妊活中にふと「障害のある赤ちゃんが生まれたらどうしよう…」と考えたことはありませんか?
とくにダウン症は生まれつきの障害の中でも人数が多いことで知られています。これから親になる方は「もしダウン症だったらどう対応すればいいの?」「私に育てられるの?」と不安に感じる方も多いでしょう。
そこで今回は「出産後ダウン症と告げられることはあるのか」「もしダウン症ならどう対応したらいいのか」について解説します。ダウン症の赤ちゃんが生まれる年齢別の確率にも触れているので、これから妊活を予定している方はぜひご一読ください。
結論から言うと、出産後に赤ちゃんのダウン症が判明するのは決してまれではありません。
妊娠中にダウン症かどうかを判別するには、出生前診断(NIPTやクワトロテスト、羊水検査など)を受ける必要があります。ですが出生前診断は任意なので、必ずしも受けなければならないわけではありません。
したがって検査をせず、出産後に初めてダウン症と告げられて驚くご夫婦が少なくないのです。
ただし、妊娠中のエコー検査によって出産前にダウン症の可能性を告げられるご夫婦もいらっしゃいます。ダウン症でよく観察されるのは以下のような特徴です。
・首の後ろに厚みがある
・心臓の奇形
・軽度の水腎症
・消化器の奇形
・舌が大きい
・脚の骨が短い
しかし赤ちゃんの体勢によっては様子が確認しづらく、エコーで100%発見できる保証はありません。またダウン症と思われる特徴が見つかっても、妊娠中のショックを考慮して医師が告知を控えることがあります。
生まれたばかりのダウン症の赤ちゃんには、次のような特徴があります。
・哺乳する力が弱い
・筋肉が少なく、抱っこするとやわらかく感じる
・おとなしく、あまり泣かない
・頭が小さい
・首が短く、うなじの皮膚がだぶついている
・目の間隔が広く、蒙古ひだがある
・鼻のつけ根が平坦
・口が開きっぱなしになっている
・舌が大きい
・耳が小さく、低い位置についている
・手のひらに横一直線の深いしわがある
ダウン症の赤ちゃんは生まれつき心臓や消化器に異常があることが多く、それらの合併症も発見のきっかけになります。
ですが、特徴の出方には個人差があり、ダウン症であってもこれらすべてが確認できるわけではありません。生まれたばかりの段階では発見されず、その後の乳児健診で初めて疑われることもあります。
ダウン症の疑いがあるときは、染色体検査によってダウン症かどうかを確認します。身体の特徴だけでダウン症と診断することはありません。すでに合併症が認められる場合は、検査と並行して治療がおこなわれます。
治療が落ち着き、ダウン症であることが確定したら、折をみて自治体の相談窓口を訪ねましょう。今後の治療や療育に役立つ支援制度について説明を受けることができます。
ダウン症患児の支援制度には次のようなものがあります。
・療育手帳
・身体障害者手帳
・特別児童扶養手当
・障害児福祉手当
・小児慢性特定疾病医療費助成制度
これらの支援制度は、基本的に保護者の申請が必要です。自治体や障害の度合いによって受けられないものもありますが、申請が通れば生活負担が大きく軽減されます。無理のないタイミングで確認しておきましょう。
また、子どものダウン症のケアには家族以外の協力が不可欠です。ダウン症の保護者を支援するNPO法人や療育施設などを利用すれば、小さな悩みも相談しやすくなります。もしダウン症の赤ちゃんが生まれたら、信頼のおける団体と連携して健やかに成長できる環境を少しずつととのえていきましょう。
ここで、ダウン症とはどういう疾患なのかを確認しておきましょう。
ダウン症候群とは、通常2本の染色体が3本になっている生まれつきの疾患のことです。21番目の染色体が3本(トリソミー)であることから、21トリソミーとも呼ばれます。
ダウン症の赤ちゃんが生まれる確率は700~1000人に1人の割合です。さまざまな染色体異常の中でも最も確率が高いことで知られています。
ダウン症の子どもは顔立ちに特徴があり、全体的に平坦な顔であること、目がつり上がっていること、唇が厚いことなどいくつかの共通点があります。身長は低めでやや肥満傾向。心臓や消化器、目や耳に生まれつきの障害を抱えているほか、糖尿病や甲状腺の病気にかかりやすい傾向があります。
筋力が弱いため、寝返りや立つ、歩くといった運動面で発達の遅れがみられます。IQは平均で50前後、物事を理解して習得するのに時間がかかるため成長スピードはゆっくりです。
「ダウン症は陽気で明るい子が多い」といわれることもありますが、実際にはさまざまな性格の子がいます。「自分はほかの人と違う」という劣等感から心のバランスを崩すこともあるため、日頃から子どもの気持ちに寄り添ったケアが必要です。
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ダウン症は「標準型」「モザイク型」「転座型」の3つに分類することができます。それぞれの割合はおよそ93%、2%、5%です。
このうち転座型は、両親のどちらかに染色体転座保因、つまり遺伝的要素があると発生しやすくなるといわれています。転座型の約1/2が染色体転座保因によるものです。
ですが、標準型やモザイク型、転座型の残り1/2は遺伝とは関係ありません。すなわち約98%は偶然起こる染色体異常によるものです。受精卵の染色体異常は決して珍しいものではなく、誰にでも起こる可能性があります。
ダウン症の子どもが生まれる確率は、母体の年齢が上がるほど高くなります。ここで年齢別のデータを見ていきましょう。
母体年齢(分娩時) | ダウン症の確率 |
20歳 | 1,450人に1人 |
30歳 | 940人に1人 |
35歳 | 350人に1人 |
40歳 | 85人に1人 |
45歳 | 35人に1人 |
母体が30歳になるまでは1,000人に1人程度の割合ですが、そこからは徐々に確率が上がっているのが分かります。40歳になると100人を切り、その後も加齢とともに割合が増していくのです。
ダウン症の主な原因である「染色体異常」には、卵子の老化が関係しています。健康的な生活を心がけていても卵子の老化をストップさせることはできません。
したがって、妊娠する年齢が高いほどダウン症の子どもを産む可能性が高いといえるのです。
NIPTやクアトロテストを活用すれば、妊娠中にダウン症かどうかを調べることができます。しかし、すでに授かった赤ちゃんがダウン症と告げられたときの心理的負担ははかり知れません。
妊娠する前にダウン症のリスクを減らすにはどうすればいいのでしょうか。現段階で考えられるのが「着床前診断」という方法です。
着床前診断は受精卵の細胞を一部採取し、染色体や遺伝子の異常がないかを調べる検査です。異常のない受精卵を子宮へ戻すことにより、染色体異常のリスクを大幅に減らすことができます。
医療機関で着床前診断を受けるには日本産科婦人科学会の承認が必要です。ですが最近は承認のいらない着床前診断プログラムも登場し、検査のハードルは下がってきました。
ダウン症に生まれても幸福に過ごす方はたくさんいらっしゃいます。反面、生まれてくる赤ちゃんの健康を守りたいと思うのも親として当然の感情です。
母親の年齢が高いと、ダウン症だけでなく流産リスクも高くなります。出生前診断や度重なる流産で辛い思いをしたという方はもちろん、これからの不安を少しでも軽減したい方にとって着床前診断はメリットの大きい方法といえるでしょう。
出産後にダウン症が発覚することはあります。ダウン症は生まれつきの障害の中でも人数が多いため、ほかの先天性疾患と比べて支援は充実しています。ですが、できることなら健康に生んであげたいという親心も否定できないところでしょう。
「年齢的に妊活するのが不安」「障害のある赤ちゃんが生まれたら育てていけるのだろうか」と心配なときは、着床前診断を受けてみるのもひとつの方法です。
株式会社B&C Healthcareでは着床前診断について詳しい資料を用意しています。気になる人は一度参考にしてみてはいかがでしょうか。