赤ちゃんに希望する性別があるとき、性交日を工夫したり、産み分けゼリーを使用したり、家庭で実践できる方法もあります。ただ、自分でできる方法は確実とはいえないため、より成功率の高い産み分けを希望される方もいます。今回は、人工授精で産み分けできるのか、より高い確率で産み分けるための方法はあるのかを解説します。
人工授精とは、排卵日の前日や当日に精子を採取し、子宮内に注入する方法のことです。注入した精子が卵子に到達して受精するので、体内で着床に至る過程は自然妊娠と共通しています。体外受精は体の外で採取した精子と卵子を受精させ、受精卵を子宮に戻す方法であり、人工授精とは違いがあります。
人工授精を行うときに用いられる産み分け方法として、「パーコール法」が挙げられます。パーコール法は、精子を遠心分離にかけて、希望の性別の赤ちゃんが生まれる精子を選ぶ産み分け方法です。
女の子が生まれるX精子は、男の子が生まれるY精子よりも重いという特徴があります。精子を遠心分離にかけると、X精子が下に沈み、Y精子は上方に多く含まれることになります。パーコール法では、下に沈んだ層から精子を選んで人工授精すれば、女の子が生まれる確率が高まるとされています。
ただし、遠心分離にかけてもX精子とY精子が完全に分かれるわけではなく、一部は混ざってしまいます。産み分けが可能とはいっても、確実な方法ではないということです。特にY精子を多く含んでいる上の層にはX精子がある程度混ざってしまうため、男の子の産み分けには向かないといわれています。
自然に妊娠した場合、男女が生まれる確率はおよそ半々となります。人工授精では、男の子と女の子がそれぞれどれくらいの確率で生まれるのでしょうか。
◆男女の割合は自然妊娠と大きく変わらない
人工授精で精子を子宮に注入するだけでは、ランダムに精子を選んでいることになるため、産み分けの確率は自然妊娠とあまり変わりありません。
自然妊娠では、男女比が105:100(または104:100)となり、統計的には少しだけ男の子が多く生まれるといわれています。こうした傾向はヒト以外の哺乳類でも同じであり、オスが少しだけ多く生まれることがわかっています。少しの違いはありますが、男の子と女の子が生まれる割合はおよそ半分ずつと認識しておきましょう。
人工授精においても同様に、男の子と女の子が生まれる確率は半々となります。人工授精を行っただけでは、どちらかの性別の子供が生まれる割合が増えるわけではありません。人の手を介して精子を注入する過程を除けば、人工授精の流れは自然妊娠と変わらないため、子供の性別に関してもどちらかに大きく偏ることはありません。
◆パーコール法で産み分けが成功する確率
人工授精でパーコール法を用いる場合には、産み分けが成功する確率は70%前後といわれています。中には成功率が50〜60%程度と考える見方もあるため、自然妊娠のときよりも産み分けの確率が少し高くなる程度ととらえておきましょう。パーコール法では、精子を完全に分離することができないため、どうしても確かな方法とはならないのです。
◆人工授精が成功する確率も高くはない
人工授精で妊娠が成功する確率は約5~10%なので、1回の人工授精で妊娠する可能性は決して高いとはいえません。不妊治療の一つとして人工授精という方法が選ばれますが、まずは産み分けの前に妊娠自体の成功を目指すという考え方もあります。妊娠するまでに何度か人工授精を行うことが一般的であるため、この点についても事前に理解しておく必要があります。
こちらもおすすめ
【医師監修】高度不妊治療(ART)で妊娠したい!成功率はどのくらい?
家庭で実践できる産み分けの方法として、膣内の酸性濃度を調整する「産み分けゼリー」の使用が挙げられます。女の子を希望するときは酸性に傾ける「ピンクゼリー」を、男の子を希望するときはアルカリ性に傾ける「グリーンゼリー」を膣内に注入して性交します。そうすることで、希望する性別の子供がうまれる精子にとって有利な条件となります。
また、普段は酸性の膣内が、排卵日にはアルカリ性に傾くことがわかっています。そのため、排卵日当日の性交では男の子、排卵日の2日前の性交では女の子が生まれやすい膣内環境になるとされています。そのように、性交のタイミングを調整する方法も手軽に実践できるものです。
こうした方法に関しては、成功率が80%前後になるといわれることが多いです。それに対して、パーコール法でも成功率は70%程度が目安とされています。パーコール法が医療機関で行うものだからといって、高確率で成功する産み分け方法とは断言できないことがわかります。
人工授精とパーコール法で産み分けを試みることで、自然妊娠よりは少し確率が高くなりますが、より高確率の産み分けを望む場合には「着床前診断」を視野に入れてみましょう。
着床前診断とは、体外受精で得た受精卵の染色体や遺伝子について調べる検査のことです。妊娠したあとで行う検査は出生前診断といいますが、その前段階で異常を調べることになります。
染色体異常がある受精卵のほとんどは着床に至らなかったり、流産したりしてしまいます。着床前診断では異常のない受精卵を子宮に戻し、着床率を上げ、流産が生じる可能性を減らすことを目的としています。
着床前診断では赤ちゃんの性別を決定する性染色体も調べるため、受精卵の段階で男女どちらの性別の子供が生まれるか知ることが可能です。希望する性染色体を持つ受精卵を選んで子宮に戻せば、高い確率(統計上98%以上と言われています。)で産み分けできることになるのです。
人工授精を行う場合と比べ、着床前診断では高い確率で男女を産み分けることが可能となりますが、国によって規制には違いがあります。日本の場合は臨床研究で着床前診断が使われるようになっていますが、産み分けが目的の場合は検査を受けることができません。
アメリカでは家族内で性別の偏りをなくす目的で、着床前診断によって産み分けをしているケースもあります。そのため、海外に渡航して着床前診断を受けるという決断をする日本人のご夫婦もいます。
しかし、株式会社B&C Healthcare(B&C Healthcare)の着床前診断プログラムを受ければ、わざわざ海外に行く必要はありません。
B&C Healthcareでは豊富な検査実績を持つ米国の検査機関の着床前診断を提供しています。体外受精を行ったあと、受精卵またはその細胞から取り出したDNAを米国に輸送するため、日本でも検査を受けることができるのです。
B&C Healthcareのプログラムであれば、日本にいながらにして、産み分けを目的とした着床前診断を受けられます。人工授精では高確率で産み分けることが難しいため、赤ちゃんの性別について強いご希望がある場合は、B&C Healthcareの検査を検討してみてはいかがでしょうか?