妊娠初期に性器出血があると、ほとんどのママはドキッとするのではないでしょうか。「お腹の赤ちゃんは大丈夫?」と、今まさに受診のタイミングを考えている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、妊娠初期に出血を引き起こす原因、出血を起こしたときの対処法などについて解説します。突然の出血にとまどっている方の参考になれば幸いです。
妊娠初期に出血があることは、実はそんなに珍しいことではありません。妊娠初期の出血は約30%の妊婦が経験するといわれており、その多くは着床出血というごく生理的な現象によるものです。
また、妊娠初期に出血があった妊婦と出血がなかった妊婦を比べた場合、流産率にはそれほど差がありません。つまり、妊娠初期の出血の有無は流産とはあまり関係がないのです。
出血があっても元気な赤ちゃんに会えているママはたくさんいらっしゃいます。まずは落ち着いて状況を確認してみましょう。
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妊娠初期に出血したら、何を確認してどのように対処すればよいのでしょうか。出血が起こったときのポイントについてまとめました。
ひとくちに出血といっても状態はさまざまです。受診時に困らないよう、次の内容をしっかり確認しておきましょう。
・出血の色(茶色、鮮赤、うすいピンクなど)
・出血の量(ペーパーにつく程度、ナプキンに500円玉くらいの血の跡がつく程度など)
・血液の性状(サラサラの血液、おりものに混じっている、レバーのような塊があるなど)
・出血の期間(1回だけ出血がある、2~3日出血が続いているなど)
確認した内容は、メモやカレンダーアプリに残しておくことをおすすめします。
出血のほかに次のような症状がないか確認してください。出血の原因を探る際のヒントになります。
・発熱
・おなかの張り
・めまい、だるさ
・腹痛、腰痛などの痛み
・吐き気、下痢などの消化器症状
出血の状態と同じく、記録に残しておきましょう。
出血の状態や症状を整理したら、かかりつけの産婦人科に電話で相談しましょう。あらかじめまとめておいた情報を伝え、受診が必要かどうか病院の判断を仰ぎます。
夜間や休日に出血があった場合、軽い出血や腹痛であればすぐに電話や受診をする必要はありません。診療時間内または健診予約日に出血があったことを報告するようにしてください。
ただし、まだ胎嚢が確認されていない方で強い腹痛を感じる場合は異所性妊娠の可能性があります。このようなケースでは診療時間外でも医療機関に相談しましょう。
妊娠初期に出血する原因にはどんなものがあるのでしょうか。一般的に考えられるものをまとめました。
着床出血は、受精卵が子宮内膜に潜り込んだ刺激によって起こる出血です。妊娠初期の出血でもっとも多いケースとされています。
血の色はピンク~茶色のぼんやりした色であることが多く、量はペーパーに少量つく程度です。出血は1~2日、長い場合でも4日ほどで止まります。
妊娠初期のごく生理的な現象の一つです。
絨毛膜下血腫は、胎嚢の周りにできた血の塊のことです。絨毛の一部が剥がれることで生じると考えられています。
絨毛膜下血腫の多くは子宮に吸収されて自然に改善します。妊娠中期までには出血が止まるケースが多いようです。
妊娠中期を過ぎても出血が続く場合、止血剤や子宮収縮抑制剤を使ったり、入院による安静指示を受けたりすることがあります。
異所性妊娠は、受精卵が卵管や卵巣などの子宮以外の場所に着床することをいいます。異所性妊娠は全妊娠のうち1~2%の確率で起こり、そのほとんどが卵管妊娠です。
異所性妊娠では鮮血~赤褐色の出血を認めることがあり、少量から徐々に出血が増えていきます。
妊娠反応が出ているのに妊娠6週以降でも胎嚢が見えない場合、異所性妊娠の可能性があります。そのまま胎児が成長することはできないため、母体への負担がかかる前に処置が必要です。
胞状奇胎は、胎盤の絨毛がぶどうのような粒状になって増殖する異常妊娠のひとつです。
染色体異常のある受精卵が着床し、受精卵または胎盤が異常増殖することによって起こるとされています。胞状奇胎は妊娠反応はありますが、胎児の動きや心拍は認められません。
胞状奇胎では、つわりや腹痛などの症状に加えて性器出血がみられることがあります。血の色は茶褐色、少量の血液が断続的におりものに混ざることが多いようです。
妊娠時期は、子宮内の血液量が増えて充血したような状態になり、ちょっとした刺激で出血しやすくなることがあります。
また、子宮頸部びらんといって子宮頸部が炎症を起こすこともあり、そのような場合にも少量の出血が起こります。赤ちゃんへの影響はとくにありませんが、炎症がひどい場合は抗菌剤や膣内洗浄が必要になることがあります。
切迫流産は、流産の可能性が考えられる状態のことを指します。「流産」というワードが入っているので多くのパパやママが動揺しますが、切迫流産の診断を受けた人の約90%は回復するといわれています。
初期流産は、妊娠12週未満に起こる流産のことです。流産は全妊娠の10~15%の確率で起こるとされ、そのうちの約80%が初期流産にあたります。
切迫流産も初期流産も、出血の様子はさまざまです。ナプキンを頻繁に交換しなければならない方もいれば、まったく出血のない方もいらっしゃいます。
この時期の流産はほとんどが胎児の染色体異常によるものなので、現時点では治療する方法がありません。
子宮頸部ポリープは、子宮の入口付近にできるイボのようなものです。子宮頸管ポリープは女性ホルモンの影響で大きくなりやすいため、妊婦検診時に見つかることがしばしばあります。まれに悪性のものもありますが、約99%は良性です。
ポリープの表面はやわらかく、ちょっとした刺激で出血してしまうことがあります。出血はピンク~茶色、ごく少量であることが多いようです。
切除すべきかどうかについては個々の状況などによって異なりますが、小さければそのままにすることもありますし、大きいポリープで妊娠への影響があるようなら切除を検討することもあります。
子宮頸がんは、子宮の入口付近にできるがんです。妊娠初期の健診では原則的に子宮頸がんのチェックをおこなうため、その際に発見されることがあります。
出血は鮮やかな赤~茶色で最初はごく少量ですが、じわじわと出血量が増加してくることが特徴です。
母体の命に危険が迫っている場合は妊娠を中断せざるを得ませんが、前がん状態であれば経過観察しながら妊娠を継続することもあります。
初期流産の多くは、受精卵の染色体異常が原因とされています。染色体に欠損や重複などの異常があると、胎児はうまく成長することができません。
このような場合、ママがどう過ごしていたかは関係がないので、「仕事を休んでいればよかった」「動きすぎてしまった」といってご自分を責めすぎないでください。
悲しいことではありますが、染色体異常をもった受精卵である以上、避けられない運命なのです。
染色体異常による初期流産は防ぐことができません。しかし、妊娠する前であればひとつ方法があります。
それが着床前診断です。着床前診断では、体外受精によって得た受精卵の染色体の一部を採取して異常がないかを調べます。染色体異常のない胚を子宮へ着床させることで、流産を回避できる可能性が生まれるのです。
35歳を過ぎたころから、一般に染色体異常のある受精卵の割合は増えるとされています。流産を繰り返している方や年齢が気になる方は、一度着床前診断について調べてみてもよいかもしれません。
妊娠初期は意外と出血が起こりやすい時期です。着床出血であることが多い一方で、重大な病気が隠れている可能性もあります。まずは出血の状態や腹痛の有無などを観察し、医療機関に相談しましょう。
初期流産の場合、受精卵の染色体異常が原因であることがほとんどですが、染色体異常の有無は着床前診断で調べることができます。
株式会社B&C Healthcareでは、日本にいながらにして受けられる着床前診断をご提供しています。興味のある方は、資料だけでも目を通してみてはいかがでしょうか。