込む意味のある期間が分かるため、現在の治療の改善に活かせるのです。

「ERA検査」の受診に向いている人は?

「検査を受けたいけど、自分がやって意味があるのか?」と不安に思う方もいるかもしれませんね。検査費用は決して安くないため、効果のあるものにしたいもの。

そこで、検査に向いている人を下記にまとめました。

・体外受精を繰り返しても着床できない方
・検査をしても異常が見つからなかった方
・希少な受精卵を無駄にしたくない方
・自分の着床の窓を知りたい方
・なるべく早く妊娠したい方

「自分に必要そうだな」「やってみようかな」と感じる方は、前向きに検討してみるのもよいのではないでしょうか?

 

まとめ

今回はERA検査について、検査の仕組みや費用、治療への活かし方などを解説しました。

何度も治療を繰り返しても上手くいかない場合、不安や焦りが出てくるもの。着床の窓を知ることで、より効果的な治療ができるのです。

治療は無意識に、心身ともダメージやストレスを受けています。辛い状況が長引くのを防ぐために、より効果的な方法や選択肢を知り、選ぶことも自分や家族の幸せのためになるでしょう。

弊社の提供する、着床前診断に関する資料の請求は以下からできます。

 

 

監修

一倉絵莉子 先生
六本木ヒルズクリニック

産婦人科医 / 六本木ヒルズクリニック 日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員 日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。

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