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【医師監修】【2022年最新】保険適用でどう変わる?特定不妊治療の助成金制度

2022.07.31
【医師監修】【2022年最新】保険適用でどう変わる?特定不妊治療の助成金制度

2022年4月より、これまで自費診療だった不妊治療が保険適用されることになりました。これにともない、特定不妊治療の助成金制度も変更となっています。

 

一体何がどんな風に変わったのでしょうか?助成金と保険診療は同時に受けられるのでしょうか?不妊治療の気になるお金の話について解説していきます。

 

そもそも特定不妊治療とは?

助成金制度についてお話する前に、まずは「特定不妊治療」が何なのかを説明しましょう。

不妊治療は「一般不妊治療」と「特定不妊治療」の2種類

分類 ステップ 具体的な内容
一般不妊治療
タイミング法 医師の指導で排卵日にセックス
人工授精 採取した精液を子宮に注入
特定不妊治療
体外受精 採取した精子と卵子をシャーレ内で混合
顕微授精 顕微鏡下で精子を卵子に直接注入

 

不妊治療は大きく「一般不妊治療」と「特定不妊治療」の2種類に分かれます。

 

一般不妊治療は自然妊娠に近い治療法で、タイミング法や人工授精があります。一般不妊治療は1回あたりの費用が安く、身体への負担も比較的軽いとされています。

 

特定不妊治療は一般不妊治療よりも高度な生殖法です。体外に取り出した卵子と精子を受精させるため、採卵と採精をする必要があります。一般不妊治療で妊娠できないときに特定不妊治療へとステップアップしますが、費用が高く心身にも負担がかかる治療法です。

 

2022年度から特定不妊治療が保険適用化

2022年度から特定不妊治療が保険適用化

 

不妊治療は一部の治療を除いてそのほとんどが保険適用外でした。しかし、2022年4月からは保険診療として扱われるようになっています。

 

保険適用化で費用はどう変わったのでしょうか。

 

分類 ステップ 自己負担額(3割)
一般不妊治療
タイミング法
一般不妊治療管理料
(3ヶ月に1回)

750円

人工授精 1回あたり 5,460円
特定不妊治療
体外受精
生殖補助医療管理料
(1ヶ月に1回)

750円

1回あたり 約10~20万円

 

上記の表は、2022年4月以降の自己負担額目安です(※初診料や薬剤使用料、麻酔代などは含んでいません)。

 

今まで保険適用外だった人工授精は、1回あたり1~2万円が相場でした。それが1回あたり5,460円となり、負担が大きく軽減されています。

 

1回の平均額が約50万円といわれた体外受精も、保険診療では約10~20万円ほどの負担になると予想されています。

※採卵数や培養した胚の数などによって負担額が異なります。

 

不妊治療を保険適用で受ける条件

不妊治療で保険適用を受けるにはいくつか条件があります。

 

まず、治療をするご夫婦が婚姻関係(事実婚を含む)にあることが第一条件です。確認のために医療機関で住民票や戸籍謄本の提出を求められます。

 

次に年齢制限です。体外受精や顕微授精などの特定不妊治療では、治療開始日において女性の年齢が43歳未満でなければ保険診療を受けられません。

 

また回数にも制限があり、40歳未満は1子につき6回まで、43歳未満は1子につき3回までとなっています。

 

ちなみに一般不妊治療には年齢・回数の制限はありません。

 

保険適用化で特定不妊治療の助成金はどうなる?

 

特定不妊治療の高額な費用負担を軽減するため、保険適用される前は助成金制度によってフォローアップされていました。どんな制度だったのでしょうか?そして今後はどのように変わっていくのでしょうか?

 

特定不妊治療の助成金制度

保険適用される前は、「不妊に悩む方への特定治療支援事業」として助成金制度を活用することができました。

 

支給額は以下のとおりです。

 

・体外受精(または顕微授精)1回につき 30万円

・男性不妊治療(精子を精巣から採取する手術)を受けたとき 30万円

 

スタート当初は1年度あたり10万円だった支給額も年々増加していき、所得制限撤廃や事実婚の対象化など制度が拡充されていました。

 

保険適用により助成金制度が廃止に

しかし、2022年度に不妊治療が保険適用化。

それに伴い助成金制度は、2022年3月末をもって廃止となりました。

 

つまり2022年4月以降に特定不妊治療をしても、助成金はもらえなくなります。

 

ただし経過措置として、2022年3月以前に治療を開始している場合に限り1回だけ助成金を受け取ることが可能です。

 

ちなみに保険適用と助成金は併用ができません。助成金を申請する時は保険診療として計算されていないか注意しましょう。

 

保険適用で特定不妊治療は安くなるの?

2022年からの制度変更で特定不妊治療は安くなるのでしょうか。

 

実は、治療費が安くなるかどうかはケースバイケースです。

 

クリニックによっては保険診療での治療をおこなわず、自由診療のみで治療していくという方針のところもあります。保険診療は注射や薬の量などについてさまざまな制限があり、自由度の高い治療を提供できないからです。

 

2022年度以降は助成金が支給されないので、自由診療を受けたときは全額家計の負担となります。

 

今後クリニックを選ぶときは、保険診療と自由診療のどちらで治療をおこなっているのかよくチェックする必要があるでしょう。

 

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やっぱり高い!特定不妊治療の費用を抑えるには?

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保険適用で体外受精を受けるにしても、何度も繰り返し受ければ治療費は高額になります。費用を抑えるためにできることはあるのでしょうか?

 

ここでは3つのポイントについて解説します。

 

①高額医療費制度の利用

保険適用化にともない、特定不妊治療で高額医療費制度を利用することができるようになりました。

 

高額医療費制度とは、月の医療費が上限を上回るときに超過分を支給してもらえる制度です。たとえば年収約370~770万円の人は、およそ8万円が上限額です。その月の医療費が12万円かかったとすると、超過分の4万円が補填されます。

※上限額は年収や年齢で異なります。

 

不妊治療にかかった費用だけではなく、ほかの病気の治療費とも合算できます。保険診療で治療を受けたときは積極的に利用しましょう。

 

②医療費控除の申請

不妊治療を受けた年は、確定申告で医療費控除を申請すれば還付金を受け取ることができます。

 

目安として1年間でかかった医療費の自己負担合計額が10万円以上(所得合計額が200万円までの方は所得合計額の5%)であれば、超過分を所得金額から差し引くことができます。

 

詳しくは国税庁の確定申告サイトで確認してみましょう。

 

③着床前診断の検討

不妊治療されている方の中には「体外受精を何度繰り返しても妊娠しない」と悩む人が少なくありません。体外受精では受精卵を培養して良好な胚を移植しますが、グレードの高い胚でもうまく着床しないことがあるのです。

 

その原因として考えられるのが染色体異常です。染色体に異常があると見た目に問題がなくてもうまく着床せず、着床したとしても初期のうちに流産しやすくなります。

 

そこで確立されたのが「着床前診断」です。着床前診断とは、胚の細胞の一部を採取して染色体や遺伝子を検査する手法です。染色体異常胚を見分けられれば、着床不全や流産のリスクを減らすことができます。

 

体外受精を何度も繰り返せば、心身の負担はもちろん経済的な負担も大きくのしかかります。

 

着床前診断にもそれなりの費用がかかるので必ず安くなるとはいえませんが、体外受精の回数を減らすひとつの手段として検討する価値はあるでしょう。

 

まとめ

2022年4月からの保険適用により、特定不妊治療の助成金制度は廃止となりました。多くのケースで費用負担が軽くなると考えられていますが、体外受精を何度も繰り返すとやはり高額な治療費がかかります。

 

高額医療費制度や医療費控除のほか、着床前診断などを検討して上手く計画していきましょう。株式会社B&C Healthcareでは審査なしで受けられる着床前診断プログラムを提供しています。これから不妊治療を検討しているご夫婦は、一度資料を取り寄せてみてはいかがでしょうか。

 

 

監修

中林 稔 先生
三楽病院 産婦人科部長

日本医科大学卒業。東京大学医学部附属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。毎日出産や手術に立ち会う傍ら、各地で講演を行い医学的知識や技術の普及に力を入れている。また、少子化及び産婦人科医師不足問題にも積極的に取り組み、教育においても若手医師の育成をはじめ助産師学院の設立等、幅広く活動を行っている。

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