街中でペアルックの服を着て歩く双子を見かけると、その可愛さについ見とれてしまうもの。妊活している人の中には「ぜひ双子を妊娠したい!」と考える人もいらっしゃるでしょう。
双子が生まれやすい体質はあるのでしょうか?また、双子を産み分ける方法はあるのでしょうか?
今回は双子を妊娠するメカニズムや双子を妊娠しやすいタイプ、双子を妊娠したときに注意したいことを解説します。
通常、1回の妊娠で生まれる赤ちゃんの数は1人です。しかし、まれに2人の赤ちゃんをお腹に宿す人がいます。
双子を妊娠するのはどうしてなのでしょうか?双子が生まれる確率と一緒にご紹介します。
双子には、一卵性双生児と二卵性双生児があります。
ひとつの受精卵が何らかの理由で二つに分裂すると、一卵性双生児が生まれます。赤ちゃんは同じ遺伝子情報をもっているので、基本的に性別・血液型は同じです。容姿もそっくりで、2人並ぶと見分けが難しいほどです。
それに対し、二つの受精卵がそれぞれ精子と受精して生まれるのが二卵性双生児です。双子といっても遺伝子情報が異なるので、性別や血液型が同じとは限りません。容姿は似ていることもあれば違いが目立つこともあり、きょうだい同士の似方と同程度です。
一卵性双生児が自然発生する確率はどの人種でもほぼ変わらず、約0.4%といわれています。
二卵性双生児が自然発生する確率は人種によって異なり、日本人の場合は約0.2~0.3%です。自然に発生するケースだけで比較すると、二卵性双生児より一卵性双生児の方が割合が大きいといえます。
ですが、最近では二卵性双生児が生まれる確率が約1%にまで増え、一卵性双生児を大きく上回っているのです。
理由として考えられるのが不妊治療の普及です。排卵誘発剤で一度に多くの卵子が排出されるため、二卵性双生児が多く生まれるようになっているのではないかと考えられています。
また、従来は体外受精の成功率を上げるために、1回の移植で2個の胚を子宮に戻すことがおこなわれていました。2個の胚がどちらも着床し、結果的に双子が生まれることもあったようです。
現在では不妊治療の技術が向上したこと、双子の妊娠は経過中のリスクが高いことなどから複数胚を移植することはなくなっています。
超音波検査で双子と判明するのは、二卵性双生児だと妊娠5週ごろから、一卵性双生児だと妊娠6週ごろからです。
二卵性双生児の場合は胎嚢という赤ちゃんを包む袋がふたつ見えるので、超音波検査で比較的早く確認されます。
一卵性双生児の場合は胎嚢がひとつなので、妊娠5週で確認されることはまれです。妊娠6週ごろになると心音が二つ重なって聞こえるようになり、双子の妊娠が判明します。
SNSやブログなどでは「双子はhCGが多すぎて妊娠検査薬が陰性になる」という噂が流れているようです。ですがこの噂に明確な根拠はなく、お腹の赤ちゃんが1人でも2人でも妊娠していれば妊娠検査薬は反応します。
陰性になったというケースは、検査をするタイミングが早すぎたか、きちんと検査ができていない可能性があります。
いずれにしても予定日に生理が来なくて妊娠している可能性があるときは、妊娠検査薬の反応に関わらずクリニックを受診しましょう。
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一卵性双生児が自然に生まれる確率は約0.4%で、人種による違いはありません。
ですが二卵性双生児は人種によって生まれる確率が異なるため、遺伝による影響が考えられます。
二卵性双生児はふたつの卵子がそれぞれ受精することで起こります。1周期で複数個を排卵する体質の女性は二卵性双生児を授かりやすい体質といえるでしょう。
不妊治療の現場では、妊娠率を高める目的で排卵誘発剤が使われます。
自然な状態では1周期につき1個の卵子を排出しますが、薬によって卵巣を刺激すると複数個の卵子が排出されることがあります。
したがって、不妊治療をしていると自然妊娠と比べて二卵性双生児を妊娠する確率が高くなります。
厚生労働省のデータでは、25~29歳の多胎妊娠は1.70%なのが30~34歳では2.03%、45歳以上では5.95%と徐々に増えています。
高齢で双子を妊娠しやすい理由としては、
・年齢が上がるにつれて卵胞刺激ホルモンの数値が高まり、1周期に複数個を排卵するから
・不妊治療をする人の割合が増え、排卵誘発剤によって1周期に複数個を排卵するから
などが考えられています。
双子を産み分けるための方法は、残念ながらありません。
体外受精で2個以上の胚を移植する、排卵誘発剤を使うといった不妊治療によって双子を妊娠することはあります。ですがこれはあくまで妊娠しやすくするための措置であり、双子を妊娠する目的でおこなわれることはありません。
また、現在は多胎のリスクを考えて、体外受精の移植では1周期あたり1個の胚を移植することが基本となっています。
双子の妊娠は、通常の単胎妊娠と比べて母子ともにリスクが高くなるとされています。具体的にはどんなリスクがあるのでしょうか。リスクを低くする対策とともにチェックしましょう。
赤ちゃんを包む膜には、絨毛膜と羊膜があります。絨毛膜は胎盤とつながる外側の膜、羊膜は赤ちゃんを保護する内側の膜です。
双子の膜性は、次の3つに分かれます。
・2絨毛膜2羊膜(DD)…赤ちゃんごとに独立した胎盤と羊膜がある
・1絨毛膜2羊膜(MD)…羊膜は独立、胎盤は共有
・1絨毛膜1羊膜(MM)…胎盤も羊膜も共有
このうち、もっともリスクが高いのは1絨毛膜1羊膜(MM)です。同じ部屋の中で同じ胎盤を共有するため、へその緒が絡まったり、栄養バランスの不均衡が生じたりして突然死するリスクが高まります。
次にリスクが高いのは1絨毛膜2羊膜(MD)の双子です。羊膜が独立しているのでへその緒が絡まることはありませんが、胎盤は共有しているため栄養が偏るリスクがあります。
二卵性双生児は100%が2絨毛膜2羊膜(DD)です。このタイプの場合はそれぞれに胎盤と羊膜があるので、3つの膜性の中ではもっともリスクが低いとされています。
双子妊娠は母子ともに負担が大きく、前述したほかにも次のようなリスクが考えられます。
・悪阻(つわり)症状が強い
・妊娠高血圧症候群
・妊娠糖尿病
・早産、難産、流産
・HELLP症候群
・胎児の発育遅延、形態異常
・血栓症
とはいえ新生児医療は大きく発達しており、仮に早産でも妊娠28週以降に生まれた場合は良好に成長することがほとんどのようです。
双子妊娠はハイリスクではありますが、適切な病院でこまめに通院を重ねていれば、もしもの事態に備えることが可能です。
双子と判明した場合は、万が一に備えてNICU(新生児集中治療室)のある総合病院や大学病院を紹介されることが多いでしょう。ただし、比較的リスクが低いDD双胎であれば、個人病院でも受け入れることがあります。
また、ちょっとしたトラブルを見逃さないようにするため、単胎妊娠よりも通院回数は多くなります。通常、妊娠初期なら4週に1回のところ、双子妊娠では2週に1回健診をおこないます。医療機関によっては妊娠28週ごろから管理入院をすることもあるようです。
何度も病院へ通ったり、早めに入院したりすることもあるので、できるだけ通いやすい病院を選ぶこともポイントになるでしょう。
2人の赤ちゃんを迎える一方で、ハイリスクでもある双子妊娠。片方だけがうまく成長できずに妊娠初期で消失してしまったり、臓器の欠損や奇形を起こしたりして人知れず悲しい思いを抱いている人もいらっしゃるでしょう。
こうしたことが起こる理由のひとつとして「受精卵の染色体異常」が考えられます。染色体異常は健康な若いカップルでも生じるごく自然なもので、異常のある受精卵のほとんどは妊娠には至りません。ですがまれに妊娠して初期流産を起こしたり、先天性疾患をもつ赤ちゃんが生まれたりすることがあるのです。
染色体異常による流産や先天性疾患を防ぐ手だてとしては、着床前診断があります。着床前診断は体外受精で得られた受精卵の染色体を調べるもので、流産する可能性が低い良好な胚を選ぶことが可能です。
赤ちゃんがすくすくと健康に育つことは、親として最大の望みといっても過言ではありません。すでに悲しい思いを経験していて、再び同じ思いを重ねるのがつらいという方にとって、着床前診断はひとつの希望となり得るのではないでしょうか。
双子の赤ちゃんはとても可愛く、妊娠したいと考える人も多いのですが、双子を産み分けるための方法はありません。双子妊娠はハイリスクであることから、従来おこなわれていた体外受精の複数胚移植も現在は見られなくなりました。
双子に限らず流産や発育不全で悲しい経験をされた方には、着床前診断が助けになるかもしれません。着床前診断の詳しい資料は、株式会社B&C Healthcareにて無料で配布しています。着床前診断についてもっと知りたいという方は、一度取り寄せてみてはいかがでしょうか。