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【医師監修】妊娠率を上げたいときは何に気をつければいいの?過ごし方のポイント

2023.05.31

妊活や不妊治療に取り組んでいる最中は、「少しでも妊娠率を上げたい!」と考える方がほとんどでしょう。

 

妊娠率を上げるために、日常生活で取り組めることはあるのでしょうか。今回は食事・運動・睡眠などの生活習慣を中心に、妊娠率を上げる方法について解説します。

 

妊娠率を上げるカギはホルモンバランス

月経周期は、エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)といったホルモンバランスで調整されています。

 

月経の終わりごろにはエストロゲンの分泌が増え、子宮内膜を厚くします。厚くなった子宮内膜に受精卵が着床すれば妊娠の成立です。

 

プロゲステロンは子宮内膜を柔らかい状態に保ち、妊娠を維持するために働きます。

 

妊娠するためには、こうしたホルモンの正常な分泌が欠かせません。妊娠率を上げるなら、ホルモンバランスをととのえることが近道です。

 

ホルモンバランスが乱れているとどうなる?

もしホルモンバランスが乱れていると、どのような影響が現れるのでしょうか。代表的なものとして「月経不順」があります。

 

・妊娠していないのに月経が来ない

・2日以内で月経が終わる、または8日以上月経が続く

・月経周期が短くなる、または長くなる

 

また、無排卵月経に陥ることもあります。無排卵月経とは、月経が起こっているにも関わらず排卵が起こっていない状態です。

 

月経不順や無排卵月経が起こってしまうと、再びホルモンバランスが回復するまでは妊娠が難しくなります。

 

ホルモンバランスが乱れるのはなぜ?

女性の体はとても繊細です。睡眠不足やストレス、栄養の過不足などが続くと、ホルモンバランスはいともたやすく乱れてしまいます。

 

また、歳を重ねるとともにホルモンバランスは減少します。妊活や不妊治療に取り組むなら、できるだけ早めにスタートを切ることが重要です。

妊娠率を上げるポイント【食べ物編】

それでは、妊娠率を上げるためのポイントについて具体的にチェックしましょう。まずは「食べ物」です。

 

妊娠率を上げる食品は?

妊娠率を上げるために摂りたい栄養素と食品は、次のようなものです。

 

・たんぱく質…肉、魚、卵、大豆製品

・オメガ3系脂肪酸…青魚、えごま油、アマニ油

・ビタミンA…レバー、緑黄色野菜

・ビタミンC…野菜、果物

・ビタミンE…ナッツ類

・鉄…レバー、赤身肉、赤身魚

 

たんぱく質は体をつくる基礎で、ホルモンの材料になるほか、体を温める効果もあります。

 

オメガ3系脂肪酸はおもに青魚に含まれる良質の脂肪酸です。スムーズな血行を促し、ホルモンの輸送に役立ちます。青魚を食べる機会が少ない方は、ヨーグルトにえごま油またはアマニ油を小さじ1杯ほど混ぜるとよいでしょう。

 

ビタミンA・C・Eは、活性酸素を除去してくれる栄養素です。卵子の老化を遅らせる効果が期待できるため、野菜やナッツ類などから積極的に摂取しましょう。

 

鉄分の摂取も妊娠率向上には不可欠です。鉄分が不足すると、子宮内膜を十分に厚くすることができなくなり、受精卵の発育を妨げてしまいます。

 

体内の貯蔵鉄である「フェリチン値」が低いことも妊娠率を下げる原因になるので、レバーや赤身肉などから十分に補うようにしましょう。食事から摂るのが難しければ、サプリメントを活用するのもひとつの方法です。

 

妊娠しやすい体重は?

女性不妊の約10%には、肥満や痩せが関係しているといわれています。

 

肥満は無排卵や多嚢胞性卵巣(PCOS)などの排卵障害をまねく原因です。一方、痩せている場合は女性ホルモンが十分に分泌されないため、やはり妊娠率を下げてしまいます。

 

アジア人女性の場合、妊娠しやすいとされる体型は BMI19~23kg/m2 の範囲です。BMIは次の計算式で算出できます。

 

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

 

BMIを自動計算してくれるサイトもあるので、自分のBMIを確認してみましょう。

 

アルコールはどのくらいまでOK?

デンマークの研究によると、「週に7杯以上のアルコールを飲む女性は1杯しか飲まない女性に比べて不妊リスクが約2倍になる」という結果が出ています。

 

また、ビールやワインを日常的に飲む男性では、精子の運動率低下や形態異常の割合が増加するという報告もあります。

 

これらのことから、アルコールの飲みすぎは男女ともに妊娠率を低下させるようです。

 

「どれくらいなら飲んでもいいのか」という点については議論の余地が残りますが、毎日お酒を飲む、一度にたくさん飲むというのは避けたほうが無難です。

 

アルコールを飲むとうっかりタイミングを逃すこともあるため、少なくとも排卵日前後は控えるようにしましょう。

 

カフェインは妊娠率に影響する?

妊娠中にカフェインを控えることは周知されていますが、妊活中や不妊治療中に摂取した場合はどうなのでしょうか。

 

海外でおこなわれた研究によると、1日にコーヒーを約6~7杯(カフェイン量500mg)飲む人は妊娠までの期間が延長していることが分かりました。

 

ですが、1日に1~5杯飲む程度であれば妊娠率への影響はないとする研究もあるため、飲みすぎにさえ注意すれば神経質になる必要はないでしょう。

 

世界保健機関(WHO)では妊娠中のカフェイン上限量を300mgとしているので、妊活・不妊治療中も同程度(コーヒー3~4杯)に抑えておくのが無難です。

 

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妊娠率を上げるポイント【生活習慣】

次に、妊娠率を上げるための生活習慣について見ていきましょう。

 

「女性は温める、男性は冷やす」が鉄則

妊活をする女性にとって冷えは大敵です。とくに下腹部周りを冷やすと卵巣機能を低下させるため、季節を問わずできるだけ温めるようにしましょう。

 

夏は冷房で冷えやすいので、空調を自分で調整しづらい場所(職場やお店など)に行く際は羽織りを用意しましょう。ポケットつきの腹巻にミニカイロをしのばせておくのもひとつの方法です。

 

逆に男性の場合、下腹部を温めすぎるのはよくありません。精巣が長時間高温にさらされると、精子を造る機能が低下するからです。

 

サウナや長時間のお風呂で温めすぎるのは避け、下着はぴったりとしたボクサータイプよりも、ゆったりとしたトランクスを選ぶのがおすすめです。

 

しっかりと睡眠をとるメリット

睡眠が十分にとれていると、視床下部機能や自律神経がととのいます。これらは女性ホルモンとも密接に関係しているため、しっかり寝る=妊娠率を上げることにつながります。

 

ですが、「月経前になると眠りが浅くなる」という方もいます。月経前はプロゲステロンの働きによって体温が上昇するため、不快感が増して寝つきが悪くなるのかもしれません。

 

そのような場合は、適度に体を動かして血行を促してみましょう。体にこもった熱を発散させることで寝つきが改善します。また、デスクワークが多い方は日中日差しを浴び、体内時計をリセットしておくことも大切です。

 

運動量の目安は?

運動はホルモンバランスの正常な維持に役立ちます。肥満やストレスの解消にも効果的があり、妊娠しやすい体づくりには欠かせません。

 

運動の種類としては、スピードを保ったウォーキングやトレッキングなど、軽く息が上がるものを選びましょう。週に1回長時間の運動をするよりも、毎日10~30分程度の運動を継続するのが効果的です。

 

忙しくて運動の時間がとれないときは、デスクワークの合間に休憩所まで歩く、寝る前にヨガやストレッチで血行を促すなどの軽いものから取り入れてみましょう。

 

タバコが及ぼす影響

妊活するならタバコはすぐにやめるべきです。というのも、タバコに含まれるニコチンなどの有害物質は「子宮・卵巣・男性機能の低下」「卵子・精子の質の低下」「平均閉経年齢の低下」といった悪影響を及ぼすからです。

 

タバコに含まれる成分は血管を収縮させ、生殖機能を衰えさせることが分かっています。また、タバコを吸っている方は閉経年齢が早まる傾向にあるため、妊娠できるチャンスを減らしてしまいます。

 

体外受精の成績では、喫煙者は非喫煙者に比べて妊娠率が20%ほど下がるとされています。赤ちゃんが欲しいと思ったら、一日でも早く禁煙外来を受診しましょう。

 

妊娠率を上げるポイント【タイミング編】

自宅でタイミング法を実施する場合、妊娠する可能性が高くなるのはいつなのでしょうか。

 

タイミングは排卵日の2日前から

妊娠しやすいタイミングは、排卵日の2日前~排卵日当日です。

 

卵子の寿命がたった1日なのに対し、射精後の精子の寿命は3日間といわれています。したがって排卵日2日前からタイミングをとっておくと、卵子と精子が出会いやすくなるのです。

 

排卵日を測定するには、基礎体温表や排卵検査薬などが手軽な方法です。また、排卵日が近くなるとおりものの量が増えてよく伸びるようになるので、排卵日予測に役立ちます。

 

毎月のパターンを記録すると排卵日を把握しやすくなるので、まずは基礎体温表をつけることから始めてみましょう。

 

体外受精でも妊娠しない…どうすればいいの?

すでに生活習慣を見直し、自宅での妊活や不妊治療も一通り試したのに、なかなか妊娠しないという方もいらっしゃるでしょう。

 

不妊検査でもとくに原因が見つからない場合は、胚に原因があるのかもしれません。体外受精で移植する胚は、一見正常そうに見えても染色体に異常が潜んでいることがあるのです。

 

染色体に異常のある胚は着床する力が弱く、妊娠したとしてもほとんどが初期のうちに流産してしまいます。

 

着床前診断とは

胚の染色体異常を見分ける方法として、着床前診断があります。

 

着床前診断とは、子宮へ移植する前の胚を染色体・遺伝子レベルで調べる検査です。着床する力のある胚を選んで移植すれば、妊娠率の向上と流産率の低下が期待できます。

 

体外受精で不成功を繰り返すのは、肉体的にも精神的にも大きな負担です。もし着床前診断であらかじめ胚の状態が分かっていれば、移植するかどうかを選択することができます。

 

体外受精を何度も繰り返している方の場合、着床前診断によって得られるメリットは大きいといえるでしょう。

 

まとめ

妊娠率を上げるには、健康的な生活習慣および温活が基本です。タバコや過度の飲酒は妊娠率を低下させてしまうため、妊活・不妊治療中は控えましょう。

 

生活習慣に気をつけているにもかかわらず、体外受精でもなかなか妊娠しない場合は胚の染色体異常による影響が考えられます。

 

染色体異常を見分けられる着床前診断については、株式会社B&C Healthcareのホームページより資料をお取り寄せできます。興味のある方はぜひ問い合わせてみてください。

 

 

監修

中林 稔 先生
三楽病院 産婦人科部長

日本医科大学卒業。東京大学医学部附属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。毎日出産や手術に立ち会う傍ら、各地で講演を行い医学的知識や技術の普及に力を入れている。また、少子化及び産婦人科医師不足問題にも積極的に取り組み、教育においても若手医師の育成をはじめ助産師学院の設立等、幅広く活動を行っている。

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