たくさんのご夫婦が取り組んでいる妊活。しかし、中には「つらい」「もうやめたい」と限界を感じる方も少なくありません。
妊活がつらいと感じる瞬間にはどんなものがあるのでしょうか?そして、このピンチを乗り切る方法はあるのでしょうか?
この記事では「妊活でつらいと感じるポイント」とその対処法について解説します。先の見えない妊活で心のバランスを失いかけているときは、ぜひ参考にしてください。
妊活とは、妊娠するために夫婦が取り組むすべての活動のことです。いわゆる不妊治療に限らず、妊娠のための情報収集から仕事の調整までさまざまな行動を含んでいます。
妊活をしている女性のうち、なんらかのストレスを感じている人は約90%。男性も約60%がストレスを感じており、過半数が「つらい」と感じていることになります。
妊活でストレスを感じるのは、一体なぜなのでしょうか?
妊活でつらいのは「努力だけではどうにもならない」というところです。
どれだけ頑張っても先は見えず、いつになったら終わりが来るのか分かりません。いくら努力を重ねたとしても、妊娠する保証はないのです。
授かりものだからと頭で理解していても、しんどいことが続くと「あとどれだけ頑張ればいいんだろう…」と足が止まってしまうことも。頑張った分だけ報われるとは限らない、これが妊活のつらさです。
妊活をしている人が「つらい」と感じる瞬間にはどんなものがあるのでしょうか?代表的なものを集めました。
妊活中に生理が来ると「今回も妊娠しなかった…」と落ち込んでしまうもの。一度や二度ならまだしも、毎月同じ体験を繰り返していると強いストレスを感じます。
「また頑張ればいい」と切り替えられればいいのですが、疲れているときやイヤなことがあったときには切り替えがそう簡単ではありません。
「周りは妊娠していくのに、どうして私は…」と思うのも無理のないことです。
妊活は夫婦がお互いに協力しあう必要があります。
しかし、タイミングをとりたい日に「今日は会社の飲み会だから」と予定を入れられてしまったり、ゲームをしてばかりで応じてくれなかったりすると、よけいにストレスを感じるでしょう。
妊娠しないイライラから言い合いのケンカに発展してしまうことも。パートナーと仲が悪くなるほど妊活がうまくいかない、という悪循環に陥ります。
男性側の悩みとして、セックスのプレッシャーがあります。
「今日はセックスしないと…」という気持ちが徐々にストレスとなり、勃起不全(ED)に陥る男性も少なくないのです。一説には「タイミング法を試した男性のうち約40~50%がEDになった」というデータもあります。
セックスがうまくいかないことで夫婦ともに自信を失い、妊活に対して強いストレスを抱くのです。
共働きの家庭が増えていることもあり、仕事と妊活の両立に悩む女性はたくさんいらっしゃいます。
厚生労働省によると、不妊治療をしたことがある男女のうち両立できずに仕事をやめた人はおよそ16%。女性に限るとおよそ23%、約4分の1の方が離職を選んでいるのです。
不妊治療は何度も通院する必要があり、時間調整も大変です。不妊治療に対して理解のある企業ばかりではないため、仕事との両立も妊活のつらさにつながっています。
「妊娠したよ!」という友人の報告、「赤ちゃんはまだなの?」という親戚の声…。相手にとっては何気ない一言でも、妊活中の方にとっては深く心に突き刺さってしまうこともあるでしょう。
「なぜ自分たちのところへは来てくれないの?」と涙があふれてしまいそうになることも。悲しみをこらえて返事をしなければならない場面が重なると、もう妊活なんてやめてしまいたい、と感じてもおかしくないでしょう。
不妊治療を開始すると、なにかとお金が必要です。
2022年4月からは不妊治療の保険適用化が始まり、経済的な負担が軽減されました。とはいえ体外受精は1回2~4万円ほど(1回あたりの胚移植費用、3割負担額)。そのうえ、着床していなければ複数回繰り返して移植をしなければなりません。
不妊検査や採卵、受精卵培養まで含めるとかなりの負担です。
保険適用内では認められていない治療方法も多く、その場合は自費診療で受けるしかありません。総額で数百万円を費やしたという方も珍しくなく、お金のやりくりが夫婦の負担になっています。
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妊活がつらいときは、どうやって気持ちを切り替えればいいのでしょうか?妊活を経験した方々の意見を参考に、ピンチを乗り切る方法についてまとめました。
つらいという気持ちにフタをしていると、よけいにストレスが増してしまうものです。「もういやだ、やめたい」という気持ちを素直に感じ、自分のつらさを受け止めてみましょう。
自分の気持ちに向き合う方法として、
・声に出して「つらい」と言ってみる
・紙に自分の気持ちを書き出す
・パートナーや親しい友人に今の気持ちを打ち明ける
などがあります。
さらに「夫に理解してもらえないことがつらい」「会社を休むことが多くてつらい」というように、具体的に何がストレスなのかを突きとめていくと切り抜ける方法を見出しやすいでしょう。
妊活がつらいときは、思い切って休んでみるのもひとつの方法です。「仕事が忙しい2~3周期は休もう」「今日1日だけは考えるのをやめよう」というように、休む期間を決めて自分をリラックスさせてあげてください。
「時間がもったいなくて休むのもつらい」というときは、たとえば体外受精を人工授精にペースダウンしてみる、通院せず家でできるタイミング法に変えてみるというのも手段のひとつです。
妊活がつらくてやめたい、でもやめられないというときは「あと半年だけ頑張ろう!」というようにリミットを決めてみましょう。
リミットは時間に限りません。「あと1回だけ体外受精したらやめよう」「不妊治療用の貯金を使い切ったらやめよう」というように、回数やお金で決めてもいいでしょう。
終わりを決めてしまえば、ゴールの見えないつらさがほんの少し軽くなることも。妊活がつらくなったら、継続するかどうかも含めて夫婦で話し合ってみましょう。
「赤ちゃんはまだなの?」と聞いてくる知人やSNSの妊娠報告はストレスの原因になります。そんなときは相手としばらく会わない、SNSをミュートするなど一度距離を置いてみましょう。
ストレスが強い状態において人は正常な判断ができないものです。関係を絶つというのではなく、いったんお休みをするつもりでやんわり離れてみてもいいでしょう。
1人で悩む妊活にストレスを感じる人も多くいらっしゃいます。そんなときは、積極的に妊活のことを話し合える場をもつことも大切です。
地元やクリニックの妊活サークルに入ったり、妊活で悩んだ先輩ママに話を聞いてもらったり。お互いの状況を理解しあえる人と会話することでスッキリした気持ちになります。ときには妊活に役立つ情報が入ってくることも。
同じように妊活で悩む仲間がいれば、つらいときでも励ましあえるでしょう。
妊活の最終ステップに「体外受精」があります。
しかし、高度生殖医療といわれる体外受精でも妊娠できるかどうかは確実ではありません。なぜなら受精卵の「妊娠できる力」は、外からでは分からないからです。
妊娠するには、着床できる力をもった受精卵がベストなタイミングで子宮に届かなければなりません。体外受精ではもっとも正常に成長した受精卵を移植しますが、その受精卵に隠れた異常があれば妊娠にまでいたらないのです。
受精卵の異常で多いのが染色体異常ですが、染色体異常があるとほとんどが出産にいたりません。
体外受精であっても手探りの部分が多いのです。ここに光を当てることはできないのでしょうか?
いま、体外受精の成功率を上げる方法として注目されているのが「着床前診断」です。
着床前診断とは受精卵の細胞の一部を採取しておこなう検査のことで、受精卵に染色体異常がないかどうかを調べることができます。
染色体異常のない受精卵を移植すれば妊娠率が上がり、さらに妊娠後の流産率も低下させることができるのです。
着床前診断をしたからといって必ず移植できる受精卵が見つかるとは限りません。ですが、妊活期間をショートカットする、受精卵の状況について医学的にチェックするという意味で着床前診断のメリットは大きいでしょう。
妊活はすぐに成功するとは限りません。なかなか妊娠しない日が続けば、うつ状態に陥るほど悩んでしまう方もいます。
つらいと感じたときは、一度肩の力を抜いてみましょう。やめたいけどやめられない、そんなときは妊活のペースを落としてみるのも方法のひとつです。
また、体外受精がなかなか成功しないと悩む方には着床前診断という方法もあります。最近では承認を必要としない着床前診断プログラムも登場しているので、興味のある方は一度資料を取り寄せてみてはいかがでしょうか。