「もしかして赤ちゃんができにくいかも?」と感じたときは、まず不妊検査を受けることが大切です。
ですが「どんな検査をするの?」「お金はどのくらいかかるの?」と分からないことだらけで、受診をためらっている方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は一般的な不妊検査の流れ、料金の目安、はじめて不妊検査をするタイミングについて解説します。不妊検査を考えている方はぜひ参考にしてください。
不妊検査は1日だけでは終わりません。いくつもの検査項目があり、すべての結果がそろうまでは1~2ヶ月ほどかかります。
時間がかかる理由は、女性の月経周期に合わせて検査がおこなわれるからです。ここでは一般的な検査の流れについてみていきましょう。
月経開始2~5日目頃を目安に、採血によるホルモン検査をおこないます。
・卵巣刺激ホルモン(FSH)
・プロラクチン(PRL)
・黄体化ホルモン(LH)
これら妊娠にかかわるホルモンが正常に分泌されているかをチェックします。
月経が終わった頃に子宮卵管造影検査をします。子宮卵管造影検査とは、卵管が詰まっていたり狭くなっていたりしないかを調べるものです。
細くてやわらかいカテーテルを子宮に入れ、造影剤を注入して卵管の様子をチェックします。
子宮卵管造影=痛いというイメージがありますが、卵管が詰まっていなければそれほど痛みを感じることはありません。卵管が狭くなったり詰まっていたりすると痛みますが、生理痛より少し強いくらいのレベルです。
造影剤を押し流すことによって卵管の通りがよくなるため、検査後は妊娠率が上がるというメリットもあります。
排卵日が近づいたら内診をおこないます。卵胞がどのくらい成長しているかを観察し、より正確な排卵日を予測するためのものです。
同じ時期に頸管粘液検査もおこないます。頸管粘液は俗にいうおりもののことで、十分に分泌されていないと精子が子宮にたどり着くことができません。頸管粘液検査によって状態や量をチェックし、正常に分泌されているかどうかをチェックします。
排卵時期にフーナーテストが実施されます。
フーナーテストは精子と頸管粘液の相性をみるためのテストです。性交した当日または翌日にクリニックを受診し、頸管粘液の中で精子が元気に動いているかどうかを調べます。
排卵日を過ぎると、黄体ホルモンの働きによって子宮内膜が変化します。受精卵を育むための環境がととのえられる時期です。
黄体ホルモンが正常に分泌されているかどうかを調べるため、このタイミングで新たに採血をおこないます。同時に内診も実施し、子宮内膜(赤ちゃんを育てるベッド)の厚みや異常の有無をチェックします。
そのほかに、以下の検査がおこなわれることもあります。
・抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査
抗ミュラー管ホルモンとは、卵巣の中でまだ眠っている卵胞のまわりから分泌されるホルモンです。このホルモン値を調べることで、卵巣にいくつ卵胞が残っているかを予測する手がかりになります。
・抗精子抗体検査
抗精子抗体とは、子宮へと侵入する精子を攻撃してしまうものです。抗精子抗体が強いと精子が動かなくなり、妊娠が成立しづらくなります。抗精子抗体検査はフーナーテストで精子の動きが悪いときに実施されます。
・性病検査
妊娠に影響するクラミジアや梅毒、HIVといった性病がないか検査します。
一方、男性の不妊検査には以下のようなものがあります。
・精液検査
・ホルモン検査
・睾丸検査
精液検査では数日間の禁欲ののち、精液を採取してその状態を調べます。精液に含まれる数や運動率、奇形率などが分かりますが、精液の状態は体調によって変わりやすいため再検査することもまれではありません。
採血によるホルモン検査では、テストステロンや性腺刺激ホルモン、プロラクチンなどの分泌が正常かどうかを調べます。
睾丸検査は超音波でおこなわれ、精巣に病気や異常がないかをチェックします。
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「不妊検査をした方がいいかもしれない」と思っても、なかなか受診のタイミングがつかめない方は多いでしょう。ここでは不妊検査を検討すべきタイミングについてお話します。
不妊検査を受けるタイミングとして
・女性が35歳未満で1年経っても妊娠しない
・女性が35歳以上で半年経っても妊娠しない
上記のいずれかに当てはまるときが一般的な目安とされています。しかし、実際には思い立ったらできるだけ早く検査をするのがベストです。
なぜなら、不妊検査は早ければ早いほど治療のチャンスがあるからです。卵管や子宮が病気に侵されていても、気づくのが早ければ悪化する前に治療することができます。
治療に数年かかるようなケースでも、発見が早ければ妊娠しやすい年齢のうちに治療を終えることが可能なのです。
また、2022年4月には不妊治療が保険適用となりましたが、このうち体外受精には年齢制限(43歳未満)が設けられています。この点も早めに不妊検査を受けた方がよい理由のひとつです。
将来的に妊娠を考えているのなら、不妊検査だけでも早めに受けておくとよいでしょう。
はじめての受診では保険証と検査費用のほか、婚姻関係を証明する書類(戸籍謄本や婚姻届受理証明書など)を用意します。
婚姻関係を照明する書類は、2022年4月から実施されている不妊治療の保険適用化にともなうものです。詳しくは受診するクリニックに問い合わせましょう。
ほかに基礎体温表、他院からの紹介状、検査結果などがあれば提出します。
服装については、内診予定日はパンツではなく長めのスカートを履いていくと検査がスムーズです。ナプキンやおりものシートも用意しておきましょう。
最初の受診が月経中でもとくに問題はありませんが、このあたりはクリニックによって方針が異なります。予約の電話をするときに、あらかじめ受診のタイミングを相談しておくとよいでしょう。
ちなみに「最終月経がはじまった日」は必ず聞かれる項目です。急に聞かれて戸惑うことのないよう、来院前までにチェックしておきましょう。
不妊検査をすると、料金はどのくらいかかるのでしょうか。一般的な目安のほか、保険適用や助成金の有無についてまとめました。
不妊検査ではじめて受診する場合、数千〜1万円程度の料金がかかります。
初診時の検査内容はクリニックによって異なるため、多めに用意しておくと安心です。また、カードでの支払いが可能かどうか事前に調べておくとよいでしょう。
不妊検査全体では2〜3万円程度の料金がかかりますが、これもあくまで目安です。一般検査で良くない結果が出たときは詳しく調べる必要があるので、もう少し料金がかかることもあります。
不妊検査は保険適用になるもの、自費になるものに分かれます。
(保険が適用される検査)
・内診
・LH、FSHなどの各種ホルモン検査
・子宮卵管造影検査
(自費による検査)
・抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査
・性病検査
・抗精子抗体検査
おおむね上記のように分かれますが、クリニックの方針や個々の状態で変わることがあります。
また、多くの自治体で不妊検査の助成金制度を利用できます。上限金額は自治体ごとに異なるため、お住まいの地域の支援事業をチェックしてください。助成金を受け取るには申請が必要です。申請期間内に指定の窓口へ提出しましょう。
不妊治療を希望するかどうかはご夫婦の判断です。不妊検査を受けたからといって必ず治療しなければならないわけではないので、安心して受けましょう。
また、クリニックによって
・タイミング法や人工受精までしか実施しない
・体外受精専門で人工授精はおこなわない
・不妊検査だけで治療はしない
など治療方針が分かれています。治療を希望するときに困ることがないよう、各クリニックの治療内容を確認しておくとよいでしょう。
不妊検査をしても不妊原因が分からないことがあります。検査を受けた方のうち約30%は原因不明不妊です。
不妊検査には限界があり、調べることができないものもあります。そのひとつが「卵子の老化」です。
卵子が老化していると受精や着床がうまくいかず、着床しても初期のうちに流産してしまいます。残念ながら老化した卵子を若返らせる方法はありません。
ですが、着床前診断が普及しつつあることはひとつの希望です。着床前診断とは受精卵の染色体異常の有無を調べ、着床する力や成長する力があるかどうかを調べる検査で、着床不全や流産への予防効果が期待されています。
不妊検査の内容やタイミングについてご紹介しました。不妊治療というと「なんだか痛そう」「高額なのでは?」といった負のイメージがありますが、受けてみると全然痛くなかったという方もいます。また、助成金を活用すれば経済的な負担を軽くすることも可能です。
不妊検査は妊活の第一歩です。限られた時間を有効に使うためにも、不妊検査を受けていないという方はぜひ前向きに検討してみましょう。
また、着床前診断については、株式会社B&C Healthcareが詳しい資料を無料提供しています。興味のある方は一度取り寄せてみてはいかがでしょうか。