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【医師監修】稽留流産は自覚症状がない?起こったときの対応と起こさないための対策

2023.01.13
【医師監修】稽留流産は自覚症状がない?起こったときの対応と起こさないための対策

妊娠の喜びもつかの間、ある日突然「稽留流産しています」と告げられることがあります。稽留流産とは一体何なのでしょうか?また、稽留流産をすると母体への影響はあるのでしょうか?

 

今回は稽留流産について、起こったときの対応と起こさないための対策も交えながらお伝えしていきます。

 

稽留流産とは

稽留流産とは、お腹の中で赤ちゃんが亡くなっていて、まだ腹痛や出血などの症状がみられない状態です。自覚症状はほとんどなく、妊婦健診の超音波検査で発見されることが多いとされています。

 

お腹の赤ちゃんはずっと留まり続けるわけではありません。待っていれば自然に排出が起こります。

 

排出がはじまった流産は「進行流産」と呼ばれ、症状がない段階の稽留流産と区別されます。

 

稽留流産が起こる時期はいつ?確率は?

稽留流産は妊娠12週になる前の妊娠初期に起こることがほとんどです。

 

稽留流産を含む流産の確率は、すべての妊娠において約15%を占めます。6人に1人の妊婦が流産している計算となり、決して低い確率とはいえません。

 

また、流産率には女性の年齢が大きく影響します。35歳未満の自然流産率は約10%ですが、30代後半になると約20%、40歳以上だと約40%にまで上昇することが分かっています。

 

稽留流産の原因

稽留流産が起こる原因のうち、もっとも多いと考えられているのが「受精卵の染色体異常」です。受精卵の染色体異常はごく自然なもので、誰にでも起こる可能性があります。

 

染色体に異常がある受精卵は、お腹の中で成長する力がありません。稽留流産になると「自分のとった行動がよくなかったのでは?」と後悔する女性が多いのですが、そもそも受精卵に成長する力がなければどんなに安静にしていても流産を防ぐことはできないのです。

 

稽留流産の症状

通常、流産すると腹痛や出血が起こって自然に排出されます。ですが稽留流産は自然排出がはじまる前の段階であり、このときはほとんど自覚症状がありません。

 

稽留流産と診断されてしばらく時間が経つと、自然に腹痛や出血などの症状があらわれて排出されます。

 

稽留流産になると何が起こる?母体への影響は?

稽留流産になると何が起こる?母体への影響は?

 

稽留流産になったとき、兆候や症状にはどのようなものがあるのでしょうか。また、稽留流産したあとに母体への影響はあるのでしょうか。

 

ここでは稽留流産になったときの経過について解説します。

 

稽留流産に兆候はある?

稽留流産になると、それまで感じていた胸の張りが急になくなることがあります。妊娠するとプロゲステロンやエストロゲンの分泌が増えて胸が張りやすくなるのですが、赤ちゃんの成長が止まるとこれらのホルモン分泌も低下するのです。

 

そのため、胸の張りが消えることを「稽留流産の兆候」と考える人もいます。

 

ですが、胸の張りだけで稽留流産を判断することはできません。流産してもホルモンの分泌は維持されることがあり、超音波検査で調べなければ赤ちゃんがどうなっているかは分からないのです。

 

稽留流産になるとつわりは消える?

「つわり=妊娠継続」というイメージがあるせいか、稽留流産をするとつわりが消えるのではないかと考える方も多いようです。

 

ですが、つわりも稽留流産かどうかを判断する材料にはなりません。

 

つわりには胎盤から分泌されるヒト絨毛ゴナドトロピン(hCG)が関わっていると考えられています。赤ちゃんの成長が止まるとhCG分泌は弱まりますが、一方でそのまま維持されるケースもあるようです。後者の場合、胎盤が排出されるまでつわりが続くという人もいます。

 

稽留流産で手術は必要?

稽留流産になったからといって、必ずしも手術をするとは限りません。週数によっては自然な排出を待つ選択も可能です。自然排出を待つことで子宮内部を傷つけにくいというメリットもあります。

 

ですが外出中や夜間に緊急出血することもあり、どんな場合でも自然排出がよいとは言えません。2〜3週間以上待っても排出されないときは、心理的な負担を考えて手術を検討することもあります。

 

手術は日帰り、または1泊入院でおこなわれることがほとんどです。手術は10分ほどで終わりますが、その後は1週間ほど出血が続きます。感染予防薬や子宮収縮剤が処方されるのできちんと内服し、次回の診察まで無理をせずに過ごしましょう。

 

自然排出を待つ間はどう過ごせばいいの?

手術をしないときは、自然に排出されるのを待ちます。自然排出は稽留流産と診断されてすぐに起こることもあれば、1〜2ヶ月後にようやく開始することも。待機が長く、精神的に辛いときはクリニックに相談しましょう。

 

待機中でも、体調が悪くなければ仕事をすることは可能です。ただし、遠方への出張や重労働は避けましょう。排出したときに備えてナプキンや鎮痛剤を用意するのも忘れずに。異変があったら迷わずクリニックに相談し、対応を仰ぎます。

 

稽留流産したあとはいつから妊娠可能?

稽留流産したあとはいつから妊娠可能?

 

完全に排出されて1ヶ月ほど経つと、次の月経がはじまります。月経がはじまれば次の妊娠が可能です。しかし、2〜3ヶ月ほどゆっくり過ごして子宮の安定を待つのがいい場合もあります。妊活を再開できるタイミングは個人差が大きいので、心配な場合はかかりつけの医師に相談してみましょう。

 

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稽留流産にならないための予防策は?

稽留流産を含む初期流産のほとんどは、受精卵の染色体異常が原因です。しかし、中には病気や生活習慣が引き金となっているケースもあります。

 

ここでは流産になりやすい特徴および予防するための対策についてお伝えしましょう。

 

流産になりやすい特徴

初期流産の原因として、以下のようなものが考えられます。

 

・子宮異常(頸管無力症、双角子宮、子宮筋腫など)

・内分泌異常(糖尿病、甲状腺疾患など)

・感染症(クラミジア、梅毒、風疹など)

・たばこ

・下腹部への強い刺激や圧迫

 

初期流産を何度も繰り返すときは、上記のような原因が隠れている可能性があります。また、前に述べたように加齢(35歳以上)も流産率を上げる大きなリスクです。

 

流産にならないための対策は?

子宮異常はとくに症状がないものが多く、自分では分かりません。妊活を意識しはじめたら、自分の身体を知るために一度不妊検査を受けてみましょう。

 

内分泌異常や感染症の有無は、不妊検査で血液をチェックすれば分かります。感染症は女性だけではなく男性もきちんと調べて、できるだけ感染リスクを減らしましょう。

 

35歳以上だと流産は避けられない?

受精卵の染色体異常は若いカップルでも起こるものです。しかし、年齢が上がれば上がるほど染色体異常の割合が増えていくことも分かっています。

 

35歳以上になると流産リスクは避けられないのでしょうか? 実はひとつの希望として期待されているものがあります。それが「着床前診断」です。

 

着床前診断とは体外受精で得た受精卵の染色体を調べる検査で、染色体が正常な受精卵を見分けて着床させれば流産率の低下が見込めます。

 

日本における着床前診断は「2回以上の流産または体外受精の不成功」が条件となっています。しかし「受精卵だけを海外渡航させる着床前診断プログラム」であれば、これらを満たさなくても着床前診断を受けることが可能です。

 

まとめ

稽留流産は妊娠初期に起こりやすく、その多くが染色体異常によって起こります。不妊検査を受けてリスクを少なくできるケースもあるので、妊活を意識したら一度受けてみることをおすすめします。

 

「年齢的に流産が心配」という方は、流産のリスクを大きく減らすことができる着床前診断を検討してもよいでしょう。日本国内で提供されている着床前診断プログラムについては、株式会社B&C Healthcareが詳しい資料を無料提供しています。興味のある方は一度取り寄せてみてはいかがでしょうか。

監修

中林 稔 先生
三楽病院 産婦人科部長

日本医科大学卒業。東京大学医学部附属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。毎日出産や手術に立ち会う傍ら、各地で講演を行い医学的知識や技術の普及に力を入れている。また、少子化及び産婦人科医師不足問題にも積極的に取り組み、教育においても若手医師の育成をはじめ助産師学院の設立等、幅広く活動を行っている。

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