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【医師監修】クアトロテストとは?精度の確率やメリット・デメリット

2021.10.31

胎児の障がいや疾患を調べる検査を「出生前診断」と言いますが、その一つに「クアトロテスト」があります。高額な検査が多い中、費用は安く済みます。とはいえ「ほかの検査とは何が違うの?」「デメリットはあるの?」などと疑問に感じる方もいるでしょう。

 

そこで本記事では「クアトロテスト」をテーマに、ほかの検査との違いや結果の精度、メリット・デメリットなどを解説します。出生前診断について知りたい方は今後の参考になる内容です。

 

クアトロテストとは

どんな検査なのでしょうか?概要を解説します。

出生前診断の種類や特徴

出生前診断には、大きく分けて「確定診断」と「非確定診断」があります。その名の通り「結果が確定できるか否か?」を意味しています。クアトロテストは「非確定診断」にあたります。

以下に、各診断の特徴や種類をまとめました。

 

確定診断とは

診断結果から、高精度に結果を確定する検査を指します。妊婦のお腹に直接針を刺すため、低確率ながら流産リスクありです。以下の診断があります。

・羊水検査:羊水を採取し、胎児の染色体・遺伝子異常を確定する。妊娠15~17週頃に実施。

・絨毛検査:胎盤の一部である絨毛を採取し、胎児の染色体・遺伝子異常を確定する。妊娠10〜13週頃に実施。

 

非確定診断とは

診断結果から「病気である確率」が分かるが、結果を確定できない検査を指します。体への負担は少なく、流産リスクはありません。以下の診断があります。

 

・超音波(エコー)検査:超音波(エコー)にて胎児を確認し、異常を視覚的に診断。

・クアトロテスト(別名:母体血清マーカー):妊婦の血液を採取し、血液内の成分を検査して胎児の障がいの確率を判定。妊娠15~18週頃に実施。

・NIPT(新型出生前診断):妊婦の血液を採取し、血液内の胎児の染色体情報を検査して、胎児の障がいの可能性を判定。妊娠10〜22週頃に実施。

・コンバインド検査:上記の超音波エコー検査やクアトロテスト(またはNIPT)を組み合わせて確率を判定する検査。妊娠11~13週頃に実施。

 

特定の障がいを抱えている各確率が分かる

クアトロテストを受診すると、以下の3つの障がいを抱えている各確率が分かります。

 

・21トリソミー(ダウン症候群):精度は約8割
・18トリソミー(エドワーズ症候群):精度は約7割
・神経管閉鎖不全症:精度は約8割

採取した妊婦の血液内の4種類の成分の数値と、妊婦の年齢や体重などのデータに準じて、上記の3つの障がいを抱えている確率をそれぞれ割り出します。妊婦の年齢に応じて数値が変化するため「年齢が確率に影響する」とも言えるのです。年齢が上がるほど確率も上がります。

そのため障がいの判定は、上記の通り高精度ではありません。

 

クアトロテストとNIPTは何が違う?

先述した各検査の種類を見ると「NIPTとは何が違うの?」と疑問に感じる方もいらっしゃることでしょう。血液で判定する面は一緒ですが、実は大きく異なるのです。

 

具体的な違いを5つにまとめました。

 

①判定できる障がいの種類

先述した通りクアトロテストでは3つの障がいの確率を判定しますが、NIPTでは以下通り、クアトロテストでは調べられない種類の染色体異常に加えて性染色体や部分的な染色体異常も判定できます。

 

・21トリソミー(ダウン症候群)

・18トリソミー(エドワーズ症候群)

・13トリソミー(パトウ症候群)

・性染色体の異常

・常染色体の異常(全ての常染色体を調べる)

・微小欠失症候群の有無(染色体の欠けなどを調べる)

 

ただし医療機関により、調べられる項目は変わることがあります。詳細は問い合わせましょう。

 

②年齢に左右されるかされないか

先述した通り「年齢が上がるほど障がいの確率の数値が上がる」特徴がありました。一方でNIPTは妊婦の年齢が結果に反映されません。血液内の胎児の染色体の情報により、異常の可能性を割り出すからです。

 

③検査時期

妊娠15~18週頃に実施します。一方でNIPTは妊娠10〜22週頃に実施でき、妊娠初期の段階から実施可能です。ですが、結果が出るまでどちらも1~2週間程度かかります。よって、結果により羊水検査などを実施する可能性をふまえると、早めの受診が推奨されています。

 

④検査の的中率

精度は約80%。一方でNIPTの陰性的中率は約99%と高精度です。クアトロテストの場合、年齢も関係してくることをふまえると、結果が陽性だったとしても確定ではないとも考えられます。

 

⑤検査の費用

費用は約2~3万円。一方でNIPTは精度が高いだけあり約20万円と高額です。(どちらも保険適用外)医療機関によって金額は多少異なりますので、詳細は問い合わせましょう。

 

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クアトロテストのメリットとデメリット

実施するにあたってリスクや考えておきたいことがあります。受診前に知っておきたい、メリットとデメリットなどを解説します。

 

実施するメリット

実施するメリットを、3つにまとめました。

 

①経済的・肉体的に負担が少ない

NIPTと比較すると、費用は比較的安価です。また血液採取のみのため体への痛みは少なく、経済的・肉体的に負担が少なく手軽と言えます。

 

②流産リスクが低い

確定診断は直接子宮に穴を開けるため流産リスクが伴いますが、血液検査のため流産の心配はありません。

 

③出産前に胎児の状態が知れて安心に繋がる

妊娠中は「胎児が無事に育っているか」「障がいの可能性は?」と不安がつきもの。そんな中テストを受けると、胎児の状態が出産までに分かります。よって、不安の解消や赤ちゃんを迎え入れる準備が余裕を持っておこなえることに繋がるのです。

 

実施するデメリット

実施するデメリットを、3つにまとめました。

 

①精度が低く確実ではない

同じ血液検査・非確定検査のNIPTと比べると、結果の精度は低いため確実ではありません。また妊婦の年齢も反映するため、陽性反応が出たとしても「年齢が高いから?」と返って混乱するケースも考えられます。

 

②検査項目が限られている

先述したように、3つの障がいの確率しか分かりません。NIPTと比べると、検査項目が限られています。また双子の場合、18トリソミーの確率が判定できません。

 

③結果によっては動揺することが考えられる

結果によっては大きな不安やショックなど、動揺することが考えられます。「結果を知らなければ……」「どうしたらいいのか分からない」と受診したことを、後悔したり悩んだりすることも考えられるでしょう。また精度が低いため、異常なしだったとしても「本当に大丈夫なのか」と返って不安が増すことも。

受診する前に、結果を知った後の行動や選択肢をパートナーとしっかりと考えておく必要があります。

 

まとめ

本記事では「クアトロテスト」をテーマに、ほかの検査との違いや結果の精度、メリット・デメリットなどを解説しました。

 

ほかの検査と比べて体や経済的な負担が低く、受診のハードルが低いクアトロテスト。ですが、結果が出た後の行動や選択肢を見据えて覚悟して受ける必要があります。結果を知った後の行動について、パートナーとよく相談しておきましょう。

 

また、受診する機関を選ぶ際は「検査後も相談・対応できる環境があるかどうか?」を基準に選ぶのもよいです。

 

弊社、株式会社B&C Healthcareでは、着床前診断に関するサービスを提供しています。産み分けも可能で、検査前後も専門家によるサポート体制も充実している機関です。

 

興味のある方は、資料請求からお問い合わせください。

 

 

監修

中林 稔 先生
三楽病院 産婦人科部長

日本医科大学卒業。東京大学医学部附属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。毎日出産や手術に立ち会う傍ら、各地で講演を行い医学的知識や技術の普及に力を入れている。また、少子化及び産婦人科医師不足問題にも積極的に取り組み、教育においても若手医師の育成をはじめ助産師学院の設立等、幅広く活動を行っている。

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