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【医師監修】これって不正出血?考えられる原因や受診の目安・治療法について解説

2023.09.27

月経予定日ではないはずなのに、下着に血がついていてドキッとしたことはありませんか?

 

このような出血を「不正出血」といいます。不正出血が起こる原因としては、どんな原因が考えられるのでしょうか。また、婦人科を受診するなら適切なタイミングはあるのでしょうか。

 

この記事では、不正出血に関して詳しく解説します。不正出血の色の違いについても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

不正出血とは

「月経以外の原因によって膣から出血すること」を不正出血と呼びます。月経不順、おりものの異常と並び、婦人科受診のきっかけとなる症状のひとつです。

 

出血の様子は、にじむ程度の少量であることもあれば、月経のように大量の出血を起こすこともあります。出血の原因は、病気によるものから生理的なものまでさまざまです。

 

不正出血は「茶色」と「鮮血」で何が違う?

血液は出血してから時間が経つと、酸化して茶色に変化します。

 

つまり、不正出血が茶色であれば少し前に起こった出血、鮮やかな赤い色であれば現時点で起こった出血と考えることができます。

 

とはいえ血の色の違いで分かるのはその程度です。どこから出血しているか、重大な病気が潜んでいるかどうかの判断は、血の色だけでは分かりません。

 

「茶色い血だから大丈夫」「少量だから大丈夫」などと軽く考えず、早めに婦人科を受診しましょう。

 

不正出血の原因は?

不正出血の原因は、大きく5つに分けることができます。

 

炎症による出血

クラミジア、トリコモナス、淋病などの性感染症や大腸菌などの雑菌によって、膣や子宮が炎症を起こしてしまうことがあります。

 

炎症を起こしている部分が性交渉などで刺激を受けると、不正出血となって現れます。

 

ホルモンの乱れによる出血(機能性出血)

ホルモンの乱れによって引き起こされる不正出血です。無排卵月経や黄体機能不全などのトラブルから、本来月経ではない時期に出血が起こります。

 

忙しい毎日で生活リズムが崩れていたり、思春期・更年期でホルモンバランスが不安定になっていたりすることが主な原因です。

 

また、低用量ピルを飲み始めると、ホルモンバランスの変化で一時的に不正出血を起こすことがあります。

 

排卵による出血(中間期出血)

排卵期のホルモン変化によって起こる生理的な出血です。月経と月経の中間で起こるため、中間期出血と呼ばれることがあります。

 

基礎体温表をチェックして排卵期と出血した日が重なっているようなら、中間期出血の可能性があります。病気ではないため、治療する必要はありません。

 

病気による出血(器質性出血)

膣や子宮、卵巣の病気によって起こる出血です。

 

病気の例としては、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮膣部びらん、子宮頸管ポリープ、子宮がん、膣炎などがあります。不正出血が起こったあとは、それぞれの原因に合った治療が必要です。

 

そのほかの原因による出血

上記で示したもの以外にも、次のような理由が考えられます。

 

・性交渉時にキズがついたことによる出血

・受精卵の着床によって起こる出血(妊娠)

・異所性妊娠や初期流産による出血

・血液凝固因子の欠乏など、婦人科系以外の病気による出血

 

また、肛門・尿道などからの出血や、入れたまま忘れていたタンポンの血を不正出血と勘違いするケースもあるようです。

 

ストレスも不正出血の原因になる

強いストレスを感じると自律神経が乱れ、ホルモンバランスに影響して不正出血の原因になります。

 

引っ越し・転職・進学などによる環境の変化、仕事や学業による多忙など、現代人を取り巻くストレスは多いものです。

 

疲れているなと感じたら、意識して休息やリフレッシュの時間を取るようにしましょう。

 

不正出血の受診目安と治療方法

不正出血といっても、ほんの少量のものから大量に出血するものまでさまざまです。少量の出血の場合「これくらいで受診してもいいのかな?」と不安になることもあるでしょう。

 

ここでは受診の目安に加え、病気が見つかった場合の治療方法について解説します。

 

不正出血がどのくらい続いたら病院へ行く?

たとえ少量の不正出血でも、その裏には重大な病気が隠れている可能性があります。不正出血を見つけたら、すぐに病院で診てもらうのがベストです。

 

忙しくてなかなか病院に行けない場合でも、3日以上出血が続くときは受診を検討しましょう。

 

また、1日だけの出血でも次のようなケースは要注意です。

 

・出血量が多い

・痛みなどの症状をともなう

・閉経後なのに出血している

・繰り返し不正出血が起こっている

 

上記のいずれかに当てはまる場合、病気による可能性が否めません。悪化することのないように、できるだけ早めに婦人科へ相談しましょう。

 

不正出血ではどんな検査をする?

不正出血で受診したときは、原因を特定するために次のような検査を受けます。

 

・超音波検査

・ホルモン検査

・おりもの検査

・子宮がん検査

・妊娠反応検査

・性感染症の検査

 

上記の検査項目から、年齢や出血の状況、性交渉の経験の有無などに応じたものをピックアップして検査をおこないます。

 

不正出血の治療方法

検査の結果が出たら、それぞれの原因に応じて治療をおこないます。

 

性感染症による不正出血は、抗生物質などの内服薬で治療します。性パートナーがいる場合は、片方が治療するだけでは不十分です。お互いに感染させあうことのないよう、同時期に治療を完了させましょう。

 

ホルモンの乱れによる不正出血は、ストレスを軽減したり生活を改善したりすると徐々に治まります。出血が多いせいで貧血を起こしているようなケースでは、止血剤による治療が必要です。

 

子宮筋腫やポリープが見つかったときは、状況に応じて摘出手術をおこなうこともあります。

 

妊娠を希望しているときは積極的に伝えよう

「妊娠したい」と考えているときは、受診の際にその旨をしっかり伝えておきましょう。妊娠を希望するかどうかによって、治療の方針が変わるからです。

 

たとえばホルモンの乱れによる不正出血では、妊娠希望がなければ低用量ピルなどを使って症状を抑えます。妊娠希望があるときは排卵誘発剤を使い、不正出血と不妊治療を同時に進めていきます。

 

受診をよいきっかけにして、不妊検査や治療について相談してもよいでしょう。

 

妊活しているのに妊娠しないのはなぜ?

不妊検査を受けてもとくに問題はなかったのに、なぜか妊娠しないという方もいらっしゃるでしょう。

 

不妊検査では分かりづらい不妊原因のひとつとして、受精卵の染色体異常があります。受精卵に染色体異常があると、子宮へうまく着床できず、着床しても初期流産となってしまうことが多いのです。

 

染色体異常の割合は女性の年齢が上がるにつれて増加します。また、精子側の要因でも染色体異常は起こります。

 

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着床前診断とは

受精卵の染色体異常を見分ける手段として、いま「着床前診断」が注目されています。

 

着床前診断とは、体外受精で得た受精卵の一部を採取し、染色体の数や構造について調べる検査です。

 

着床前診断で染色体異常がないと判断された胚を子宮へ移植すれば、妊娠率の向上と流産率の低下が期待できます。

 

妊娠しない原因が分からず悩んでいるご夫婦にとっては、新たな手段となるかもしれません。

 

まとめ

月経ではないのに不正出血が起こる原因は、生理的なものから病気によるものまでさまざまです。出血の様子だけで自己判断するのはきわめて困難なので、婦人科を受診してきちんと対処しましょう。

 

着床前診断について詳しく知りたい方には、株式会社B&C Healthcareより詳しい資料をお渡しできます。妊娠についてお悩みの方はぜひご利用ください。

 

監修

中林 稔 先生
三楽病院 産婦人科部長

日本医科大学卒業。東京大学医学部附属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。毎日出産や手術に立ち会う傍ら、各地で講演を行い医学的知識や技術の普及に力を入れている。また、少子化及び産婦人科医師不足問題にも積極的に取り組み、教育においても若手医師の育成をはじめ助産師学院の設立等、幅広く活動を行っている。

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