30代で子どもを産むケースが多くなった昨今ですが、中には「若いママ」を目指して早いうちから妊活に取り組む方もいるでしょう。
若いうちに妊娠することによるリスクやデメリットはないのでしょうか?また、社会問題として「若年妊娠」がメディアで取り上げられることがありますが、若年妊娠とは何歳から該当するのでしょうか。
今回は10代・20代で妊娠を目指している方へ向けて、注意すべきポイントやメリット・デメリットを解説します。
若年妊娠の定義は「20歳未満の妊娠」です。つまり、19歳以下の女性が妊娠すれば若年妊娠に当てはまります。
20歳以上であれば若年妊娠には該当しません。
若年妊娠が社会問題になっている背景として「望まない、予期しない妊娠が多い」ということがあります。
望まない妊娠をしてしまった結果、誰にも相談できずに孤立する、安全ではない人工中絶に踏み切ってしまう、子どもを産み捨ててしまうといった悲劇が起こりやすくなるのです。
望まない若年妊娠の裏には、家庭の貧困や親子の関係性、性への知識の乏しさなどの問題が潜んでいることから、社会問題として認識されています。
自分で望んで10代のうちに妊娠した場合はどういったリスクがあるのでしょうか。
実は、若年妊娠では20代の妊娠と比べて母子ともに健康リスクが高まります。10代は妊娠する機能は備わっていますが、お腹の中で子どもを育てる機能はまだ十分ではないのです。
具体的には次のようなリスクが考えられます。
・ホルモンバランスが安定しておらず、つわりが重くなりやすい
・骨盤が小さく、難産や帝王切開につながりやすい
・早産になりやすい
・低出生体重児(出生時2500g未満)の割合がほかの世代と比べて高い
・周産期死亡率がほかの世代と比べて高い
「妊娠は若ければ若いほどよい」というイメージがありますが、若すぎても母子ともにリスクが高まるのです。
望んだ上で若年妊娠に踏み切るメリットとしては、「若いママになれる」「体力があるから子どもとたくさん遊べる」「親世代のサポートを受けやすい」「子育てが早く終わる」などがあります。
その一方で、若年妊娠のデメリットとしては「経済的に余裕が生まれにくい」「同じ世代の友達となかなか遊べない」「大学や専門学校に通えない、または通いづらい」などがあります。
若年妊娠の場合、同じ世代の友人に妊娠経験のある人が少ないこともあって、妊娠の具体的なイメージがしづらいことがあります。
妊娠は素晴らしいことですが、育児をしていると思うように自分の時間を取れない、思ったよりもお金がかかるといった問題が生じがちです。
妊娠してから後悔しないためにも、赤ちゃんのお世話にかかる時間や手間、保育園・幼稚園の入園手続き、育児・教育の費用などについて具体的な情報を得た上で、パートナーとよく話し合う必要があります。
10代での妊娠はリスクが高いと前述しましたが、20代ではどうなのでしょうか。20代の妊娠率やリスク、メリット・デメリットについてまとめました。
20代、とくに前半は妊娠確率が高い時期です。1年避妊せずに過ごした場合の妊娠確率では、年齢別に次のような値を示しています。
<1年避妊せずに性交したときの妊娠確率>
・20~24歳…86%
・25~29歳…78%
・30~34歳…63%
・35~39歳…52%
・40~44歳…36%
データを見ると、20~24歳をピークとして徐々に低下していることが分かります。
1周期あたりの妊娠確率もチェックしましょう。
<1周期あたりの妊娠確率>
・25歳…25~30%
・30歳…25~30%
・35歳…18%
・40歳…5%
データを見ると、20~30代で高い値を示していることが分かります。
20代が妊娠するリスクについてはどうでしょうか。日本国内のデータによると、流産率は20代後半から30代前半でもっとも低く、周産期死亡率は20代前半~30歳頃にかけて低くなります。
妊娠高血圧症候群のリスクも20代前半~30歳頃で低いとするデータが出ていることから、20代は妊娠確率が高く、妊娠・出産リスクの低い年代といえます。
20代で妊娠した場合、ダウン症などの染色体異常をもつ赤ちゃんを産む確率は減少します。
ダウン症の赤ちゃんが産まれる年代別の割合は、以下の通りです。
<ダウン症の赤ちゃんが産まれる割合>
・20歳…1667人に1人
・25歳…1250人に1人
・30歳…952人に1人
・35歳…385人に1人
・40歳…106人に1人
引用元:内閣府 斎藤委員提出資料
20歳はダウン症の赤ちゃんを産む確率がもっとも低いことが分かります。
そのほかの染色体異常についてはどうでしょうか。年齢別の割合を見てみましょう。
<何らかの染色体異常をもつ赤ちゃんが産まれる割合>
・20歳…526人に1人
・25歳…476人に1人
・30歳…384人に1人
・35歳…192人に1人
・40歳…66人に1人
引用元:内閣府 斎藤委員提出資料
染色体異常のある赤ちゃんについても、20代で低い割合を示しています。
20代でもダウン症や染色体異常のある赤ちゃんを産むことはありますが、一般的に見てほかの年代よりも確率は低いといえるでしょう。
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20代で妊娠・出産するメリットは、なんといっても妊娠確率が高いことです。流産や周産期死亡の割合も低く、身体面ではもっとも妊娠に適した時期といえるでしょう。
体力や気力も充実しており、出産・育児の大変な時期を乗り越えやすいのもメリットです。また、「たくさん子どもが欲しい」と考えているご家庭では、20代前半から妊活に取り組むことで希望の子どもの数を実現しやすいでしょう。
早く産んだ分だけ子どもの巣立ちも早くなるため、若いうちから第2の人生を謳歌することも可能です。
20代で妊娠・出産するデメリットとしては、経済面の不安があります。一般的に若いうちは収入が低く、まとまった貯金がないというケースもあるでしょう。
体力は充実しているため共働きでなんとかカバーできる可能性もありますが、万が一に備えてある程度資金の見通しを立てておくことは必要です。
また、育児中は自分のために時間を費やすことが難しくなります。「遊びたい」「勉強したい」「仕事のキャリアを積みたい」と思っても、子どもがいれば諦めざるを得ない場面が多々あるでしょう。
育児で自分の時間が少なくなるのはどの年代でも同じですが、20代は人生の方向性を決める大事な時期ともいえます。妊活をはじめる前に、自分の将来を見つめなおす時間を作ってみても遅くはないでしょう。
20代で妊活しようと決めたら、まずはホルモンバランスを整えましょう。ホルモンバランスは十分な睡眠、栄養バランスの整った食事、適度な運動やストレス発散によって維持されます。生活リズムを整えることで妊娠に必要なホルモンが正常に分泌され、妊娠しやすい体になります。
排卵日も把握しておきましょう。排卵日は基礎体温表や排卵検査薬で調べることができます。排卵日の1~2日前が妊娠しやすい時期なので、パートナーと協力して妊活に取り組んでみましょう。
葉酸の摂取も大きなポイントです。葉酸は赤ちゃんの先天性異常(二分脊椎症)を予防する働きがあります。葉酸は妊娠する1ヶ月以上前から十分に摂取する必要があるので、サプリメントなども利用しながら無理なく補給しましょう。
20代は妊娠しやすい時期ですが、人によってはなんらかの原因で妊娠しづらくなっていることがあります。避妊せずに過ごしているのに1年以上妊娠しないときは、不妊検査を検討しましょう。
万が一異常が見つかったとしても、発見が早いほど悪化を防げる可能性があります。
不妊検査はご夫婦一緒に受けることがおすすめです。不妊の原因は男性、女性のどちらにも可能性があるため、双方での検査・治療が不妊治療を進める近道となります。
不妊検査をしたあとは、結果やご夫婦の希望に応じて不妊治療を開始します。不妊治療はタイミング法から始まり、人工授精、体外受精へとステップアップするのが一般的です。
しかし、若いご夫婦でも体外受精で授かれないこともあります。この場合の不妊の原因はさまざまですが、ひとつの可能性としては「受精卵の染色体異常」が考えられます。
精子と卵子が出会っても、なんらかの染色体異常がある場合は妊娠することができないのです。妊娠したとしても初期のうちに流産することがほとんどで、度重なる体外受精と流産に疲れきってしまう方もいます。
妊娠に結びつかない「染色体異常のある受精卵」を見分けることができれば、妊娠率の可能性を上げられるのでは?と考える方もいらっしゃるでしょう。それを実現してくれるのが「着床前診断」です。
着床前診断は、体外受精で得た受精卵の染色体を調べ、異常がない受精卵を子宮へ戻す手法です。日本でも妊娠率向上や流産率低下を目的として徐々に普及しつつあります。
20代で妊活をはじめたばかりなら、不妊治療や着床前診断はまだ遠い先の話でしょう。ですが、万が一妊活で迷うことがあったら、そのときは着床前診断がご夫婦の助けになるかもしれません。
若年妊娠は10代のうちに妊娠することを意味します。10代では母子ともに健康リスクが伴いますが、20代であれば妊娠しやすい上に健康リスクも少なく、妊活期間が早く終わるメリットもあるでしょう。
体質には個人差があり、20代であってもなかなか妊娠しないことがあるかもしれません。そんなときはまず不妊検査を受け、必要に応じて不妊治療を検討しましょう。
着床前診断の詳細について気になる方は、株式会社B&C Healthcareより資料をお取り寄せできます。ぜひ一度手にとっていただき、妊活への知識を深めるきっかけにしていただければ幸いです。