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【医師監修】高度不妊治療(ART)で妊娠したい!成功率はどのくらい?

2022.03.26

妊活を頑張っていてもなかなか妊娠しない。
そろそろステップアップを検討している。
妊活中の方は「次の治療で妊娠を確実に成功させたい」と考えるのではないでしょうか。不妊治療の中でも確実に妊娠をしたいという方が選ぶ治療に高度不妊治療(ART)があります。

高度不妊治療(ART)とはどんな治療方法なのか、どのくらいの成功率なのかを詳しくお伝えします。

 

まず知っておきたい高度不妊治療(ART)の基礎知識

まずは、高度不妊治療(ART)がどのような治療なのかを知っておく必要があります。ここでは、高度不妊治療がどのような治療なのかを詳しくお伝えします。

高度不妊治療(ART)ってどんな治療?

高度不妊治療はassisted reproductive technologyと英語表記され、この頭文字をとってARTとも呼ばれています。

高度不妊治療の定義は「妊娠を成立させるためにヒト卵子と精子、あるいは胚を取り扱うことを含むすべての治療あるいは方法」です。つまり、体外で精子と卵子、受精卵を扱った治療法はすべて高度不妊治療(ART)と呼ばれます。

よく、人工授精も高度不妊治療と混同されることがありますが、人工授精は体外で取り扱うのは精子のみです。そのため、高度不妊治療には当てはまりません。

高度不妊治療(ART)はすべての人が受けられるわけではない

高度不妊治療は受けたいと思ったときに受けられるわけではありません。高度不妊治療を受けるためには高度不妊治療を受けるための条件にマッチしている必要があります。

高度不妊治療の適応となるのは日本産科婦人科学会のガイドラインの規定によると、「これ以外の治療によって妊娠の可能性がないか極めて低いと判断されるもの、および実施することが、被実施者またはその出生児に有益であると判断されるもの」としています。

高度不妊治療の歴史はそもそも浅く、日本で初めて高度不妊治療が行われたのは1983年。そんな歴史の浅さもあり、日本産科婦人科学会は最初、高度不妊治療(ART)に対して厳格に取り決めをしていました。

しかし、時代の流れもあり、徐々に高度不妊治療に対して寛容な姿勢を見せるようになり、現在では、医師と患者側が充分に話し合った結果であれば、上記の条件にマッチしていなくても、高度不妊治療が受けられることもあります。

高度不妊治療(ART)を受ければ絶対に妊娠できる?

高度不妊治療を受ければ絶対に妊娠できると思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、確実に妊娠ができるわけではありません。2017年のデータを見てみると、2~3割程度となります。

もちろん、年齢や既往などさまざまなバックグラウンドを抱えた方や全ての治療法が統計データには含まれているので一概には言えません。ですが、このデータからも100%確実に妊娠ができるわけではないということは念頭において治療を検討されるとよいでしょう。

 

 

高度不妊治療の治療法と成功率

高度不妊治療にはいろいろな治療方法があります。

ここでは、高度不妊治療の治療法をご紹介するとともに、各治療法の成功率を年齢別も併せてにお伝えしていきましょう。
なお、ここでご紹介している成功率は移植1回あたりの成功率となります。ですので、回数を重ねるごとに成功率は上がっていくことが考えられています。

 

体外受精(IVF)

体外受精とは、採卵手術によって排卵直前に体内から取り出した卵子を、体外で精子と受精させる治療のことです。体外受精の成功率は、2017年のデータで23.1%となっています。
新鮮胚といい、体外で受精した受精卵をそのまま子宮内へ戻す方法の年齢別妊娠率は21~25歳で35%以上。26~30歳で35%程度、31~35歳でもまだ30%以上でありますが、35歳を超えるとガクッとその確率は低下し、36~40歳で20~25%程度、41~45歳では10%程度となります。

顕微授精法(ICSI)

顕微授精法とは体外受精法の1つで、顕微鏡で拡大視しながら、受精をサポートすることをいいます。

通常は、採卵した卵子に対して精子をふりかけて受精させるます。
精子に異常があったり、精子にも卵子にも問題はないがこの方法で一度受精をしたが成功しなかったりした場合には、顕微授精が選択されます。

顕微授精法の成功率は2017年のデータでは20.29%。全ての高度不妊治療法の中では、その成功率は低いことが特徴です。しかし、出産率を見ると、どの高度不妊治療でも、さほど変わりはありません。

このことから、成功率が低くても、成功さえできれば他の治療法と同様に出産にまですすむことは可能です。

胚移植(ET)

胚移植とは、受精卵を子宮内に戻すことを指します。一見すれば他の治療と同様の方法ではあります。

最大の特徴は、胚という状態にまで持っていくことです。採卵後、すぐに子宮内に戻すのではなく、受精卵が細胞分裂を繰り返し、胚という状態にしてから移植をします。胚になるまで概ね2~5日間かかると考えられています。

受精した受精卵をすぐに戻しても、受精は成功したが、この細胞分裂がうまくいかずに、妊娠に至らない可能性もあります。ですが、胚移植であれば細胞分裂を繰り返して胚になった状態で移植するので、胚ではない状態で戻すよりも妊娠率が上がると考えられています。その証拠に、2017年のデータでは妊娠率が34.39%とどの治療法よりも高い割合となっています。

 

また、年齢別妊娠率は今回データに挙がっている凍結胚移植で見ると、21~30歳までは50%程度と高い確率となっています。31~35歳でもまだ40%以上でありますが、35歳を超えるとガクッとその確率は低下し、36~40歳で30%台、41~45歳では20%程度となります。

他の移植法と比較しても成功率が高いことがわかります。

 

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高度不妊治療はどうすれば受けられるの?

高度不妊治療にはどんなものがあるかわかったところで、ここからはどうすれば高度不妊治療を受けられるのかについてご紹介します。

ご自身が高度不妊治療を受けられるのかどうかについてチェックしてみましょう。

 

産婦人科を受診、検査をしたうえで高度不妊治療の対象かを確認

先述したように、高度不妊治療(ART)は全ての人が受けたいときに受けられるというわけではありません。まずは、産婦人科を受診し、夫婦で検査を受けましょう。

この検査結果によってどの治療を受けられるかが決まってきます。検査を受けずに高度不妊治療のみを希望した場合、産婦人科によっては、過去の産婦人科学会のガイドライン規定に則り、高度不妊治療を受けられないこともあります。

ステップアップの際にも、ファーストステップとして、産婦人科で検査を受けて、主治医と今後の方針について話し合ってみましょう。

高度不妊治療(ART)は自治体によって助成金が下りるところも

高度不妊治療(ART)は、ほかの不妊治療と異なり、自治体によっては助成金が下りるところもあります。どのような治療をしたのかや、治療の回数、年齢、居住する自治体によって助成金の価格が異なるため確認しておきましょう。

また、2022年4月より高度不妊治療も保険適用となるので、治療を受けるタイミングによっては費用負担も変わってくるかもしれません。

 

まとめ

高度不妊治療の成功率は一見すると低いと思われるかもしれませんが、回数を重ねるごとに成功率は高まっていきます。また、治療の方法や内容は、検査結果によって異なります。

まずは検査を受け、どの治療を受けるべきか、夫婦で産婦人科を受診して相談していきましょう。

 

 

監修

中林 稔 先生
三楽病院 産婦人科部長

日本医科大学卒業。東京大学医学部附属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。毎日出産や手術に立ち会う傍ら、各地で講演を行い医学的知識や技術の普及に力を入れている。また、少子化及び産婦人科医師不足問題にも積極的に取り組み、教育においても若手医師の育成をはじめ助産師学院の設立等、幅広く活動を行っている。

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