「不妊治療のクリニックに行ったほうがいいかも?」とネットで検索すると、さまざまなクリニックの情報が出てきます。
ですが、複数あるクリニックの中からどれを選べばよいのか迷ってしまいますよね。
そこで今回は、不妊治療のクリニックを選ぶ上で絶対に押さえておくべきポイントを解説します。これから不妊治療を受ける予定の方はぜひチェックしてください。
クリニックを選ぶ前に、まずは不妊治療でどんなことをするのかを知っておきましょう。不妊治療でおこなう治療は、具体的に次のような内容です。
・不妊検査
・タイミング法
・人工授精
・体外受精
・顕微授精
不妊治療で最初におこなうのは不妊検査です。妊娠に影響する病気や異常が隠れていないかをチェックします。
次にタイミング法で様子を見ます。タイミング法は自宅でできる治療方法です。医師による指導を受けながら、排卵日に合わせて性交をおこないます。
タイミング法での妊娠が難しいときは、人工授精を試みます。人工授精はあらかじめ採取した精液を調整し、シリンジを使って膣内に注入する方法です。
人工授精の次のステップとしては、体外受精があります。体外受精はあらかじめ採取した卵子と精子をシャーレ内で受精させ、子宮へ移植する方法です。
シャーレ内ではなく、ガラス管を使って卵子に直接精子を注入する方法もあります。これは顕微授精と呼ばれる方法で、良好な精子が少ない場合などに用いられる方法です。
不妊治療はこのような流れでステップアップしていくのが一般的ですが、個々の状況によって体外受精からスタートすることもあれば、カップルの希望で体外受精を選択しないこともあります。
不妊治療は、赤ちゃんが欲しいと思ったらすぐにスタートするのがよいでしょう。というのも、不妊治療の最初の受診が早ければ早いほど赤ちゃんを授かりやすくなるからです。
もし何らかの婦人科系疾患で妊娠しにくくなっている場合、早めに発見・治療することで妊娠する可能性が高まります。ですが不妊治療を開始するタイミングが遅いと、治療が終わる頃には妊娠しづらい年齢に達してしまいます。
貴重な時間を大切に使うために、まずは不妊検査だけでもトライしてみることをおすすめします。
病院に通う頻度は、受ける治療によって異なります。
タイミング法や人工授精なら月に1~3回、体外受精や顕微授精なら月に4~6回が平均的な通院回数です。
また、不妊治療の平均期間はおよそ2年といわれています。ただし個々によって幅があり、数か月で妊娠する方もいれば、5年を超える方もいるようです。
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それでは、不妊治療のクリニックを選ぶときの具体的なポイントを見ていきましょう。
不妊治療の通院回数は月に数回ほど、数か月から年単位で通院することは珍しくありません。
通院回数が多くなることを想定して、できるだけ自宅または職場から近く、通うのに負担の少ない場所を選ぶのがベストです。
クリニックによっては、早朝・夜間診療や土日診療をおこなっているところもあります。
働いていて平日の通院が難しい方は、診療時間に幅のあるクリニックを選ぶとストレスが少ないでしょう。
クリニックによってはタイミング法や人工授精のみで、体外受精や顕微授精などのいわゆる高度生殖医療をおこなっていない場合があります。
将来的に体外受精や顕微授精を受ける可能性があるなら、高度生殖医療を扱っているクリニックを選びましょう。
生殖医療専門医とは、治療の種類が多く複雑な不妊治療において、深い知識を持つスペシャリストです。生殖医療専門医が在籍するクリニックであれば、治療方針の決定や医薬品の選択、手術などにおいて心強くなります。
不妊治療専門のクリニックでも、生殖医療専門医が在籍していないことがあるので、クリニック選びの際は注意しましょう。
不妊治療の現場において、精子や卵子の取り違えなどの医療事故は絶対にあってはならないことです。
名前や生年月日での本人確認を毎回おこなっているか、院内感染対策はなされているかなどの医療安全面についてはぜひチェックしておきましょう。
治療実績が豊富なクリニックは経験数が多いため、不妊治療現場のあらゆるケースに対して柔軟に対応することが期待できます。
ただし、治療実績の算出法はクリニックごとに異なります。たとえば初診時に年齢制限を設けているクリニックでは、さまざまな年齢を広く受け入れているクリニックよりも成績がよく見えることがあり、数字の解釈には注意が必要です。
また、治療実績が豊富なクリニックは人気が高いあまり混雑することもあるため、口コミなどで待ち時間をチェックしておくことも大切です。
培養室は、体外受精で採取した精子や卵子、受精卵を取り扱う場所です。
最新鋭の設備が揃っているか、一定の温度や湿度で緻密にコントロールされているか、エアシャワーカーテンや空気清浄機できちんと清潔が保たれているかといった要素は、体外受精において非常に重要なポイントとなります。
また、腕のよい培養士が在籍しているかどうかもチェックしておきたい項目です。ホームページやセミナーなどで培養室の設備や管理体制を知ることができるので、ぜひ情報を集めておきましょう。
WHOの調査によると、不妊カップルのうち男性のみに原因がある不妊は約24%、男女ともに原因がある不妊は約24%という結果が出ており、男性も不妊に無関係ではありません。
したがって、男性も通えるクリニックを選ぶと効率よく不妊治療を進めていくことができます。
しかし実際には男性不妊治療をおこなっているクリニックはそう多くはないので、男性不妊の治療施設と連携したクリニックを選ぶとよいでしょう。
クリニックの方針によって、子連れ受診を受け入れているところとそうでないところがあります。
子連れ受診を受け入れているクリニックの場合、二人目の不妊治療のときでも気兼ねなく通えるメリットがあります。
子連れ受診をNGとしているクリニックの場合、子どもを目にするのがストレスになっている方でもリラックスして通うことができます。
一概にどちらがいい、悪いというものではないので、自分に合った方針のクリニックを選ぶようにしましょう。
2022年4月より、不妊治療は保険適用で受けられるようになりました。しかし、今でもあえて自費診療の治療のみを提供するクリニックもあります。
なぜかというと、保険適用で医療を受けるには一定のルールに沿わなければならない決まりがあるからです。保険診療では、注射回数を上限以上に増やしたり、ルールにはない最先端の治療を組み合わせたりすることが難しくなります。
このように、保険診療に対応しているかどうかはクリニックの方針によって違いがあります。全体的に費用を抑えたい場合は、クリニックが保険診療に対応していることを確認しましょう。
不妊治療は身体だけでなく心の面でも負担が大きいため、悩みや不安を相談できるカウンセリングルームが設置されていると安心です。
カウンセリングは守秘義務が徹底されているため、医師やスタッフには言いづらいことでも相談でき、治療中のストレス軽減につながります。
女性は35歳以上になると、妊娠率や流産率が著しく悪化することが報告されています。この原因のひとつとして受精卵の染色体異常があるのですが、通常の体外受精では染色体異常のある受精卵を見分けることができません。
ですが、着床前診断を活用すれば染色体異常を見分けることができます。
着床前診断とは、体外受精の際に受精卵の染色体異常がないかを調べる検査のことです。染色体に問題のない受精卵を子宮へ移植することで、妊娠率の向上や流産率の低下が期待できます。
着床前診断は個別の審査が必要となりますが、着床前診断を実施しているクリニックであれば申請を出しやすく、審査が通った場合の対応もスムーズです。
近年は、不妊治療のクリニックで説明会や勉強会を開いているケースが多く見受けられます。
多くは不妊治療に関する悩みや疑問を解消するための場となっていますが、クリニックの雰囲気やスタッフの印象などを知るよいきっかけにもなります。
複数の説明会に参加することでクリニックごとの違いも見えてくるので、興味がある方はぜひ参加してみましょう。
不妊治療は頻繁に通院するケースが多く、クリニック選びがその後の治療や生活に大きく影響します。
インターネットを通じてある程度情報を収集したら、説明会や勉強会などに参加して実際にクリニックの雰囲気を感じ取ってみるのもよいでしょう。
また、着床前診断に関してはアメリカ研究機関に受精卵または受精卵の一部を凍結輸送するプログラムも登場しています。「着床前診断には興味があるけれど、受けられそうなクリニックが近くにない」という方は、ぜひ無料の資料請求を活用してみてはいかがでしょうか。