排卵日に合わせてタイミングをとることができた翌日。「今度こそ妊娠してるかも?」と、ワクワクと不安が混じりあった気持ちで過ごす方は多いのではないでしょうか。
受精から着床までの間、体の中では一体何が起こっているのでしょうか?
また、少しでも妊娠する確率を高めるためにやっておくべきことはあるのでしょうか?
今回は受精から着床までの流れを解説しながら、「着床までにやったほうがいいこと」「やってはいけないこと」をまとめてご紹介します。
受精した日から着床までは、およそ1週間かかります。
「受精したらすぐに着床するんじゃないの?」と意外な気もしますね。なぜ時間がかかるのかというと、この数日間で着床するための準備をするからです。
着床するための準備の1つが「細胞分裂」。1つの細胞が2つに、2つの細胞が4つにといった調子で受精卵は細胞分裂を繰り返していきます。
卵管を通過しながら受精卵は「胚盤胞」へと成長し、着床に向けて準備をします。子宮にたどり着いた受精卵が着床しはじめるのが受精後およそ6~7日目です。
受精卵は子宮内膜の奥へと入り込み、絨毛と呼ばれる根のようなものを伸ばしていきます。
着床は数日かけてゆっくりと進み、受精から12日目くらいに完了。ようやく妊娠が成立し、出産へ向けて赤ちゃんが成長をはじめるのです。
ここで、排卵から着床までの流れを整理しましょう。
まず、最終生理開始日から約2週間後に排卵が起こります。排卵日前後の行為によって生じた受精卵は、成長しながらやがて着床を開始。受精から着床完了までに約12日間かかるので、28日周期の人であれば次の生理がはじまる約2日前に妊娠が成立します。
着床したかどうかは市販の妊娠検査薬で調べることができますが、検査が可能になるのは生理開始予定日のおよそ1週間後が目安です。
妊娠と密接に関わるのはホルモンバランスです。できるだけホルモンバランスを正常な状態に近づけておくと、着床への近道になります。
では、ホルモンバランスを正常にするには何をすればいいのでしょうか?具体的に解説します。
ホルモンバランスを保つ上で不可欠なのが睡眠です。睡眠とホルモンは密接な関係にあり、決まった時間に眠るようにすればホルモンの乱れを防げます。徹夜や夜更かしは避けて、すっきりと目覚められるように良質な睡眠を確保しましょう。
睡眠中はメラトニンというホルモンが分泌されます。このメラトニンは卵子の老化を防いでくれる働きがあり、妊活中の女性にとって非常に重要です。
寝る2時間前からスマートフォンやパソコンの使用は控え、落ち着いた照明の中で過ごすようにしましょう。
ホルモンバランスを正常に保つには、バランスのよい健康的な食事が必要です。
「健康的な食事」というと、炭水化物や油脂が少なめで野菜の多い食事が浮かぶかもしれませんね。ですが、極端な栄養の偏りはかえってよくありません。
まずは炭水化物・たんぱく質・脂質のうち、極端に少ないか多いものがないか注意しましょう。食事バランスの見直しには、厚生労働省が発表している「妊産婦のための食事バランスガイド」が目安になります。
ビタミン類や鉄、カルシウムなどのミネラル補給も大切です。
とくに葉酸は、胎児の中枢神経障害(二分脊椎)を防ぐために重要な栄養素。葉酸は海藻類、肉類、ほうれん草やブロッコリーなどの野菜類に含まれますが、食品で妊婦の1日必要量400μgを満たすのは大変なので葉酸サプリも活用しましょう。
エアコンの効きすぎや運動不足、冷たいものの取りすぎは身体を冷やす原因です。身体が冷えると下半身の血流が滞ってしまい、子宮に必要な栄養やホルモンが届きにくくなることに。
長時間のデスクワークは合間に身体を軽く動かしましょう。締めつけの強い補正下着や洋服の着用は避けて、スムーズな血流を促すことをおすすめします。
職場ではカーディガンなどの羽織りを用意して冷えをシャットアウト。ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を取り入れながら、身体を温めることを意識しましょう。
着床までの期間というよりも、妊活をはじめる前にチェックしておきたいのが「風疹の抗体検査」です。妊婦が風疹にかかってしまうと、お腹の中の赤ちゃんが先天性風疹症候群(CRS)になることがあります。
CRSは白内障や緑内障などの目の病気、先天性心疾患、難聴をひき起こすことで知られています。
平成元年より前に生まれた世代は抗体を十分に有していない可能性があるので、妊娠する前にワクチンを打っておきましょう。妊娠を希望する女性だけでなく、周りの家族もきちんと抗体をつけておく必要があります。
着床までに「やっておくといいこと」をご紹介しましたが、逆に「やってはいけないこと、注意すべきこと」もあります。
一体どんなものがあるのでしょうか。まとめてご紹介しましょう。
妊活中にもっとも注意したいのは喫煙です。たばこに含まれるニコチンや一酸化炭素は胎児の血液循環を妨げます。血流が悪くなると、体重の増加不良や流産・早産のリスクを高めることに。
乳幼児突然死症候群(SIDS)もたばこと関係しています。両親が喫煙している家庭の赤ちゃんは、喫煙しない家庭と比べて約4.7倍もSIDSのリスクがあることが知られています。
自分が吸うのはもちろん同居の家族も含めて、妊活中は禁煙するのがベターです。
妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール症候群(FAS)の原因です。FASは子どもの精神発達の遅れや先天異常をまねくもので、産まれてくる赤ちゃんにとって大きなリスクとなります。
飲酒による影響は個人差があるため「飲んでもいい量」というものはありません。
米国小児科学会は妊娠しようとする女性に対して「少量の飲酒でもするべきではない」との見解を述べています。
着床を知らずに1杯飲んだからといってすぐ影響があるわけではありませんが、赤ちゃんによくないと分かっているなら避けるに越したことはありません。
「妊娠したら薬を一切飲んではいけない」というわけではありませんが、内服時には注意が必要です。
とくに妊娠4~7週(着床が終わってから約1か月の間)は「絶対過敏期」と呼ばれる大切な時期です。この時期は赤ちゃんの各器官の元となる部分が作られるため、薬の影響を非常に受けやすいといわれています。
とはいえ、薬のすべてが妊娠に悪影響を及ぼすわけではありません。定期的に服用する薬の中には、もともとの病気をおさえて妊娠を維持するために飲んだほうがいいものもあります。
病院に通っている場合はかかりつけ医と相談し、できるだけ赤ちゃんへの影響が少ない薬に変えてもらいましょう。
レントゲンも妊娠しているときに気になるもののひとつ。結論からいうと、レントゲンによる被ばくはほぼ心配いりません。
確かにお腹の赤ちゃんは放射線の影響を受けやすいのですが、注意すべきといわれる線量は100mGy(ミリグレイ)以上です。一方、レントゲンで受ける線量は1mGyにも満たないため、妊娠中に受けたとしてもあわてる必要はありません。
ただしやはり赤ちゃんへの影響を踏まえて、レントゲン撮影は必要最小限にするのがよいでしょう。
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【医師監修】不妊治療の平均的な期間は?治療を開始するまでの期間や妊娠の可能性を高める着床前診断をご紹介
妊活している健康なカップルは、約80%が半年以内に妊娠するといわれています。
「何回繰り返してもなかなか着床しない…」というときは、何らかの不妊原因が隠れているのかもしれません。
ここでは着床しないときの対処法について解説します。
半年~1年試しても着床しないときは、ご夫婦で不妊検査を受けてみましょう。
検査を受けたからといって必ず原因が分かるわけではありませんが、妊活をする上で大きなヒントを得られることも。
検査は不妊専門のクリニックで受けることができます。女性はホルモン検査や経膣エコー、子宮卵管造影検査など、男性は精液検査やホルモン検査などを行います。
「検査でも問題がないのに妊娠しない」ということなら、受精卵の染色体異常が原因かもしれません。受精卵の染色体異常は若いカップルにもみられますが、加齢とともにその割合は増すと考えられています。
受精卵に染色体異常があると、着床はうまくいきません。もし着床したとしても、早い段階で流産するリスクが高くなります。
受精卵を検査する唯一の方法が「着床前診断」です。受精卵の一部を採取し、検査で問題のなかった受精卵だけを子宮に戻します。正常に近い受精卵が得られれば、着床する可能性が高まるのです。
着床前診断は日本産科婦人科学会の承認がなければ受けられませんが、近ごろでは受精卵だけを米国へ凍結輸送する着床前診断プログラムが登場しています。承認の条件を満たさないご夫婦でも、日本にいながらにして着床前診断を受けることができるのです。
受精から着床までにやったほうがいいこと、注意したいことをご紹介しました。妊活中は、ホルモンバランスを乱さないよう規則正しい生活リズムが大切です。とはいえストレスをためてしまうと冷えの原因につながるので、適度にリフレッシュしながら妊活ライフを過ごしましょう。
なかなか着床しないときは不妊検査、着床前診断を検討してみてください。株式会社B&C Healthcareでは着床前診断について無料の資料請求が可能です。興味のある方は一度取り寄せてみてはいかがでしょうか。