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【医師監修】羊水検査ってどういう検査?リスクや痛み・費用について詳しく解説

2023.04.26
羊水検査

妊娠が判明して喜びいっぱいの中、ふと「お腹の赤ちゃんの健康は大丈夫だろうか」「障害があったらどうしよう」と不安に思うことはないでしょうか。

 

お腹の赤ちゃんの障害を調べる検査の一つとして、羊水検査があります。羊水検査はどのような方法でおこなわれ、どのような病気について調べることができるのでしょうか。

 

今回は羊水検査の基本から検査時期や費用などについて詳しく解説します。

 

羊水検査とは

羊水検査

羊水はお腹の中の胎児を包むプールのようなものをさします。胎児は羊水の中で成長するので、羊水内には胎児の細胞が多く含まれています。

 

羊水を採取することで胎児の細胞を取り出し、染色体に異常がないかを調べることを羊水検査といいます。胎児の細胞を直接調べるため、出生前におこなう検査の中でも非常に精度が高く、確定的検査として用いられます。

 

羊水検査で分かること

羊水検査で分かるのは「染色体異常の有無」です。染色体異常には次のようなものがあります。

 

・ダウン症(21トリソミー)

・18トリソミー

・13トリソミー

・クラインフェルター症候群(47,XXY)

・トリプルエックス症候群(47,XXX)

・ターナー症候群(45,X)

 

上記の病気は、いずれも染色体の数の異常によるものです。数の異常のほかに、染色体の転座や欠失といった構造異常が見つかることもあります。

 

また、特定の遺伝子病について調べたい場合は、遺伝子変異や酵素を調べることも可能です。

羊水検査の方法

羊水検査をおこなうときは、母体のお腹に細い穿刺針を刺して羊水を採取します。採取する羊水は10~20ml程度です。

 

針を刺す手技は、エコーで赤ちゃんの様子や胎盤の位置を確認しながら慎重におこなわれます。羊水を採取したあとはしばらく安静に過ごし、体調の変化がないことを確認して終了となります。

 

羊水検査ができるのはいつからいつまで?

羊水検査が可能なのは妊娠15~18週です。15週以前だと羊水の量が少なすぎて採取できないため、妊娠中期以降と覚えておきましょう。

 

また採取した羊水から細胞を培養する工程が必要なため、2週間ほどかけて培養をします。培養したのちに検査を行うため、結果が出るまで3~4週間ほどかかることが一般的です。

 

羊水検査の痛みはどのくらい?

羊水を採取するときに使用する針は細いものですが、お腹から子宮まで刺し入れるため個人差はあるものの多少の痛みを伴います。多くの医療機関では局所麻酔を施しますが、痛みが不安な方は、事前によく相談してみましょう。

 

ちなみに、麻酔をしない場合の羊水穿刺は「筋肉注射と同じくらいの痛み」といわれています。

 

 

羊水検査のリスクは?

羊水検査

羊水検査は針を穿刺して行う検査なので、流産・感染症のリスクを伴います。それぞれどのくらいの確率で起こるのか、詳しくみていきましょう。

 

流産のリスク

羊水検査の流産リスクはおよそ0.3%(300人に1人)といわれています。

 

ただし、この値は羊水検査後に流産・死産した人の割合です。羊水検査に関係なく流産した人も含まれているため、羊水検査がきっかけで流産する人の割合はさらに低いと考えられています。

 

そのほかのリスク

流産以外のリスクとして、次のようなものがあります。

 

・羊水が漏れる

・子宮内感染

・子宮収縮

・胎児が傷つく

 

羊水検査はエコーによる観察下で慎重におこなわれるので、こうしたトラブルはまれです。ですが、お腹に針を刺すという検査の性質上これらのリスクは否定できません。

 

仮に羊水の漏出だけなら適切な処置で治療ができます。万が一検査後に気になる症状があるときは、早めに医療機関へ相談しましょう。

 

羊水検査をする前に知っておきたいこと

羊水検査は胎児の病気すべてを見分けられるわけではありません。羊水検査を受けるときは、その性質をよく知っておくことが大切です。

 

羊水検査には限界がある

医療において、100%正しい結果が出る検査はありません。羊水検査も例外ではなく、正常と診断されていたのに生まれてみたらダウン症だった、ということはまれにあります。

 

また、羊水検査ではダウン症などの「数の異常」は発見されやすいのですが、構造上の小さな異常は見逃されてしまうことがあります。

 

羊水検査は非常に精度の高い検査ですが、万能ではないことを知っておきましょう。

 

染色体異常が分かっても治療はできない

万が一、染色体異常が判明したとしても、胎児の染色体そのものを治療する方法は現状ありません。しかし、羊水検査によりあらかじめ病気が分かっていれば、合併症には対応しやすくなります。たとえば羊水検査でダウン症が判明したときは、心臓の合併症にそなえて新生児手術設備のある病院へ転院する措置が可能です。

 

根本治療はできないことを踏まえた上で、病気が分かったときの対応をご夫婦で話し合っておくことが大切です。

 

羊水検査はまとまった費用がかかる

羊水検査の費用はおよそ10~20万円が相場といわれています。羊水検査は自費検査なので、医療機関によって料金に幅があります。

 

また、羊水検査は高額医療費制度の対象にはなりません。高額医療費制度の対象となるのは保険適用の治療に限られるからです。

 

羊水検査をするときは、まとまった費用がかかることを覚えておきましょう。

 

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羊水検査以外に病気を調べる方法はある?

羊水検査

羊水検査以外にも、NIPTやクアトロテストなどの出生前検査があります。それぞれどういった性質の検査なのかチェックしていきましょう。

 

NIPT(新型出生前診断)

NIPTは、母体を採血しておこなう検査です。ダウン症や18トリソミー、13トリソミーの有無を調べることができます。

 

NIPTは妊娠9~10週以降から検査が可能です。採血による検査なので、胎児への影響がありません。

 

ただしNIPTは非確定検査(疑いはあるが診断は確定できない)なので、もし病気の疑いがある場合は新たに確定検査(羊水検査、絨毛検査)を受ける必要があります。

 

クアトロテスト(母子血清マーカー検査)

クアトロテストは、母体を採血しておこなう検査です。ダウン症や18トリソミー、神経管閉鎖障害の有無を調べることができます。

 

クアトロテストは妊娠15週以降におこなわれます。NIPT同様、採血による検査なので胎児への影響がありません。

 

クアトロテストも非確定検査なので、異常がみられた場合は確定検査が必要です。

 

絨毛検査

絨毛検査は、羊水検査と同じく確定検査のひとつです。お腹に針を刺し、胎盤の絨毛細胞を採取して検査をおこないます。

 

絨毛検査が可能になるタイミングは妊娠11~14週です。わずかに流産リスクがあり、その確率はおよそ1%(100人に1人)といわれています。

 

着床前診断

着床前診断は、妊娠する前に染色体異常を見分ける検査です。体外受精で得た受精卵の一部を採取し、染色体や遺伝子に異常がないかを調べます。

 

羊水検査・絨毛検査・NIPT・クアトロテストは妊娠後におこなわれますが、着床前診断は妊娠する前におこなうことができます。出生前診断によって苦しい経験をされたことがある方にはとくに有効な検査です。

 

近年では、受精卵または受精卵から取り出したDNAの一部を海外輸送する着床前診断プログラムも登場しています。かつては海外で着床前診断を受けるご夫婦もいらっしゃいましたが、今では日本にいながらにして着床前診断を受けることが可能になりました。

 

まとめ

羊水検査で分かるのは、ダウン症や18トリソミー、13トリソミーなどの染色体異常の有無です。胎児の細胞を直接検査するので精度が高く、絨毛検査と並んで確定検査の一つとなっています。

ただし、羊水検査で異常が分かっても、染色体そのものを治療することはできないことと、まれですが流産などのリスクの可能性が生じます。検査を受けるかどうかはご夫婦で慎重に決断してください。

 

また、妊娠する前に染色体異常の有無を見分ける方法として「着床前診断」があります。着床前診断の詳しい資料は株式会社B&C Healthcarが無料で配布しています。興味のある方は一度取り寄せてみてはいかがでしょうか。

 

監修

一倉絵莉子 先生
六本木ヒルズクリニック

産婦人科医 / 六本木ヒルズクリニック 日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員 日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。

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