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【医師監修】NIPTにもリスクはある?検査を受ける前に知っておきたいポイント

2023.06.14

NIPTは、先天性異常を高い感度で検出する出生前スクリーニング検査です。しかし、安易に受けると思わぬリスクを負ってしまう可能性もあります。

 

NIPTによって生じるリスクにはどのようなものがあるのでしょうか?今回の記事では、基本的な情報やメリット・デメリット、検査を受ける際のリスクや注意点について解説します。

 

NIPTってどんな検査?

NIPT(non-invasive prenatal testing:非侵襲的出生前診断)出生前診断のひとつです。お腹の赤ちゃんにダウン症候群などの先天性異常がないかを調べる目的でおこなわれます。

 

比較的新しい検査であることから「新型出生前診断」とも呼ばれるNIPTですが、具体的にどんな検査なのでしょうか。まずは基本的な情報から見ていきましょう。

 

参考:八重洲セムクリニック

 

NIPTでは胎児由来のDNA断片を調べる

NIPTは母体の血液を10~20mlほど採取して検査をおこないます。妊娠中の女性には胎児由来のDNA断片が含まれているため、分析をおこなうことで先天性異常のリスクを判定できます。

 

NIPTは非確定的検査(それだけでは診断がつかない検査)に分類されますが、きわめて精度が高いことから日本国内でも検査を実施する医療機関が増えています。

 

NIPTで何が分かる?

NIPTでは、次の先天性異常について調べることができます。

 

・21トリソミー(ダウン症候群)

・18トリソミー(エドワーズ症候群)

・13トリソミー(パトウ症候群)

 

NIPTで分かるのは、染色体の数が1本多い「トリソミー」という先天性異常です。染色体の数が多いと、その領域における胎児由来のDNA断片も1.5倍ほど多く検出されます。したがって、母体の血液だけでトリソミーの疑いを推測することができるのです。

 

NIPTのメリット

NIPTは、妊娠10週0日目から受けられます。クアトロテスト(妊娠15週~)やコンバインド検査(妊娠11週~)よりも早いタイミングで実施でき、結果も1~2週間ほど待てば受け取れます。

 

また、トリソミーに関しては約99.99%という非常に高い陰性的中率を示し、病気を見逃す確率はきわめて低いといえます。

 

羊水検査や絨毛検査のようにお腹に針を刺す必要がないため、検査による流産リスクもありません。

 

NIPTのデメリット

NIPTはあくまで非確定的検査です。したがって、もし陽性になった場合は確定的検査である羊水検査か絨毛検査を受ける必要があります。

 

NIPTの費用目安は10〜20万円前後とかなり高額なこともデメリットです。任意の検査なので、全額自費で支払わなくてはなりません。

 

また、NIPTで調べられる先天性異常は基本的に3つのトリソミーのみです。すべての先天性異常を見分けられるわけではないことにも注意が必要です。

 

NIPTの認可施設・無認可施設って?

NIPTが受けられる施設は、認可施設と無認可施設に分かれています。具体的にどう違うのかを見ていきましょう。

 

NIPTの認可施設

NIPTの認可施設とは、日本医学会連合によって認可を受けた医療機関のことです。

 

出生前診断に精通した臨床遺伝専門医・遺伝カウンセラーの在籍、検査前後の十分な遺伝カウンセリングの提供、検査後のフォローアップ体制の充実といった諸条件を満たす施設なので、比較的安心して検査を受けることができます。

 

認可施設で検査を受けるには、「妊婦が35歳以上である」「超音波検査などで異常を指摘されたことがある」などの条件を満たす必要がありました。しかし現在は年齢制限が撤廃されており、十分な遺伝カウンセリングを受けても不安が拭えない場合は、年齢を問わずNIPTを受けられるようになっています。

 

なお、無認可施設であれば性染色体や微小欠失も検査できますが、認可施設の場合は21トリソミー・18トリソミー・13トリソミーの3つだけです。

 

NIPTの無認可施設

NIPTの無認可施設とは、日本医学会の認可を受けていない医療機関です。無認可というと不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、無認可施設でNIPTを受けることは違法ではありませんし、検査精度にも差はありません。

 

認可施設では日本医学会連合の指針に添う必要がありますが、無認可施設の場合は制限がないので、比較的自由度の高い検査項目が特徴です。施設次第では3つのトリソミー以外にも、性染色体異常によるクラインフェルター症候群やターナー症候群、微小欠失検査などを含めた先天性異常の検査ができます。

 

ただし、無認可施設の中には遺伝カウンセリングや陽性判定時のアフターフォローがついていない施設もあるため、申し込みの際は注意しましょう。

 

NIPTを受ける際のリスクや注意点は?

出生前診断としてはメリットの多いNIPTですが、人によっては「受けない方がよかった」と後悔することもあります。

 

NIPTを受ける前に知っておきたいリスクや注意点についてまとめました。

 

十分な遺伝カウンセリングを受けられないことがある

NIPTの認可施設では検査前後の十分な遺伝カウンセリングやフォローアップ整備が義務づけられていますが、一部の認可外施設ではおこなわれていないこともあります。

 

その結果、NIPTで何が分かるのか、結果はどのように解釈したらよいのかといった疑問を満足に解消できないまま検査を受け、あとから「自分たちには必要のない検査だった」「陽性を告げられたがその後のフォローがなく、どう対処すればよいか分からなかった」と悔やむ声も出ています。

 

遺伝カウンセリングを実施している施設でも、その質には差があるため、施設を選ぶ際は遺伝子カウンセリングやフォローアップについてしっかり情報収集することが大切です。

 

性別目的のNIPTは受けられないことがある

無認可施設のNIPTなら、希望すれば赤ちゃんの性別を知ることができます。

 

しかし、認可施設の場合は知ることができません。というのも、日本産科婦人科学会ではNIPTによる性別告知を推奨していないからです。

 

「妊娠初期に性別を知りたい」とNIPTを検討している方は、施設によっては受けられないことがあるので注意しましょう。

 

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結果によっては苦しい決断を迫られる

NIPTの検査の結果「陽性」と判定された場合、妊娠されている方はもちろん、ご家族を含めて大変なショックを受ける方も多いでしょう。

 

「妊娠中の不安を少しでも解消したい」という気持ちで受ける方が大半かと思いますが、万が一陽性が出たときはどうするのか、続いて羊水検査を受けるならどこで受けるのかといった具体的な内容について、検査前にご夫婦でよく話し合っておくことも一つです。

 

陰性でも100%安心できない

NIPTで陰性となった約6万件について追跡調査をおこなったところ、「出産後にダウン症候群または18トリソミーが発覚した」という方がそれぞれ3人いたことが分かりました。

 

1万分の1というまれな確率ではありますが、本当は病気であるにもかかわらず陰性と判定されるケースがあるのです。

 

また、3つのトリソミー以外で、先天性異常や子宮内胎児死亡などを認めたケースは約2,000人でした。NIPTの結果が陰性でも、100%病気がないと断定することはできません。

 

偽陽性になることがある

NIPTは、3つのトリソミーにおいて90%以上の感度を示します。感度とは「本当に病気である赤ちゃんのうち、陽性と判定される割合」です。

 

したがってNIPTは病気の見逃しが少ないといえるのですが、その反面、偽陽性になることがあります。偽陽性とは「陽性と判定されたが本当はその病気ではないこと」です。

 

偽陽性を示す数字として、陽性的中率があります。陽性的中率は「陽性と判定された人のうち、本当にその病気である人の割合」です。

 

NIPTの陽性的中率は、40歳の場合、21トリソミーで約99.3%ですが、18トリソミーは約79.5%、13トリソミーは約58.4%といわれています。13トリソミーの場合、約半数が偽陽性になります。また、同じ21トリソミーでも、妊婦の年齢が若いほど陽性的中率は下がります。例えば40歳の場合は約99.3%ですが、25歳の場合は約90%です。

 

「本来は病気ではないのに陽性と判定されてしまうリスク」が生じる点は、NIPTを受ける前に理解しておかなくてはなりません。

 

妊娠する前に先天性異常を調べるには?

NIPTは優れた出生前診断ではありますが、命を宿したあとに陽性と告げられて、辛い経験をすることもあります。

 

ですが、妊娠する前に先天性異常を調べられる検査もあるのです。それが「着床前診断」です。

 

着床前診断とは

着床前診断は、体外受精で得られた受精卵の染色体異常について調べる検査です。

 

検査の結果、染色体が正常な胚を子宮に移植できれば、赤ちゃんの先天性異常を回避できる可能性が高まります。

 

過去に先天性異常のある赤ちゃんの妊娠・出産経験があり、次の妊娠を躊躇されている方もいらっしゃるでしょう。そうした方にとって、着床前診断を受ける意義は大きいといえます。

 

もう「宿した命」を諦めなくていい

着床前診断のメリットとして、妊娠する前に異常が分かることが挙げられます。

 

「命を宿したあとに病気が分かり、生むか生まないかの選択を迫られる」という辛い事態を避けることができるのです。

 

かつては着床前診断を受けるために、海外渡航をするご夫婦もいらっしゃいました。しかし現在は、受精卵または受精卵由来のDNAだけを海外凍結輸送する着床前診断プログラムもあり、ご夫婦は日本にいながらにして高精度の着床前診断を受けることが可能です。

 

まとめ

NIPTは精度が高く体への負担も少ない検査ですが、よい結果だけが出るとは限りません。検査の性質をよく理解した上で、遺伝カウンセリングやフォローアップ体制が充実した施設を選ぶように注意しましょう。

 

また、妊娠する前に染色体異常を調べられる検査として着床前診断があります。「先天性異常が不安」「高齢でリスクが高いかも…」とお考えの場合、お力になれることがあるかもしれません。

 

株式会社B&C Healthcareでは、着床前診断の詳しい資料をご用意しております。興味のある方は一度取り寄せてみてはいかがでしょうか。

 

 

監修

一倉絵莉子 先生
六本木ヒルズクリニック

産婦人科医 / 六本木ヒルズクリニック 日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員 日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。

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