妊活をはじめてしばらく経つのに妊娠のきざしが見えず「不妊症かも…」と悩んでいませんか?
実は「不妊症になりやすい人」は存在します。妊娠に必要なホルモンが乱れていたり、生殖器に病気が隠れていたりする人は不妊症になりやすいのです。では、具体的にどんな特徴があると不妊症になりやすいのでしょうか?
この記事では不妊症になりやすい人の特徴について男女別に解説します。「不妊症のリスクが高いときはどうしたらいいの?」という疑問にもお答えしていくので、これから妊活をする方はぜひ参考にしてください。
まずは女性にみられる不妊症のサインについて説明します。「当てはまったら不妊症」とは限りませんが、クリニックを受診する目安として知っておきましょう。
一般的な月経は25~38日周期です。間隔が39日以上あくことを「稀発月経」といい、ホルモンバランスが乱れて排卵していない可能性があります。
病気が原因なら投薬や手術で治療しますが、体重減少やストレスで稀発月経になっているときは生活の改善が必要です。
月経の間隔が24日以下であれば「頻発月経」です。黄体ホルモンの働きが弱いと子宮内膜が十分成熟しないうちに月経が始まるため、間隔が短くなります。
頻発月経では排卵が起こらなかったり、子宮内膜が十分に成熟しなかったりするので、妊娠が難しくなります。もしホルモンに異常がある場合は、排卵誘発剤やホルモン剤などによる投薬治療が基本です。
月経の量が多すぎることを「過多月経」といいます。過多月経で考えられるのが子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症などの子宮の病気です。治療せずに放っておくと、不妊や早産の原因になることがあります。
「昼でも夜用ナプキンが必要な日が3日以上続く」「1時間以内に交換しても間に合わないときがある」という方は注意が必要です。
1回の月経で8日以上出血があることを「過長月経」といい、月経過多と同じく子宮の病気にかかっている可能性があります。
無排卵周期症や黄体機能不全になっていると妊娠しづらいので、クリニックで適切な治療を受ける必要があります。
月経の量が少ない「過少月経」や月経の日数が短い「過短月経」の人は、妊娠に必要なホルモンがうまく働いていないかもしれません。
エストロゲンは子宮内膜の成長を、プロゲステロンは子宮内膜のスムーズな排出を促します。これらのホルモンが少なくなると、妊娠に必要な子宮環境がととのいません。
一時的に量が少ないだけなら生活改善でよくなることもありますが、高プロラクチン血症や子宮内膜増殖症など不妊の原因が隠れていることもあります。
クラミジアや淋病などの性感染症にかかったまま放置すると、不妊の原因になることがあります。
とくにクラミジアは自覚症状がほとんどありません。気づかないうちに卵管や骨盤にまで感染が広がると、炎症や癒着を起こして不妊症になるおそれがあります。
性感染症は、早めに治療すればすぐ治るものがほとんどです。婦人科系のがん健診とタイミングを合わせるなどして、定期的にチェックしましょう。
加齢も不妊原因のひとつです。海外のデータによると、1年間避妊せずに過ごした20~24歳の女性のうち約86%が妊娠しているのに対し、30~34歳は約63%、35~39歳は52%にまで妊娠率が低下します。
35歳を過ぎていると、妊娠率だけではなく流産率の増加も問題となります。年齢的に不安であれば早めにクリニックを受診し、自分の身体の状態について知っておきましょう。
不妊症のカップルのうち約半数は男性側にも原因があります。男性が注意すべき不妊のサインをご紹介しましょう。
睾丸や睾丸の周りに異常があるときは注意が必要です。睾丸に異変があると、精子をつくる精巣の機能をさまたげてしまうことがあります。
・睾丸が小さくなった
・睾丸がやわらかくなった
・睾丸の上にコブ(精索静脈瘤)がある
上記以外にも過去に睾丸が腫れたり強い痛みを感じたりしたことがある場合は、医療機関で精液の状態をチェックしてもらいましょう。
過去に鼡径ヘルニアの手術を受けていたり、おたふく風邪で睾丸が腫れたことがあったりすると、精子を正常に放出する力が弱まっていることがあります。
これらの病歴があるからといって必ずしも不妊になるわけではありませんが、なかなか妊娠しないようなら精液検査を検討しましょう。
仮に無精子症でも、精子の通り道がふさがっているだけ(閉塞性無精子症)なら比較的スムーズに治療することができます。
クラミジアや淋病などの性感染症にかかっていると、男性も不妊症になることがあります。病気によって炎症を起こし、精子の通り道がふさがってしまうのです。
クリーム色の分泌液や排尿痛があるときは早めに検査して治療を受けましょう。
性感染症と分かったときはセックスパートナーにも伝え、お互いに治療を済ませることが大切です。どちらか一方だけが治っても、治療していないセックスパートナーと行為をすれば再感染(ピンポン感染)してしまいます。
精巣は抗がん剤や放射線治療の影響を受けやすい場所です。抗がん治療のあとは、長期にわたって無精子症や乏精子症などの不妊症になることがあります。
治療の種類によってはリスクが少ないものもあるので、抗がん治療をするときは子どもを持ちたい希望を伝え、十分に医師と話し合うことが重要です。
不妊リスクの高い治療を受けるときは、あらかじめ精子の凍結保存をしておくことが推奨されます。
不妊症のリスクが高いときはどうやって対処すればいいのでしょうか?
まずは、医療機関で検査や治療を受けることが大切です。
不妊症は自覚症状のないケースが多く、検査をしなければ医師でも判断することができません。もし病気が見つかっても、治療するタイミングが早いほど回復の見込みがあります。
効果的なアプローチのためにも、勇気をもって一歩踏み出してみましょう。
女性の場合、可能であれば2~3か月分の基礎体温表を用意しましょう。月経の状況が分かることで診断がスムーズになります。
不妊症の検査では、主に次のようなことを調べます。
・ホルモンの値
・性感染症にかかっているかどうか
・子宮や卵巣の状態
・精子の数や運動率
子宮の状態を調べる検査は内診でおこなうので、検査当日は長めのスカートを履いていくといいでしょう。
不妊症にならないためにできる方法はあるのでしょうか?暮らしの中で気をつけるべきポイントをご紹介します。
不規則な生活が続くと、ホルモンバランスが崩れて月経不順になったり、精子をつくる機能が低下したりといったトラブルが生じます。できるだけストレスや疲労をためず、規則正しい生活を心がけましょう。
また、肥満や痩せすぎはホルモンの乱れにつながるため、食事や運動に気をつけて適切な体重を維持することも大切です。
喫煙は卵子や精子の老化スピードを早める原因です。ホルモンバランスの乱れや勃起不全を引き起こすリスクもあるので、妊活しようと思ったらまず禁煙からはじめましょう。
また、お酒の飲みすぎもホルモンの分泌を低下させる原因になります。女性だけでなく男性も精巣委縮や勃起不全に陥ることがあるため、妊活中の飲酒は1杯程度にとどめておきましょう。
性感染症は不妊の原因になります。不妊検査で陰性を確認したあとも、感染を防ぐために基本的な対策をおこないましょう。
複数のパートナーとの性行為(オーラルセックスを含む)をしないこと、定期的に検査を受けることが大切です。性感染症には妊娠中の赤ちゃんに垂直感染してしまうものもあるので、妊活中はとくに注意して過ごしましょう。
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【医師監修】着床完了したサインってあるの?確認方法や確認時期の目安
不妊治療の現場でおこなわれる検査として着床前診断があります。着床前診断で不妊症そのものを治療することはできませんが、妊娠にいたる道のりをショートカットするという点では期待が持てます。
着床前診断は、受精卵の染色体および遺伝子を調べる検査です。正常と判断された受精卵を子宮に戻せば妊娠に結びつきやすく、流産も起こしにくいことが分かっています。
なかなか妊娠しない、妊娠しても流産を繰り返すというご夫婦にとってメリットのある検査です。とくに染色体異常の割合が増える35歳以上の方は、着床前診断について一度情報を集めてみるといいでしょう。
不妊症になりやすい人の特徴をまとめてお伝えしました。もし思い当たることがあっても、早めに治療すれば妊娠しやすい状態に導くことができます。まずは自分の身体を知ることが第一なので、違和感を感じたときは不妊治療クリニックを受診しましょう。
35歳以上の場合は、卵子の老化による染色体異常が妊娠をさまたげていることがあります。着床前診断をすれば妊娠しやすい受精卵を見分けることが可能です。
株式会社B&C Healthcareでは着床前診断の詳しい資料をご用意しています。妊活を考えているご夫婦は今後の参考にされてはいかがでしょうか。