妊娠前に遺伝子や染色体を検査できる着床前診断。遺伝病回避や男女産み分けを検討するご夫婦の間で、高い関心を集めています。
着床前診断をするには、体外受精が必須です。体外受精を受けたことがないというご夫婦だと「どんなことをするの?」「費用は平均いくら?」と多くの疑問が湧きあがってくることでしょう。
今回はそんな不安を解消するために、体外受精の流れや治療期間を解説。気になる費用や助成金の有無にも触れていくので、体外受精をおおまかにイメージするときの参考にしてみてください。
着床前診断をするときは、必ず体外受精をおこないます。
なぜかといえば、着床前診断には「受精卵の細胞」が必要だからです。細胞を取り出す操作は、受精卵を体外で扱える体外受精でなければできません。
また、着床前診断には複数個の受精卵が必要です。自然にまかせるままでは多くの卵子を採取できないため、排卵誘発剤で刺激してより多くの卵子を採取します。
つまり、着床前診断をするなら体外受精は切り離せないのです。
では、体外受精はどのようなステップで受ければよいのでしょうか。一般的な体外受精の流れを見ていきましょう。
①準備
体外受精を受ける前に必要な準備をします。通常、採卵までに複数回の来院が必要です。
母体や精子の状態、感染症の有無を調べる各種検査のほか、体外受精のスケジュール、治療の副作用などについて説明を受けます。採卵は生理周期とタイミングを合わせて行われるので、女性が来院して内診を受け、採卵日を決定します。
②採卵
排卵誘発剤を使って採卵します。排卵誘発剤には低刺激~高刺激がありますが、使う薬剤はクリニックの方針やご夫婦の状態によって異なります。
採卵は卵巣へ針を刺しておこなわれますが、通常は麻酔下でおこなわれるので痛みは感じません。
③採精
男性からも精子の採取がおこなわれます。採取された精子は受精しやすいように処理されます。
④受精
採取した卵子と精子をシャーレ内で受精させます。
精子が少ない、運動性が低いなどの場合は顕微鏡下で卵子に精子を注入します。これを顕微授精といい、シャーレ内の受精でうまくいかない場合にこの方法が採用されます。顕微授精は別途費用がかかるのが一般的です。
⑤胚培養
受精卵を培養液の中で育てます。
いい胚が複数できたら、今後の周期のために凍結保存します。
⑥胚移植
良好な胚を子宮へ移植します。
胚移植は2通りです。受精2~3日後の初期胚(分割胚)移植、もしくは受精5~6日後の着床寸前まで成長した胚盤胞移植のいずれかを選択します。
やわらかいチューブを膣から通し、着床しやすい部分へ胚を注入します。その後、着床しているかどうか経過観察をおこないます。着床を促すために、ホルモン治療をする場合もあります。
採卵の周期に移植まで行い、1度の移植で着床すれば、準備~胚移植までの期間は1ヶ月ほどです。月経周期などのタイミングもあるので、はじめての場合は2ヶ月ほど見ておくといいでしょう。
着床がうまくいかない場合は、次周期に再び移植をします。中断せずトライしていく場合、期間は胚移植ごとに1ヶ月ずつプラスされていきます。良質な凍結胚がなくなった場合は、再び採卵からのスタートです。
何回目で着床するかは個人差が大きく、1回で着床する人もいれば10回ほど移植を繰り返す人もいます。国の不妊治療調査によると、体外受精の実施回数は平均で3.7回ほどでした。なかなか着床しない原因としてもっとも多いのは、受精卵が染色体の数的異常によるものとされています。
着床前診断をするタイミングは、⑤胚培養~⑥胚移植の間です。
着床前診断の結果が出るまでは胚移植できないので、その分妊娠までの期間は伸びることになります。
ただし染色体の異常が少ない胚を選出するので、体外受精における着床率が上がりやすく、結果的に治療期間が短縮しやすいメリットがあります。
体外受精というと、高額な費用がかかるイメージがあります。実際、費用はどのくらいかかるのでしょうか。
体外受精の費用は個人差が大きく、一概にいくらという数字は示せません。体外受精は自由診療なので、クリニックによって大幅に異なります。また、同じクリニックで体外受精を受けたご夫婦でも、体外受精が何回目で成功したか、麻酔や排卵誘発剤は何を選択したかによって額が変わっていくのです。
厚生労働省が発表した実態調査によると、1周期の相場としては10~50万円ほどでした。ここに体外受精の回数を掛け算していくので、幅はさらに広がっていきます。
体外受精をおこなうクリニックのいくつかは、料金を提示しています。見てみると、だいたいのクリニックが処置ごとに料金を分けています。ご夫婦によって必要な処置が異なるためです。
・検査費
・排卵誘発費
・精子の調整費
・採卵費
・培養費
・移殖費
通常は上記に加え、麻酔代やアシステッドハッチング(胚が着床しやすくするための微調整)、胚の凍結・融解・凍結保管費などがプラスされていきます。
体外受精の費用はクリニックによってまちまちですが、安価=質が悪いということではありません。ただし、治療内容によっては治療期間が長引く場合があります。
たとえば、排卵誘発剤として経口薬だけを使う場合は大幅に費用が抑えられます。ですが、排卵数は高刺激に比べてかなり少なくなるかもしれません。排卵数が少なければ繰り返し採卵が必要になるので、その分治療期間が長引いたり、トータルの費用が上がったりすることも考えられます。
体外受精は今後保険適用になるという話もありますが、2021年現時点では自費診療扱いです。今のところ健康保険は適用しません。
ですが、保険が適用されない代わりに国から1回30万円の助成金が出ることがあります。「体外受精以外では妊娠が見込めない」などの諸条件をクリアする必要がありますが、助成金額が大きいので、該当するかどうかぜひチェックしておきましょう。
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体外受精は1回あたり約1ヶ月の期間がかかります。着床前診断を受けるなら、さらに検査期間がプラスされます。ですが、日本国内で着床前診断を受ける場合は申請にとにかく時間がかかるといわれているのです。一体どういうことなのでしょうか。
日本国内で着床前診断を受けるときは、日本産科婦人科学会の承認が必要です。認可を受けたクリニックを通して、学会へ申請をおこないます。申請~承認までは半年ほどかかるのが平均的で、すぐに体外受精や着床前診断が受けられるわけではないのです。申請しても承認が下りなければ、着床前診断を受けることはできません。
また、日本のクリニックでは男女産み分け目的の着床前診断は認められていません。
どうしても着床前診断で産み分けをしたい場合、アメリカなど規制のない国への渡航が必要です。ただし言葉の壁や料金設定の分かりにくさ、ご夫婦ともに長期休暇を取得しなければならないこと、そして渡航費用も含めた高額な治療費など、数々のハードルを前に諦めざるを得ないご夫婦もたくさんいらっしゃるのです。
日本の着床前診断はかなりハードルが高いものでした。ですが、近年これらの障害を軽く飛び越える着床前診断が登場しています。株式会社B&C Healthcareが提供する着床前診断です。
これは、受精卵や受精卵から取り出したDNAだけをアメリカの検査機関へ凍結輸送するプログラムです。申請は必要なく、希望すれば誰でも受けることができます。渡航させるのは受精卵やDNAだけなので、ご夫婦は日本で普通の生活を送りながら着床前診断を受けることができるのです。
また、この着床前診断プログラムでは男女産み分けも可能です。これまで着床前診断を諦めていたご夫婦にとって、このプログラムは明るい希望の光となるのではないでしょうか。
着床前診断をする場合は、体外受精が不可欠です。体外受精と聞くと治療が辛いイメージがありますが、それは「なかなか妊娠できない」というところに尽きると思います。着床前診断を受けることで着床しやすい胚を選出できれば、着床率アップが見込めます。
さらにB&C Healthcareの着床前診断なら、諦めていた高精度の男女産み分けにもトライすることができます。
ご家族の幸せに向けて、B&C Healthcareの着床前診断を検討してみてはいかがでしょうか。