「排卵痛」という言葉を聞いたことがありますか?生理と生理のちょうど中間時期に起こる下腹部の痛みのことで、症状がひどい場合は歩けなくなるほど痛む人もいます。
排卵で痛みが生じるのはなぜでしょうか?また、痛みを和らげる方法はあるのでしょうか?今回は受診すべき痛みの目安なども交えながら、排卵痛について詳しく解説していきます。
排卵痛とは、排卵にともなって起こる下腹部の痛みです。痛み方は個人差がありますが、次のような痛みを訴える人が多いです。
・チクチクとした痛み
・ズンとした鈍い痛み
・下腹部全体の痛み
・生理痛に似た腰の痛み
・左右どちらかの足の付け根(卵巣付近)の痛み
排卵痛は軽い痛みであることがほとんどですが、中には痛み止めが必要になるくらい痛む人もいます。通常は2~3日すれば収まるとされています。
排卵痛は、排卵日または排卵前後の1~2日間に起こることが多いとされています。生理が28日周期の場合、排卵痛が起こるのは前回の生理開始日から約14日後です。
ただし、生理が不順という人は排卵日が定まらないことから、痛む時期も定まらないことがあります。
排卵痛を感じる人は女性の約40%といわれています。排卵痛を感じにくい女性の方が多いということになります。
一方で、強い排卵痛を感じる人は約6%です。強い排卵痛の原因には婦人科系の病気が潜んでいることもあるため「以前より痛みが強くなった」「薬が手放せない」というケースでは注意が必要です。
女性は月に1回、卵巣から卵子を排出します。その際に卵胞が破けて腹膜を刺激したり、卵巣を傷つけたりすることがあります。そのときの痛みを排卵痛といいます。
また、排卵日を境にホルモンバランスは大きく変化します。排卵が起こる前はエストロゲンによって体温が低下しますが、排卵後はプロゲステロンの増加によって体温が0.3~0.5℃上がります。
こうしたホルモンの乱高下や体温変化によって、排卵痛とともに眠気やだるさ、むくみなどの諸症状が現れることがあるのです。
排卵日前後は、痛みとともに眠気やだるさなどの不快症状をともなうことがあります。ここでは、現れやすい症状についてご紹介します。
排卵出血は、卵胞が破れたときの血液が排出されることで起こります。おりものに血がにじむ程度のごく軽い出血です。
また、排卵期にはエストロゲン分泌の急激なアップダウンが起こるため、子宮内膜の一部がはがれて出血を起こすこともあります。
生理ではないのに出血すると驚くかもしれませんが、排卵出血はごく自然な現象なので心配はいりません。
排卵した直後は、プロゲステロンの分泌量が増加します。プロゲステロンは眠気を強くする働きがあるため、日中でも眠くてたまらない、だるいといった症状が引き起こされます。
プロゲステロンには体温を上げる働きがあり、夜でも体温がうまく下がらず寝つきが悪くなる人もいます。眠りのサイクルが乱れるので、普段よりボーッとした状態になりがちです。
プロゲステロンには、体内に水分を溜めこもうとする働きがあります。その影響で体がむくみ、血液循環が悪くなって冷えにつながってしまうのです。
むくみのせいで体が重く感じられ、気分が不安定になることもあります。
排卵期に分泌されるプロゲステロンには、乳腺の発達を促す働きがあります。その影響で、排卵痛とともに胸の張りを感じることもあります。
下着による圧痛がつらいときは、ワイヤーレスやワンサイズ大きいものを身に着けると不快感が和らぐのでおすすめです。
排卵日前後には、とろみがあってよく伸びる透明なおりものが分泌されます。この変化は妊娠に向けて体が準備をしている証拠です。
おりものの量が増えるので、おりものシートが必要になる人もいます。
プロゲステロンは体内に水分を溜めこむ作用があります。その働きによって腸内の水分が吸収されると、便が固くなってしまうことがあります。
便が固いせいで、便秘や肌荒れといったトラブルが起こりがちです。
排卵痛は、排卵の刺激で起こるごく自然なものです。痛みが軽く、2~3日で治まるようなら心配はいりません。
排卵痛が強すぎる場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。ここでは、受診したほうが良い排卵痛の目安についてご紹介します。
子宮内膜症になっていると、排卵痛を強く感じやすくなります。子宮内膜症とは、子宮内膜以外の場所で内膜組織が増殖する病気です。
「排卵のたびに立ち上がれないほど痛くなる」「薬を飲まずにはいられない」というほど痛みが強い人は子宮内膜症の疑いがあります。できるだけ早めに産婦人科を受診しましょう。
通常、排卵によって起こる出血はごく少量です。また、ほとんどのケースでは2~3日もすれば治まります。
生理と同じくらいの出血がある、または長期にわたってダラダラとした出血が続く場合は、性感染症による炎症や腫瘍の可能性が考えられます。
放っておくと治療が難しくなることもあるので、出血が多いと感じたときは産婦人科へ相談しましょう。
毎月の排卵痛がつらいときは、次のような方法を試してみましょう。排卵痛が起こる数日前から実践するのがおすすめです。
お腹や腰周りを中心に温めることで、排卵痛を和らげることが可能です。冷たい飲み物や食べ物は排卵痛を助長するため、排卵時期は避けることをおすすめします。
お風呂はシャワーだけで済ませず、お湯に浸かって腰から下を温めるのが理想的です。体を動かすことも冷えの解消につながるため、週に1~2回程度を目安に軽いスポーツを楽しむなど運動すると良いでしょう。
排卵痛が激しい人は、ホルモンバランスが乱れているかもしれません。とくに睡眠不足はホルモンバランスに大きく影響するので、夜更かしをする習慣のある人は注意が必要です。
また、食事のバランスも大切です。食事を抜くのは避け、たんぱく質や脂質、ビタミン・ミネラルを過不足なく摂るようにしましょう。
ストレスが強い人は、排卵痛を感じやすいといわれています。ストレスによって自律神経が乱れると、ホルモンバランスも影響を受けて痛みを悪化させます。
ストレスが溜まっているときは、ゆっくり音楽を聞いたり、好きな場所に出かけたりしてリラックスすることがおすすめです。緊張がほぐれて血行がよくなることで、排卵痛が和らぐこともあります。
排卵痛は排卵日予測の目安になります。ただし、排卵痛が起こるタイミングは排卵前・排卵日・排卵後などまちまちです。
排卵痛だけで排卵日を予測するのは難しいので、排卵検査薬や基礎体温表、おりものの性状などもチェックして総合的に判断しましょう。
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排卵痛は生理と生理の間に起こる自然な痛みです。ほとんどは軽い痛みで、数日経てば治まります。万が一、出血や痛みがひどい場合は病気が潜んでいる可能性があるので、早めに産婦人科を受診しましょう。
「排卵しているのになかなか妊娠しない」という場合は、着床前診断が助けになるかもしれません。株式会社B&C Healthcareでは着床前診断に関する詳細な資料を提供しているので、興味のある方は一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。