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【医師監修】子宮外妊娠が起こるのはなぜ?原因・症状・治療・予防法について解説

2023.06.08
【医師監修】子宮外妊娠が起こるのはなぜ?原因・症状・治療・予防法について解説

「子宮外妊娠」についてご存知ですか?一度は耳にしたことがあっても、原因や症状については意外に知られていないかもしれません。

 

子宮外妊娠はなぜ引き起こされるのでしょうか?また、子宮外妊娠を未然に防ぐ方法はあるのでしょうか?

 

今回の記事では、知っておきたい子宮外妊娠の基礎知識とともに、子宮外妊娠になった場合の対応や予防法について解説します。

 

子宮外妊娠とは

子宮外妊娠は「受精卵が子宮以外の場所に着床すること」をいいます。

 

正常な妊娠では、受精卵は子宮に着床し、そこで成長していきます。しかし、何らかの原因によって子宮ではない場所(卵管や卵巣など)に着床してしまうことがあるのです。

 

子宮以外の場所に着床した赤ちゃんは、生存することができません。そのまま成長して卵管や卵巣が破裂すれば出血多量により母体の命も危なくなるため、手術や薬によって妊娠を終わらせる必要があります。

 

子宮外妊娠と似た言葉に「異所性妊娠」があります。通称としては子宮外妊娠、医学用語としては異所性妊娠という表現が広く使われていますが、意味はほぼ同じです。

 

子宮外妊娠になる確率

全妊娠のうち、子宮外妊娠が発生する確率は1~2%です。100人が妊娠しているとして、そのうち1~2人が子宮外妊娠となります。

 

また、子宮外妊娠のほとんど(約98%)が卵管妊娠です。卵巣や頸管、腹腔内に着床することもありますが、比較的まれなケースです。

 

また、子宮外妊娠を経験した人の約10%は子宮外妊娠を再発するとされています。

 

子宮外妊娠の原因

子宮外妊娠の原因として、卵管が詰まっていることが考えられます。

 

卵子と精子は卵管膨大部という場所で出会い、卵管を通って子宮へと移動します。このとき、卵管が詰まっていたり、狭くなっていたりすると、通過することができずにそのまま卵管へ着床してしまうのです。

 

卵管が詰まる原因として、クラミジアなどの性感染症による骨盤内炎症、卵管手術後、子宮内膜症などによる癒着や狭窄です。

 

タバコの煙に含まれるニコチンなどの有害物質も、卵管の動きを悪化させて子宮外妊娠を増加させる原因です。喫煙者における子宮外妊娠のリスクは約2倍に高まるといわれています。

 

また、ホルモンや過去の手術の影響で子宮内膜に着床しにくい状態になっている場合、子宮外妊娠を引き起こしやすくなります。

 

子宮外妊娠の症状

子宮外妊娠では正常妊娠と同じホルモンが分泌されるので次のような症状が見られることがあります。

 

・つわりのような吐き気

・微熱が続く

・乳房が張る

 

ですが、これらの症状は正常な妊娠でも起こるので、症状だけで子宮外妊娠を見分けることは難しいでしょう。

 

下腹部の痛み・張り・出血が起こることもありますが、月経と勘違いされることもあります。

 

さらに妊娠が進むと卵管が破裂し、下腹部・腰・肩付近の強い痛み、出血によるふらつきやめまいなどの症状が現れる場合があり、早急に処置しなければならない危険な状態なので、迷わず医療機関を受診しましょう。

 

子宮外妊娠の検査

妊娠検査薬で妊娠反応があったにもかかわらず、妊娠6週以降の超音波検査で子宮内に胎のう(赤ちゃんを包む袋)が確認できないときは、子宮外妊娠の疑いがあります。

 

子宮外妊娠の疑いがあるときは、血液検査でヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の量を測定し、経膣超音波検査の結果と合わせて診断をおこないます。

 

過去に経験した婦人科系の病気や手術の既往歴、最終月経開始日などの聞き取りもおこなわれるので、余裕があればあらかじめ確認しておきましょう。

 

子宮外妊娠の治療

子宮外妊娠の治療方法は、薬物療法と手術の2つです。具体的な内容について見ていきましょう。

 

薬物療法

妊娠部位が小さく破裂を起こしていないときは、抗がん剤の一種である「メソトレキセート(MTX)」という薬で治療することがあります。MTXを筋肉注射もしくは妊娠部位へ直接注射することで胎嚢の成長を止めます。投与回数は一回または複数回で、投与後は超音波検査などで経過を見ていきます。

 

薬物治療は手術をせずにすむ反面、妊娠部位の消失までに時間がかかるという特徴があります。

 

手術

子宮外妊娠の多くは手術によって治療します。通常は小さな穴を開けて内視鏡で行う腹腔鏡手術がおこなわれますが、ときに開腹手術となる場合もあります。

 

卵管を温存できるかどうかは体の状況次第です。もし卵管ごと切除しなければならない場合でも片方の卵管は残り、残った卵管に異常がなければ自然妊娠もできます。

 

子宮外妊娠を防ぐ方法はある?

子宮外妊娠を防ぐには何に注意すればよいのでしょうか。予防策についてまとめました。

 

性感染症にかからないようにする

子宮外妊娠を防ぐには、クラミジアや淋病などの性感染症にかからないことが大切です。病巣が卵管付近にまで広がってしまうと、子宮外妊娠の原因となる卵管の癒着や狭窄につながってしまいます。

 

とくにクラミジアは「性行為経験のある女性の5~10人に1人が感染している」といわれるほどポピュラーな病気で、自覚症状もほとんどないため注意が必要です。

 

不特定多数との性行為を避ける、定期的に性感染症の検査を受けるといった基本的な感染対策をしておくと、子宮外妊娠を予防することができます。

 

同居家族も含めて禁煙する

子宮外妊娠を防ぐには、喫煙しないことも重要です。タバコに含まれる有害物質は卵管の動きを鈍くするため、子宮外妊娠のリスクになります。

 

本人だけでなく、周囲からの受動喫煙にも注意しなければなりません。主流煙(喫煙者本人が吸い込む煙)に比べ、副流煙のニコチンは約2.8倍、タールは約3.4倍、一酸化炭素は約4.7倍も多く含まれるというデータもあります。

 

喫煙は流産や胎児発育不全の原因にもなるため、赤ちゃんを望むご家庭では家族一丸となって禁煙を意識することが良いでしょう。

体外受精で子宮外妊娠は増える?減る?

「体外受精すると子宮外妊娠しやすくなる」という話をインターネットやSNSで目にすることがあります。ですがこれは過去の話であり、現在はむしろ体外受精によるリスクは減っているというデータも出ています。

 

体外受精には「新鮮胚移植」という方法があります。新鮮胚移植はホルモン剤の影響を受けやすく、着床不全を起こし子宮外妊娠となるケースがあります。実際、全妊娠における子宮外妊娠は約1~2%ですが、新鮮胚移植の場合は約2.3%とやや高めです。

 

ですが、現在の体外受精は「凍結胚盤胞」が一般的になっています。凍結胚盤胞では子宮の準備が整ったタイミングで移植できるので、子宮外妊娠の確率は高くありません。凍結胚盤胞で子宮外妊娠が起こる確率は約0.8%、自然妊娠よりも低い数値となっています。

 

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着床前診断でさらなるリスクに備える

妊娠時のリスクは子宮外妊娠だけではありません。加齢とともに妊娠率は下がり、反対に流産率は上がってしまいます。

 

正常な妊娠を目指すための方法として「着床前診断」があります。着床前診断とは、体外受精で得られた受精卵の染色体や遺伝子に異常がないかを調べる検査です。

 

染色体や遺伝子が正常な胚を子宮に戻すことで、着床率の向上や流産率の低下が期待できます。

 

また、ご夫婦がもつ染色体構造異常や遺伝子異常、偶発的に起こるダウン症候群や18トリソミーなどの先天性異常リスクに備えることも可能です。

 

まとめ

子宮外妊娠のほとんどは卵管妊娠で、その原因は卵管の癒着や狭窄です。また、喫煙による卵管輸送障害、ホルモンや術後の影響による着床障害が引き金となることもあります。

 

体外受精で子宮外妊娠が増えるという話もありますが、移植方法による影響の可能性が高く、胚の移植方法を検討するときは担当医師とよく相談して決めましょう。

 

子宮外妊娠以外にも、妊娠には流産・不育症・先天性異常といったリスクがあります。事前に備えたい場合は着床前診断が有効です。株式会社B&C Healthcareでは着床前診断に関する詳しい資料をご用意しておりますので、妊娠を希望するご夫婦はぜひご利用ください。

 

監修

一倉絵莉子 先生
六本木ヒルズクリニック

産婦人科医 / 六本木ヒルズクリニック 日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員 日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。

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