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【医師監修】不妊うつになりやすいのはどんな人?気になる症状や予防について解説

2023.02.21
【医師監修】不妊うつになりやすいのはどんな人?気になる症状や予防について解説

「ゴールの見えないマラソン」と例えられることもある不妊治療。努力してもなかなか望んだ結果が得られず、メンタルのバランスを崩してしまう人も多くいらっしゃいます。

 

不妊治療や妊活による抑うつ状態を「不妊うつ」「妊活うつ」と呼びますが、体外受精にステップアップした女性の約54%に軽度以上の不妊うつが認められたそうです。

 

不妊うつになると、どのような症状が現れるのでしょうか?また、不妊うつを防ぐにはどうすればよいのでしょうか?不妊うつのチェック方法や予防について解説します。

不妊うつになる原因

不妊うつになる原因として、次のようなものがあります。

 

先の見通しが立たない

不妊治療は長い時間をかけておこなわれます。赤ちゃんが授かるまでに2~3年、人によっては5年以上に及ぶことも少なくありません。

 

「いつになったら終わるんだろう」「ゴールが見えない」と感じて将来に希望が持てず、抑うつ状態になってしまうことがあります。

 

治療の痛み・ホルモン治療の影響

不妊治療は痛みや精神的苦痛を伴います。周期ごとに必要な内診、卵管造影検査や採卵などの痛みにも耐えなければなりません。

 

ホルモン治療や排卵誘発剤による副作用で、頭痛や腹痛、倦怠感などに悩まされることもあります。身体の不調が長く続き、メンタルにも暗い影を落としてしまうのです。

 

夫婦間の温度差

不妊治療をするにあたって、夫婦間で温度差があると「相手が真剣に取り組んでくれない」「自分の気持ちを分かってくれない」といった不満を抱きやすくなります。

 

温度差を解消するにはお互いのコミュニケーションが不可欠ですが、デリケートな問題だけになかなか切り出しにくいこともあるでしょう。

 

「愛した人の子どもが欲しい」と思って不妊治療をしているのに、お互いの気持ちがすれ違ってしまう。こうした矛盾が不妊うつの原因になっています。

 

周囲の妊娠報告や「まだなの?」という催促

周囲の妊娠報告や「まだなの?」という催促

 

あるデータによると、不妊治療中に友人や同僚から妊娠報告を受けて複雑な思いを抱いた女性は約70%に上ります。お祝いしたいのに心からおめでとうと言えない、そんな自分に嫌悪感を抱く女性も少なくありません。

 

親族からの「赤ちゃんはまだ?」という声も不妊治療中の大きなストレスです。痛みに耐えて努力しているのに心ない言葉を投げかけられ、「自分には価値がない」と思いつめてしまうこともあります。

 

経済的負担が大きい

不妊治療にはお金がかかります。

 

とくに体外受精にステップアップすると、移植までにかかる費用は保険適用でも20万円前後。回数が多くなるほど出ていくお金も増えるため、精神的にもかなりの負担となってのしかかります。

 

仕事と不妊治療の両立がつらい

共働きの夫婦が増える中、仕事と不妊治療の両立が難しいことも不妊うつの原因になります。

 

治療は排卵のタイミングに合わせておこなわれるため、急に「明日病院へ来てください」と言われることも。たびたび休みを余儀なくされるので社内の人間関係やキャリア形成がうまくいかず、強いストレスを感じる可能性もあります。

 

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不妊うつになりやすいタイプとは?

不妊うつになりやすいタイプはあるのでしょうか。

 

不妊うつに限らず、うつになりやすいのは次のようなタイプの方です。

 

・まじめで責任感が強い

・人からの評価が高い

・何事も一生懸命に頑張る

・人あたりがよく優しい

 

一見して美徳のように思えますが、人よりも能力が高い分自分の限界を超えて頑張ってしまい、フッと糸が切れてしまうことがあります。

 

不妊うつの症状チェック

不妊うつになると、次のような症状が現れます。

 

・うまく眠れない

・疲れやすくなった

・仕事や家事が手につかない

・身近な人の幸せを喜べない

・自分が劣った存在のように思える

・周囲と自分を比較してしまう

・夫(または妻)に対して不満がある

・妊娠しない焦りで心がいっぱいになる

・楽しいと思っていたことが楽しく感じられない

・妊婦や子連れの家族を見ると沈んだ気持ちになる

 

上記のうち、ひとつでも当てはまるときは不妊うつの傾向がみられます。

 

こうした症状があるにもかかわらず「もっと頑張っている人はいるのだから」「自分だけがつらいのではない」と気持ちにふたをしてしまうと、さらに重度の抑うつ状態をまねくおそれがあります。

 

心の不調を感じたときは無理をせず、「自分はどうしたいのか」という声に耳を傾けてみましょう。

不妊うつを予防するには

不妊うつを予防するには

 

不妊うつになると、不妊治療に影響が出るだけではなく通常の生活を送ることも難しくなります。不妊うつを防ぐために、なにか方法はあるのでしょうか。

 

夫婦で不妊治療のゴールを決める

夫婦の間ですれ違いがあると、不妊治療そのものがストレスになってしまいます。精神的な負担を軽くするためにも、お互いの意見をこまめにすり合わせる機会が必要です。

 

不妊治療のゴールは夫婦で相談して決めておきましょう。「体外受精を3回したら終わりにする」「2年だけ頑張ったら終わりにする」というように、あらかじめリミットを決めておくと暮らしの見通しが立ちやすくなります。

 

妊娠しなかった場合の過ごし方について話し合っておくことも重要です。「もし赤ちゃんが来なかったら旅行をたくさんしよう」「猫を飼おう」というように、将来の希望を話し合っておくと気持ちが前向きになります。

 

悩みを吐き出せる場所をつくる

友人や同僚、自分の両親など、不妊治療の悩みを打ち明けられる相手がいるとメンタルが安定します。

 

周囲に相談しづらいときは、SNSで自分と似たような境遇の仲間を探すのもよい方法です。ただし情報に飲みこまれすぎないように、ある程度時間を区切って利用することも忘れないようにしましょう。

 

ストレスを抱えやすい人は、心療内科やカウンセリングルームを利用する方法もあります。不妊治療中ということを伝えれば妊娠に影響しにくい薬を処方してもらえますし、施設によっては薬以外の治療法を選ぶことも可能です。

 

いったん不妊治療を中止する・ステップダウンする

不妊治療がつらくなってきたら、思い切って中止するのもひとつの方法です。不妊にはストレスも影響するため、つらい中で無理やり進めるのは得策とは言えません。

 

タイムリミットが気になってやめられないときは、卵子や精子を凍結しておくという手もあります。また、体外受精が苦痛なときはタイミング法や人工授精にステップダウンすることも可能です。

 

走り続けるのが難しいときは休んでみる、スピードをゆるめてみることを考えてみましょう。

 

休職や時短制度を利用する

不妊治療は、仕事との両立が難しいこともネックになります。

 

仕事を気にせず治療に専念できるよう、休職や時短制度を利用するのもよいでしょう。企業による不妊治療へのサポートはまだまだ成長過程ですが、厚生労働省や自治体の働きかけなどもあり少しずつ改善されてきています。

 

上司に不妊治療を打ち明けにくいときは、医師に「不妊治療連絡カード」を作成してもらうのもよい方法です。不妊治療を続けるための適切な支援が受けやすくなります。

 

不妊うつになる前に知ってほしい着床前診断

不妊治療は「先が見えないこと」によってメンタルの不調をひき起こします。ですが、もしその先が見えるとしたらどうでしょうか。

 

最後に、不妊治療現場で注目されている「着床前診断」について解説します。

 

着床前診断ができること

着床前診断診断とは、体外受精で得た受精卵の染色体や遺伝子を調べる方法です。単に遺伝病を予防するだけではなく、着床しやすい受精卵を見分けるための手がかりとして使われています。

 

受精卵はそのすべてが妊娠に結びつくわけではありません。受精卵に染色体異常があると着床できず、もし着床したとしても初期のうちに流産する可能性が高いのです。そして、染色体異常の割合は加齢とともに増加します。

 

体外受精(顕微授精)では良好に成長した受精卵を選んで移植しますが、染色体異常の有無までは調べることができません。ですが着床前診断で受精卵の染色体を調べれば、より着床しやすいものを選択することができます。

 

つまり「妊娠する可能性が高い受精卵を選んで移植できる」のです。

 

不妊治療の短縮につながる

着床前診断を受けたからといって、必ずしも妊娠できるとは限りません。検査の結果、受精卵すべてに染色体異常が認められれば移植は難しいからです。

 

しかし、それでも着床前診断には大きな意味があります。着床する可能性がある程度見えていれば、思い切って次のステップへ進むこともできるからです。新たな採卵に希望を託すこともできますし、不妊治療を手放す区切りにすることもできます。

 

着床前診断を受けるには日本産科婦人科学会への申請が必要です。ですが、近年では受精卵、または受精卵のDNA情報を海外に輸送する着床前診断プログラムも登場しています。この方法であれば、ご夫婦は日本にいながらにして日本で着床前診断を受けることが可能です。

まとめ

不妊うつの原因や予防法についてお伝えしました。不妊治療は長い道のりになることも多く、続けていくうちに情緒不安定になることがあります。

 

予防法としては「夫婦間でお互いの気持ちを伝え合う」「不妊治療のゴールを決めておく」ことが重要です。

 

また、不妊治療をする人の中には「もっと早く着床前診断について知りたかった」という人もいます。着床前診断を受ければ体外受精の回数を減らし、不妊治療を短縮することが可能です。

 

着床前診断プログラムについては、株式会社B&C Healthcareが発行する資料で詳しく知ることができます。不妊治療中、もしくはこれから不妊治療をスタートさせる方はぜひご活用ください。

監修

一倉絵莉子 先生
六本木ヒルズクリニック

産婦人科医 / 六本木ヒルズクリニック 日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員 日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。

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