株式会社B&C Healthcare 受精卵の染色体・遺伝子検査事業

管理医療機器販売企業
(東京都港区みなと保健所届出)
B&C Healthcare

医師監修コラム

HOME  >  医師監修コラム  >  【医師監修】不妊治療をするなら知っておきたい、OHSSを詳しく解説

【医師監修】不妊治療をするなら知っておきたい、OHSSを詳しく解説

2022.01.30

不妊治療にはさまざまな治療方法がありますが、卵巣を刺激して卵胞発育を促す治療をする方はOHSSのリスクを知っておく必要があります。OHSSとはどのような症状があるのか。OHSSとなることで不妊治療にどのような影響を及ぼしてしまうのかをここでは詳しく解説します。

これから、卵巣を刺激する治療をおこなう方はぜひチェックしてみてください。

 

OHSSってどんな状態?どんな症状が出るの?

OHSSとは、卵巣過剰刺激症候群のことをいいます。卵巣過剰刺激症候群の頭文字(ovarian hyperstimulation syndrome)をとってOHSSと呼んでいます。

まずは、OHSSがどのような状態であるのかを詳しく見ていきましょう。

排卵誘発によって卵巣が過剰に腫れた状態のこと

OHSSは、不妊治療の際に排卵誘発剤を用いて卵巣を過剰に刺激されることによって、卵巣が腫れあがってしまいさまざまな症状を引き起こす状態のことを言います。卵巣は通常、3~4cm程、親指程度の大きさですが、治療を必要とする頃には8cm以上にも膨れ上がってしまうのです。

 

OHSSの症状は?

OHSSの症状として最初に自覚するのが、お腹が張った感じがする腹部膨満感、体重増加、腹囲増加です。

治療後からウエストが増えて今まで着用していた下着がきつくなった、体形はほとんど変わっていないのに急に体重が増えたなどで気づく方が多いようです。

 

お腹が張ってくると、腹膜刺激といい大きくなったお腹が刺激になって下腹部痛、嘔気、嘔吐が引き起こされます。

さらに症状が進むと、毛細血管の透過性が亢進することにより血管内で血液が濃縮することで、のどの渇きや尿量の減少が症状として現れ、重症例においては血栓症、肺水腫などによる死亡例の報告もあります。

 

不妊治療によるOHSSの発症頻度は5%程度といわれています。

特に不妊治療のために卵巣を刺激する場合、より多くの卵を得るために過剰に卵胞を発育、排卵させることもあり、一般の排卵誘発に比較して発生頻度は高いと報告されているのです。

 

OHSSになりやすい人はどんな人?

不妊治療を受けた全ての人がOHSSになるということではありません。OHSSも発症しやすい人とそうではない人がいます。OHSSになりやすいと考えられているのは以下のような方です。

 

  • 年齢が若い方
  • 痩せている方
  • 多囊胞性卵巣症候群(PCOS)の方
  • AMH 高値の方
  • OHSSに過去になったことのある方
  • ゴナドトロピン製剤投与量を増加しないと排卵誘発できなかった方
  • 血中エストラジオール値の急速な増加が見られている方
  • 発育卵胞数の増加と生殖補助医療における採卵数の増加が見られる方
  • hCG 投与量の増加、hCG の反復投与をした方
  • 過去に多胎妊娠を経験した方

 

特に多嚢胞性卵巣症候群の方やお薬の投与量を増やしている方、過去にOHSSになったことのある方や双子や三つ子を妊娠したことのある方はOHSSになりやすいといわれており、特に注意が必要であると考えられています。

OHSSになったらどんな治療をするの?妊娠はできる?

OHSSになったらどんな治療をするのかも気になるかもしれませんが、何より気になるのがOHSSになっても不妊治療が継続でき、妊娠ができるのかどうかではないでしょうか。

OHSSの治療法と妊娠できるのかどうかについて解説していきます。

通院でも治療は可能!通院での治療方法は?

OHSSは、発症しても軽症で済む場合が多いです。軽症の場合は安静にしながら経過観察を行います。もしも痛みが強いという場合には痛み止めを飲みながら経過を観察していきます。これで快方に向かうことが非常に多いです。

 

中等症の場合も安静と深い症状への対処療法で改善します。

ただし、OHSSでありながら妊娠が成立した場合には、重症化するリスクがあります。産婦人科のクリニックなどで対応が難しく、高度医療を標榜する医療機関で治療を受けなければなりません。

重症の場合は入院が必要!入院の目安とは

重症の場合には通院で治療を受けることは難しく、入院して治療を受ける必要があります。入院して全身管理を受けながら投薬をし、諸症状あるいは合併症の改善を目指します。

もしも合併症や副作用など諸症状によって命の危険性があると判断した場合には、妊娠をしていたとしても人工妊娠中絶を選択しなければならないこともあります。

 

OHSSになった方の治療経過と妊娠率は?

OHSSになってしまっても治療経過は良好であり、軽症や中等症であれば安静にしていることで、妊娠をしていなければ約1週間程度で改善が見込めます。

 

またOHSSを発症した方の妊娠率について明確な報告はないものの、軽症や中等症については完治するため、完治後に生殖医療を受けることで、妊娠も十分可能です。そのため、確実に妊娠を可能にすることやOHSSを悪化させないために、OHSSになった周期の受精卵移植を見合わせ、状態が改善してから、不妊治療を再開するということが多いです。ただし、重症例となると、卵巣を切除しなければ根本的な改善が得られず、妊娠率に影響が出る可能性が懸念されています。

不妊治療においてOHSSにならない排卵誘発が進んでいる

近年OHSSにならない排卵誘発が進んでいる、あるいは排卵誘発をしてもOHSSになる人が減っているというような話も出ています。OHSSにならない排卵誘発が実際に現場では進んでいるのでしょうか。

近年OHSS発症者及び重症者は減少傾向!

実は近年重症のOHSSは減少傾向にあるといわれています。

日本では入院を要するほどのOHSS発症頻度は0.8〜1.5%、命の危機的状況に陥った最重症型のOHSSの頻度は10万人あたり0.8〜1.2人と言われており、このデータからも重症例はあまり多くないということが分かるのではないでしょうか。

OHSSが重症化しないように薬剤の種類や投与のタイミング、投与量などさまざまな研究がなされています。特に近年は、不妊症の方に対する治療の質( qualityof care )よりも、患者さんへの負担に重きを置かれるようになってきています。OHSSを引き起こしたり、重症化したりすることがないような不妊治療が進められているのです。

軽症から重症にならないように予防は可能?

OHSSの発症頻度が減っているということがおわかりいただけたかと思いますが、発症頻度は残念ながら0ではありません。発症頻度を減らすということは難しいですが、重症化を予防していくことはできます。

例えば症状が出ていると感じたら早めに治療をしている医療機関に伝えたり、安静にして過ごしたりといった対策が可能です。

重症にならなければ、早期の改善が見込め、妊娠にもさほど影響はありません。

そのため、症状を適宜チェックし、気になる症状があれば早めに医師に報告して対策をしていきましょう。

まとめ

軽症、中等症の妊娠していない方であれば、もしもOHSSになったとしても通院と安静、経過観察で1週間ほどで改善が見込めます。しかし、重症化すれば入院が必要となり、命に危険が及んだり卵巣切除が必要となったりすることもあります。

 

不妊治療を受ける際には排卵誘発剤の使用及びOHSSについてしっかりと医師から説明を受け、理解したうえで治療を進めていきましょう。

監修

一倉絵莉子 先生
六本木ヒルズクリニック

産婦人科医 / 六本木ヒルズクリニック 日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員 日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。

CATEGORY

ARCHIVE

SCROLL