下着やおりものが臭うときは「もしかして病気?」と気になりますよね。おりものは女性の健康をチェックするバロメーターのひとつ。いつもと違う臭いがするときは注意が必要です。
ですが、どんな臭いなら異常といえるのでしょうか?また、おりものの臭いが気になるときの対策はあるのでしょうか?
今回はおりものの臭いや性状にフォーカスしつつ、妊活する際に知っておきたいおりものとの付き合い方も解説します。
おりものは正常時でも臭うことがあります。心配のない臭いとそうでない臭いについてチェックしてみましょう。
結論から言うと、酸っぱい臭いのおりものは正常といえます。
酸っぱい臭いの正体は乳酸桿菌(ラクトバチルス)です。乳酸桿菌は乳酸を分泌し、ばい菌が繁殖しづらい弱酸性(pH4.5~5.0)の状態を保っています。
膣内のバリア機能が正常な証拠なので、あまり不安に思う必要はありません。
魚が腐ったような臭いのおりものは「細菌性膣炎」の可能性があります。体調不良やストレスによってバリア機能が弱まり、ばい菌が繁殖して臭いの元になるのです。
体調不良以外にも、抗生物質を服用したり、過剰に膣を洗ったりすると細菌性膣炎にかかるおそれがあります。
「洗いすぎるのがよくない」というのはちょっと意外ですが、バリアの役割を果たす善玉菌まで洗い流すことになるため、かえってよくないのです。
ほかに気になるおりものとして、
・大量に出る
・黄緑色をしている
・泡のようにブクブクしている
・カッテージチーズのようにポロポロしている
・性器にかゆみや痛みをともなう
このようなおりものが出る場合はカンジダやクラミジア、トリコモナスなどの性感染症にかかっている可能性があります。
放置すると不妊の原因になることがあるので、症状が出たら早めに検査・治療を受けましょう。
おりものの臭いが気になるときは、どう対策すればいいのでしょうか。具体的な方法についてまとめました。
不快なおりものを受け止めてくれるおりものシートですが、一日中つけっぱなしにしているとばい菌が繁殖しやすくなります。少なくとも朝・昼・晩と1日3回は交換して、できるだけ清潔を保ちましょう。
交換時にウォシュレットで膣洗浄する方もいらっしゃいますが、かえってばい菌を増やすこともあるので頻繁な使用は避けるべきです。
臭いが気になるときはしっかり洗いたくなりますが、ゴシゴシ汚れを落とすとせっかくのバリア機能を低下させてしまいます。普段はお湯と手を使って、外陰部をやさしく洗う程度にとどめましょう。膣内部を洗う必要はありません。
汚れが気になるときは、デリケートゾーン用の弱酸性ソープを使うのがおすすめです。一般的なアルカリ性のボディーソープと比べて刺激が少なく、やさしく洗うことができます。
ストレスや疲れがたまると、免疫のバランスが崩れてばい菌の繁殖をまねきやすくなります。忙しい時期でもできるだけ睡眠をとり、適度にストレスを発散しましょう。
ただし、ストレス発散といっても過度な飲酒や暴飲暴食はかえって免疫力を低下させます。ほどよく身体を動かす、お風呂にゆっくり浸かるなどの方法なら冷えの解消にも役立つので一石二鳥です。
肉や脂っこいものばかり食べていると、臭いの原因になることがあります。臭いを抑えたいときは野菜・きのこ・海藻・果物をふんだんに摂るようにしましょう。
水分をしっかり補給することも大切です。血流がよくなり、老廃物を排出しやすくなるので臭いの低下に役立ちます。冷たい飲み物は身体を冷やすので、白湯などの温かいものがおすすめです。
数日ケアしても臭いが気になるときは、早めに婦人科を受診しましょう。細菌性膣炎や性感染症を放置すると不妊の原因になることが分かっています。
もし何らかの感染症だったとしても、早めに発見できれば内服などで治療できます。性感染症はセックスパートナー同士でピンポン感染を起こすことがあるため、ご夫婦の同時治療が基本です。
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【医師監修】女性側に不妊治療が必要となる原因は?検査や対策をご紹介
おりものの状態はいつも一定ではありません。生理周期で異なるおりものの特徴をみていきましょう。
少しずつおりものの量が増え、臭いも強くなります。この時期のおりものはドロッとしていて、白濁しているのが特徴です。
この時期のおりものはサラッとしていて、量も少ないです。経血が混ざり、やや茶色っぽく見えることもあります。
排卵日前後はおりものの量が増えます。性状は水っぽく透明でとろみがあり、指にとると長く伸びるのが特徴です。
排卵期に比べておりものの量が減ります。性状はドロッとしていて粘度があり、白く濁っているのが特徴です。
おりものにはさまざまな情報が隠されています。普段からチェックすることで妊活に役立ちますよ。
排卵期は精子を子宮に導くため、伸びのよいゼリー状のおりものが分泌されます。
このおりものこそ妊娠のチャンスです。指にとって7cmくらい糸を引くようなら排卵日が近い証拠なので、この時期にタイミングをとるとよいでしょう。
排卵日を知るには、排卵日検査薬や基礎体温表も有効です。これらの結果におりものチェックも加えることで、さらに排卵日の予測がつきやすくなります。
ベタベタして不快なおりものですが、妊活時は役立つのでぜひチェックしておきましょう。
妊娠が成立すると、おりものも変化します。妊娠初期のおりものはサラサラした性状で量も増加。色は乳白色を示すことが多いようです。
ほかに熱っぽさやだるさ、微熱、下腹部の軽い痛みや張りなどを感じるケースもあります。
着床出血でおりものに血が混ざることも。出血があると「赤ちゃんは大丈夫なの?」と不安になるかもしれませんが、おりものがピンクや茶色になる程度で痛みもないようなら心配はいりません。
おりものに問題がなく毎月きちんとタイミングをとっていても、なかなか妊娠しないことがあります。
妊娠しづらい原因のひとつは「加齢」です。35歳を過ぎた女性は妊孕力(にんようりょく)、すなわち妊娠するための力が弱くなっていきます。自然妊娠だけに限らず、体外受精や顕微授精の成功率も加齢によって下がっていくのです。
妊活しても半年~1年以上妊娠しなければ、一度クリニックで検査を受けた方がいいかもしれません。
すでに体外受精や顕微授精を実践し、それでも妊娠しない場合はどうしたらいいのでしょうか。
不妊治療の現場で注目されているのが「着床前診断」です。着床前診断とは受精卵の細胞を一部採取し、染色体や遺伝子に異常がないか調べる検査のことをいいます。
加齢がすすむと染色体にエラーのある受精卵が増えますが、こうした受精卵は着床しないか、したとしても初期のうちにほとんどが流産してしまうのです。
ですが、着床前診断で染色体を調べればエラーのない受精卵を子宮に戻せます。そうすることで着床障害や早期流産を回避する可能性が高まるというわけです。
近年では日本産科婦人科学会の承認を必要としない着床前診断プログラムも登場しています。不妊で悩まれているご夫婦にとっては新しい選択肢といえるでしょう。
おりものの臭いや性状は、ホルモンバランスや妊活のタイミングを知るための目安になります。
「おりものがいつもと違う」「病気かも?」と感じたら、早めのクリニック受診がおすすめです。日頃からおりものの状態をよくチェックして、異変があるときは生活リズムやお手入れの方法を見直してみましょう。