赤ちゃんがなかなかできなくて、不妊治療に踏み切った時にも辛い思いをされたという方もいらっしゃるかもしれません。ですが、不妊治療をしていてもさまざまな辛いことに直面します。終わりの見えない不妊治療、少しでも気持ちをラクにしていかなければ、治療を続けていくことは難しいでしょう。気持ちをラクにしながら、辛い不妊治療を乗り越える方法をご紹介します。
不妊治療をしていて最もつらいといえるのが周囲の理解を得るということです。周囲の理解を得られずにひとりで治療をしていくことほど辛いことはありません。ここでは、周囲の理解を得られないと具体的に何が辛いのかに加え、解決方法をいくつかご紹介していきます。
一緒に治療をしていくべきパートナーから理解が得られないということは最も辛いことかもしれません。事実、男性側に不妊の原因がある割合は48%といわれており、不妊症の約半分が男性にも原因があります。その一方で、自分に不妊の原因があると考えて積極的に医療機関へ受診する男性は少ないといわれています。
厚生労働省が発表した受診率を見てみると、女性の場合は1日の不妊治療外来患者の数が11~50 人程度と回答した医療機関が最も多く、その一方で、男性不妊治療外来の患者数は、1日当たり10人以下という回答が最も多かったとあります。
つまり、女性側が夫婦そろって不妊治療を滞りなくスタートさせたいと思っていても、パートナーには不妊治療を自分事に捉えてもらえずに、通院や検査など妻がひとりで不妊治療をスタートせざるを得ないという状況にもつながっているのです。
友人や両親、義両親で不妊を経験していない方がいると、不妊治療についての理解が得られず辛い思いをするということもあります。両親や義両親からは子どもはまだできないのかと言われて辛い思いをしたという方も多くいらっしゃるようです。
また、不妊に悩んだ経験がなく自然妊娠できた人からは不妊治療の辛さはわかりません。そのため、周囲からの悪気ない発言によって不妊に悩む自分自身が傷つくこともあります。理解されないことで、人間関係に少なからずストレスを感じてしまう方も少なくありません。
働きながら治療を受けようと考えている方にとっては職場からの理解が十分に得られないことも辛く感じることのひとつです。厚生労働省の調査によると不妊治療と仕事を両立できず、最終的に不妊治療を諦めてしまったり、仕事を変えざるをえなかったという方は35%いらっしゃいました。
実際に理解を得られずに辛い思いをしている同じ職場の人を目の当たりにしたり、周囲に気を使わせてしまうことを懸念して上司に報告ができないという方など、職場から理解を得る難しさを実感している人も多いようです。
周囲の理解を得るためにまず話し合うべきなのは夫でしょう。夫は一緒に治療をしていくべき当事者といえます。初めは不妊治療に対する理解が薄いかもしれませんが、実際に不妊が起こってしまう原因の半分は男性側にあり、夫に対しては当事者という意識を持ってもらえるよう話し合いをしていくことが必要です。今後の家族計画や、どんな家庭を築いていきたいかお互いの将来像を明確にし、しっかり共有することでパートナーシップをより深めることもできます。
ご自身の両親の場合は、自分も本音で話しができるので、今自分が置かれている状況や今後についてしっかりと話をして、理解を得てもらうことで乗り越えられるかもしれません。もしも両親が近くに住んでいれば、妊娠後や産後にサポートを依頼することがあるかもしれません。今後のことを考えてもしっかりと会話をして理解を得るということがよいでしょう。
一方、夫側の両親についてはやはりパートナーから話をしてもらうのがベターな方法であるといえます。自分たちの状況を話さずとも、パートナー側から2人の問題なので見守ってほしいというように伝えるだけでも義両親が変わることもありますので、まずは、夫に理解をしてもらい、間に入ったサポートを依頼しましょう。
職場での理解について、まずは上司など身近な人に相談をしてみましょう。職場によっては知らないだけで不妊治療が無理なく受けられるような制度を用意していることもあります。
自分の口からうまく伝えることが難しいという場合には、「不妊治療連絡カード」という手もあります。不妊治療連絡カードとは、不妊治療を受けている従業員等が企業側に、不妊治療中であることを伝えるときに使えるツールです。厚生労働省も職場との連携のために活用を勧めているのでこのカードを使用してもよいでしょう。
不妊治療では周囲の理解など精神面の事情はもちろんですが、金銭面の課題もあります。不妊治療での金銭面はどのような辛さがあり、どうすれば乗り越えていけるのでしょうか。金銭面の課題や乗り越え方についていくつか紹介していきます。
不妊治療は数十万、場合によっては数百万単位でかなりのお金がかかる治療です。不妊治療は2022年4月より保険適用の治療となりました。そのため、一般不妊治療といわれるタイミング法や人工授精、そして生殖補助医療といわれる採卵や体外受精、顕微授精などもすべて保険適用で治療を受けることができます。
保険が適用されるとはいえ、治療はいつ終わりが来るかは不透明です。今までよりお金がかからなくても、少なからず金銭的に負担があるということは間違いありません。また、不妊治療のために仕事をセーブしているという方もいらっしゃるかもしれません。そうなれば収入がないあるいは、以前より収入が減ったのに支出が多くなり、家計を圧迫することにつながりかねません。
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治療を継続していくことで、金銭的な負担があると考えられる場合には、助成金制度を活用する方法もあります。助成金制度とは、体外受精を受けたあるいは、体外受精を受けようとしたが医師の判断により受けることができなかったなど、体外受精に関するさまざまな条件をクリアすることで、お金をもらうことができます。
助成金の制度の有無や条件、金額や年齢については都道府県によって異なりますので、ご自身の居住する地域の役所へ相談してみてください。
不妊治療は精神面や金銭面だけでなく、身体面にも大きな影響を及ぼします。不妊治療が身体面にどのような影響を及ぼすのか、理由や対策についてもお伝えします。
不妊治療の種類によっては、ホルモンをお薬などで補充しなければなりません。この薬の副作用で辛い思いをしているという方が多くいらっしゃいます。また、ホルモン補充は注射で行うことも多く、個人差はありますが、人によっては週に何回も注射を打ちにいかなければならない場合があります。注射が苦手な方はもちろん、何度も注射を受ける身体的な苦痛は不妊治療ではついてまわることがあるのです。
採卵や卵管造影検査など不妊治療や検査の内容によっては、痛みを伴うものもあります。痛みを伴ったことによって必ず子どもを得られるということではありませんし、不妊治療をしなければ感じなくてもよい痛みです。治療に痛みがあると考えるとつい、病院に行かなければならなくても足が遠のいてしまったり、気持ちが沈んでしまうことも考えられるでしょう。
まずは少しでも辛さを改善できるように主治医と相談されると良いでしょう。医師の治療方針によりますが、痛み止めを服用してから治療をしたり、痛みを軽減するために麻酔を使ってもらえたりすることもあります。
ホルモン補充についてどうしても注射が苦手な場合には、テープタイプや内服タイプなどさまざまなものもあります。ホルモン補充による辛い副作用も医師に相談することで改善できるかもしれません。辛いと感じたことを積極的に主治医に相談して解決策を考えてみましょう。そのために相談しやすい医師に不妊治療を依頼することも、辛さを乗り越える方法の1つとなります。
不妊治療をしていると辛いことも多いかもしれません。まずは、パートナーを含め周りの人に不妊治療について理解をしてもらい、そのうえで、サポートを受けながら前向きに治療に取り組んでみましょう。インターネット上にもさまざまな情報がありますが、すべてが事実とは限りません。全てをうのみにせず、場合によっては医師などの専門家に相談して自分から悩みを解決する姿勢が大切です。
少しでもこちらの記事で気持ちが軽くなったという方が増えたら幸いです。